新しい研究によると、ハトは肝臓の免疫細胞を通じて地球の磁場を感知しているという。(ANDREAS TEICHMANN, LAIF/REDUX)

新しい研究によると、ハトは肝臓の免疫細胞を通じて地球の磁場を感知しているという。(ANDREAS TEICHMANN, LAIF/REDUX)

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 ハトや他の鳥類は「それ」ができる。ウミガメ、イセエビ、ガ、メクラネズミ、コククジラ、オオコウモリもだ。地球の磁場のわずかな変動がわかる動物は多いのに、どうやって感知するのかは生物学の最大の謎の1つであり続けてきたが、ドイツの科学者チームが伝書鳩の体内コンパスのありかをついに見つけたと発表した。それは目でも耳でもくちばしでもなく、驚くべき場所だった。肝臓にある免疫細胞が関わっているという。論文は学術誌「サイエンス」に5月28日付けで掲載された。

「磁気の感覚は1世紀にわたる謎であり、それがどこにあり、どのようなしくみになっているかは誰も解明できませんでした」と、論文の共著者で、マックス・プランク動物行動研究所の所長のマルティン・ビケルスキー氏は言う。「私たちは筋の通る答えを見つけられたと考えています」

「ひらめきの瞬間」

 地球の内部には、液体の鉄とニッケルからなる荒れ狂う海が渦巻いていて、この溶けた金属の動きが地球を巨大な磁石に変えている。地球の磁場は宇宙空間まで広がり、その中を飛んだり泳いだりするすべての動物を危険な宇宙放射線から保護している。

 動物学者たちは19世紀には、鳥類は地球の磁場を利用してナビゲーションを行っているのではないかと考えていた。1960年代の実験では、飼育下のヨーロッパコマドリが人工の磁場に応じて動きを変えることが示された。

 それ以来、磁気への感受性のある動物のリストにはサメやサケや他の多くの動物が加わった。これらの動物たちは、体内のどこかにある生物学的なコンパスを使って、地球の深部から届く、目には見えない磁気を手がかりに自分の現在地を知り、空や海を越えて壮大な渡りをする。(参考記事:「サメは「磁場の地図」を使える、回遊に利用か、研究」)

 だが、「磁気受容」と呼ばれるこの不思議な感覚のしくみは未解明のままだった。

 目や耳が光や音を捉えるために体の表面近くになければならないのとは違い、地球の磁場を感知する器官は、理論上はどこにあってもかまわない。「なぜなら、地球の磁場は動物の体を完全に貫通しているからです」と、米カリフォルニア大学アーバイン校の生物物理学者で、今回の研究には参加していないトーステン・リッツ氏は説明する。

 科学者たちは長年にわたり、鳥が地球の磁場を感知するのに利用しているのは目の中にある物質なのか、くちばしに含まれる粒子なのか、内耳の液体なのかをめぐって激しい議論を交わしてきた。(参考記事:「鳥類は有毒物質で地球磁場を“見る”」)

 ナショナル ジオグラフィックのエクスプローラー(探求者)でもあるビケルスキー氏の探求は、10年以上前に、学会のコーヒーブレイク中に免疫学者のクリスチャン・クルツ氏と出会ったことから始まった。

 ビケルスキー氏は鳥類の渡りについて研究していた。クルツ氏は古い赤血球を取り込んで鉄を蓄積すると磁気に反応するようになるマクロファージという免疫細胞について研究していた。

「ひらめきの瞬間でした」とクルツ氏は振り返る。「これらの細胞がナビゲーションに関与しているかどうかを検証できるかもしれないと思ったのです」

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