アルプス山脈に囲まれた北イタリアのトリノ。サヴォイア王家の壮大な建築物と合わせて、神秘主義やオカルトの街としても名高い。(TURISMO TURINO)

アルプス山脈に囲まれた北イタリアのトリノ。サヴォイア王家の壮大な建築物と合わせて、神秘主義やオカルトの街としても名高い。(TURISMO TURINO)

この記事は『ナショナル ジオグラフィック トラベラー(UK)』により制作されました。

 かつてアルプス近郊のフランスやイタリア、スイス一帯を統治したサヴォイア王家の歴史的な拠点で、イタリアとして最初の首都だったトリノは、まぎれもなく荘厳な街だ。(参考記事:「名シェフに聞くイタリアの秋を彩る栗菓子」)

 しかし、深く掘り下げると、骨太な工業の過去を礎に築かれた、先進的な大学都市であり、デザインとテクノロジーの中心地という側面を持つ。トリノは、こうした対照性によって栄えており、精神的なアイデンティティーとして顕著に現れている。

 トリノには、キリスト教で重要な聖遺物のひとつ、イエス・キリストの遺体を包んだとされる「聖骸布(せいがいふ)」が安置されている。

 同時に、イタリアにおける「オカルトの首都」としても知られている。赤道と北極の中間、相反するものが交わる北緯45度に位置することから、黒魔術と白魔術の結節点であるという信仰が生まれた。ノストラダムスのような神秘主義者もこの地を訪れたという。(参考記事:「ノストラダムスとは何者か、何を予言し、実際に何が起こったか」)

 たいていの観光スポットは「神聖」か「オカルト」かに大別できる。しかし、トリノは、その多くに光と闇が同居し、その複雑さが魅力を増している。

神聖サイド

聖遺物と対峙しよう

聖骸布礼拝堂は、17世紀に建設された。(MASSIMO BORCHI)

聖骸布礼拝堂は、17世紀に建設された。(MASSIMO BORCHI)

 トリノの最大の目玉と言えば、聖骸布だろう。磔(はりつけ)にされた男性の像が薄く残っている亜麻布で、これでキリストを包んだと考える人もいる。めったに公開されず、カステッロ広場そばの聖骸布礼拝堂で、防弾ガラスに守られて保管されている。(参考記事:「新発見の埋葬布、トリノ聖骸布は不利に」)

 近くにある聖骸布博物館で、複製品が見られるほか、これまで科学者たちが調査で用いてきた技術について学べる。

宗教芸術を堪能しよう

ギャラリー:神聖かオカルトか 聖母マリアがいて古代エジプトの棺もあるイタリアのトリノ 写真5点(写真クリックでギャラリーページへ)

ギャラリー:神聖かオカルトか 聖母マリアがいて古代エジプトの棺もあるイタリアのトリノ 写真5点(写真クリックでギャラリーページへ)

サバウダ美術館に展示されている、フラ・アンジェリコの『聖母子』。(DAVIDE BOZZALLA)

 カステッロ広場のトリノ王宮の庭園を見下ろすサバウダ美術館の明るい展示室には、イタリアやフランドル、オランダの画家による、14世紀から20世紀のコレクションが収蔵されている。

 その大半が、サヴォイア家が収集してきた。サンドロ・ボッティチェリの『ヴィーナス』やフラ・アンジェリコの『聖母子』は見逃せない。

奇跡の場所を訪れよう

 1104年、盲目の男性が、トリノでも歴史の長い現在のクアドリラテロ・ロマーノ地区の、神聖な場所だった遺跡から、聖母マリアのイコン(聖像画)を見つけたと伝えられている。発見した瞬間に、男性の視力は回復したという。

 何度もの改築を経て、現在、ラ・コンソラータと呼ばれる教会が建っている。これはトリノでも最も美しい部類に入ると言っていい。内部には、事故や病気、不運に見舞われた人々の奇跡的な治癒を描いた、素朴な奉納画が数多くあり、そのすべてが聖母マリアの加護とされている。

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