2026年6月5日 午前7時30分
【論説】福井市自然史博物館分館の「セーレンプラネット」が開館10周年を迎えた。今春から、従来の学術的な内容に加え、新規客を狙った音楽などの投影プログラムにも力を入れる。さらに思い切った仕掛けと情報発信力を高め、まちなかの活性化につなげたい。
同館は2016年4月、「ハピリン」5階にオープンした。高解像度の映像を投映できるドームシアターと、宇宙・天文分野の常設展示室などがある。1年目の利用者は約10万3千人を記録したが、近年は7万~8万人で推移。新規客層の開拓、リピーターの獲得が課題となっている。
県民が求める投影プログラムや改善点を探ろうと、市は昨年、市民意識調査を初めて実施。その結果、大人の客層は星空ドームの下での生演奏や、飲み物が可能な上映会などのエンタメ性を求めていることが分かり、本年度から新プログラムが誕生した。
市は今春から同館を運営する指定管理者を変更。福井街角放送(福井市)、まちづくり福井(同)、国内12施設のプラネタリウム運営に携わる東急コミュニティー(本社東京)の企業体が担っている。委託費は5年間で8億8500万円。これまでの自然科学教育の推進をはじめ、まちづくり福井の実績から福井駅周辺施設や地元商店街との連携を急ぎたい。
運営体が変わり、プラネタリウムの成功事例を持つ東急コミュニティーの“強み”を最大限に活用しているという。複数の番組制作会社とのつながりがあることから、幅広い投映イベントを展開できる。ドームシアターでの投影番組はエンタメ性を強化し、恐竜や音楽、アニメなどを想定する。今後は、その魅力を広く情報発信することも不可欠となる。
5月末にはロックバンド「クイーン」を題材にした人気番組を投映し多くの利用者があった。同館は「今後も新規客層の誘客につなげたい」としている。一方、中学生の休日部活動の地域移行に合わせた「クラブ」の創設など新たな活動をスタートさせる予定である。今後、教育分野にもさらに磨きをかけ、子どもたちを含めた幅広い客層に愛される施設にしてほしい。
同館では新たな取り組みが続くが、地域を巻き込んだコンテンツ、既存施設との連携なども重要になるだろう。北陸新幹線開業効果が落ち着きを見せる中、同館のみの魅力発信だけでなく、まち歩きとセットにした楽しみ方も県民や観光客にアピールしたい。
