米NVIDIAは5月31日(現地時間)、WindowsにおけるAIエージェント向けプラットフォームの改善および強化、ローカルAIツールやクリエイター向けアプリにおける、RTX環境向けの最新の最適化および各種アップデートを発表した。

ローカルAIエージェントの実現

 同社は、PC上でAIエージェントの普及が進まないのは、ユーザーのメインPC上でエージェントを安全かつプライベートに実行できないのが原因であると分析し、そのためにMicrosoftと協力して安全なWindowsプラットフォームを構築することで対処する。

 まず、新しいWindowsプリミティブの導入により、エージェントをネイティブに構築して実行するためのID管理、隔離、ポリシー、エンドツーエンドの機能を提供する。一方、NVIDIAは「OpenShellランタイム」を提供し、エージェントの実行可能範囲と不可能な操作を定義できる追加のポリシー機能、ユーザーのプライバシーポリシーに基づいて、クエリをローカルモデルにインテリジェントにルーティングする機能、クラウドモデルに送信する個人情報を偽装する機能を提供する。

 これらのプライバシーレイヤーがHermes AgentやOpenClawのWindows版に導入されることで、運用の安全性が高まるとしている。

 一方、これらのエージェントが依存するローカルAIモデルのエコシステムも強化する。

 まずオープンソースコミュニティと協力して「llama.cpp」を最適化。マルチトークン予測(MTP)などの技術を導入することで、Qwen 3.6などのモデルを用いた推論性能を最大2倍に向上させた。マルチGPU利用時では、llama.cppが最大2倍のメモリと1.8倍の計算能力を実現するテンソル並列処理機能を追加した。

2つのGPUを導入すると、処理が並列化でき高速化する

 また、画像生成ツールの「ComfyUI」では分類器不要な新しいガイダンス手法により、マルチGPU環境では、最大2倍の性能を実現できるようになる。

ComfyUIもGPU 2基で性能が向上

 さらにH Companyと協業し、Computer Useのハーネスを開発。APIが用意されていないアプリでも、AIエージェントが画面を見てキーボード/マウスを操作することができるようになる。さらに、NVIDIA GPUにおける処理速度を2倍向上させるとともにメモリ消費量を35%削減した。

Linux向けの改善

 Linux向けの改善としては、DGX Spark OSの改善によりNemoClawインストーラを簡素化し、スムーズな初期設定体験を実現。さらに、NemoClawがLinuxおよびWindows Subsystem for Linux上のすべてのNVIDIA RTX/DGX搭載PCで利用可能となった。さらに、vLLM最適化も施し、Qwen 3.6 35B向けのNVFP4チェックポイント最適化により性能を向上させた。

動画フレーム補間など新技術も続々

 クリエイター向けの取り組みでは、Adobeと協業し、「Premiere」および「Photoshop」を同社の新プロセッサ「RTX Spark」向けに再設計。これにより、クリエイティブワークフローにおけるAI処理や編集、エフェクトなどの作業が最大2倍高速化されるという。

 また、3D制作ソフトの「Blender Cycles」に「DLSS 4.5 Ray Reconstruction」を統合し、リアルタイムでの高品質なプレビューを可能にする。この機能は今年(2026年)秋の「Blender 5.3」とRTX Sparkのリリースに合わせて提供される予定。

 RTX Sparkと同時に「RTX Video Frame Generation」と呼ばれるAIエフェクトも投入する。これは、PythonホイールとComfyUIノードとして提供され、ビデオのフレームレートをリアルタイムで2倍または4倍にするもので、AIが生成した15~20fpsの動画の出力を強化できる。

 そのほか、マイク音声を高品質化するAI機能「Studio Voice」を正式実装した「NVIDIA Broadcast 2.2」をリリースし、GeForce RTX 3060以上のGPUで動作し、Elgato Stream Deckを音声で操作できる連携機能も追加されている。

 パートナー企業との連携では、ASUSのクリエイター向けノートPC「ProArt」シリーズにおいて、画像生成モデル「FLUX.2 Klein 4B」が標準搭載されて出荷されることも明らかにされた。

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