ウクライナの戦場で防衛技術の実戦テストを行う海外企業が増えている。ウクライナの戦場で防衛技術の実戦テストを行う海外企業が増えている。Danylo Dubchak/Frontliner/Getty Imagesウクライナは2025年に防衛技術の試験を希望する企業を受け入れるプログラムを開始した。ウクライナの防衛業界関係者によると、すでに数百社が関心を示しており、その数は増え続けているという。欧米企業はこのプログラムを通じて実戦環境に触れられるようになった一方で、戦場の急速な変化に適応することに苦戦している。

ロシアとの戦争が続くウクライナでは、欧米の防衛企業が自社技術を試験しようとする動きが広がっている。ドローンやロボット、電子戦システムは、この地での実戦によって、開発されるそばから刷新されていっている。

ウクライナ政府が支援するプログラム「テスト・イン・ウクライナ(Test in Ukraine)」には、2025年夏の開始以来、数百社の海外企業が参加を申請している。各社は防衛関連製品をウクライナに持ち込んで、実戦に近い環境で試験を行い、ウクライナ兵からフィードバックを受けているのだ。

ウクライナの「3種類のドローン」がモスクワの防空網を突破…存在を知られていなかった新型機も投入 | Business Insider Japan

ウクライナの「3種類のドローン」がモスクワの防空網を突破…存在を知られていなかった新型機も投入 | Business Insider Japan

ウクライナの技術開発プラットフォーム「ブレイブ1(Brave1)」の最高経営責任者(CEO)であるアンドリー・フリツェニュク(Andrii Hrytseniuk)は、「現在すでに数十社がウクライナで自社システムの試験を行っており、中には実際の戦場で運用している企業もある」とBusiness Insiderに語った。

さらに、「参加企業の数は増え続けている」とフリツェニュク話しており、大手防衛企業から小規模なスタートアップまで幅広い企業が関心を示していることを明かした。

ウクライナは、2022年にロシアが侵攻を開始して以降、ドローン戦の主要な実験場となってきた。また、ロボット技術や自律型システムの分野でも最先端の技術力を積み上げてきた。戦場での必要性が、防衛産業の急速な発展を後押ししており、現在では欧米諸国の軍隊もその動向を詳しく研究している。

「ウクライナは、ドローンの運用という点では世界トップの国だ」とフリツェニュクは語っている。

「使えない兵器」と「使える兵器」か分かる

ウクライナ政府によるプログラム、「テスト・イン・ウクライナ(Test in Ukraine)」が2025年7月に始まった。このプログラムには、ドローンや対ドローン兵器、海上ドローン、無人地上ロボットのほか、AI(人工知能)や電子戦システムを含むさまざまな防衛技術を開発する企業が参加できる。

「テスト・イン・ウクライナ(Test in Ukraine)」のプログラムには、数百社の海外企業が参加を申請している。「テスト・イン・ウクライナ」のプログラムには、数百社の海外企業が参加を申請している。Brave1

試験実施の許可を得た海外の防衛企業は、自社技術を実戦に近い環境の試験場で評価してもらうことができる。企業が自ら試験を行う場合もあれば、ウクライナ側が代わりに試験を実施する場合もある。その後、ブレイブ1が企業と兵士を引き合わせ、兵士たちは実戦経験をもとに改良点を提案する。一部の企業は、前線での運用データや現場からのフィードバックも受け取っている。

企業はこのプロセスがあることによって、自社製品がウクライナで試験が済んでおり、場合によっては「実戦で有効性が確認された」とアピールできるようになるという。

ドローン向けAIソフトウェアを開発するイギリスのスタートアップ、オッカム・インダストリーズ(Occam Industries)は、ヨーロッパ製のシステム機材を使ってウクライナで試験を行った。初期テストではソフトウェア自体は問題なく機能したが、それを搭載する機体はウクライナの実戦環境にはあまり適していなかったと、同社の関係者は語っている。

ブレイブ1はその後、オッカムと実戦向けの機材を製造するウクライナ企業を引き合わせた。現在では、同社のソフトウェアはウクライナ製ドローンに搭載され、前線への投入が進められている。

オッカムは、ブレイブ1との試験を通じ、「実戦で通用しないものから、実際に機能するものへと素早くたどり着くことができた」と説明している。

欧米企業は変化の速さについていけない

多くの欧米の防衛企業にとっての課題は、ウクライナの実戦環境で自社技術を試験することだけではない。戦場で急速に進化する技術の変化に対応し続けることにもある。

ウクライナのオレクシイ・ヴィスクブ(Oleksii Vyskub)国防第一副大臣は、「ウクライナで製品を試験したいと考える欧米企業は増えているものの、多くの企業は依然としてスピード重視の体制になっていない」とBusiness Insiderに語った。

通訳を通じてヴィスクブ副大臣が語ったところによると、ウクライナのドローンは、多くの場合3カ月ごとに改良が加えられ再び実戦に投入されているという。一方、多くの欧米企業は製品を開発するスピードが遅く、十分な試験や検証を終えてからでなければ改良を加えない。

イギリスのスタートアップ企業、オッカム・インダストリーズは、ウクライナでAIドローン技術の試験を行っている。イギリスのスタートアップ企業、オッカム・インダストリーズは、ウクライナでAIドローン技術の試験を行っている。Brave1

ヴィスクブは具体的な社名には触れなかったものの、「ウクライナの実戦環境」に対応し、ウクライナ並みの開発スピードに着いていくことが出来ている欧米企業は1社しか思い浮かばないと語った。

Share.