
大分県高校総体 バスケットボール
6月1日 ダイハツ九州アリーナ
女子決勝リーグ最終戦
明豊59(22―15、15―17、11―9、11―9)50大分
試合終了のブザーが鳴った瞬間、明豊の選手たちは涙を流し、抱き合った。互いに2勝で迎えた女子決勝リーグ最終戦。明豊が59―50で大分を下し、県高校総体3連覇を達成した。
勝因は明確だった。「先行逃げ切り」。南九州四県対抗選手権(南九対抗)県予選で敗れた相手に対し、明豊は執念にも近い準備を積み重ねてきた。大分は5人1組を交互に投入する「ツープラトン」を武器に、終盤まで運動量が落ちない。だからこそ、杉山真裕実監督は「先に走って、先にリードするしかない」と腹を括った。狙い通り、第1クオーター(Q)で22―15。試合の主導権を握った。
だが、その7点差は偶然ではない。南九対抗県予選後、チームは徹底的に大分を研究した。メンバー外の選手たちが分析班を買って出て、試合映像を何度も見返した。Bチームは“仮想・大分”となり、紅白戦では相手の動きを細部まで再現。最初は打ちのめされた。しかし、大会が近づくにつれ、勝てるようになり、「練習通りにやれば勝てる」という感覚がチームに宿った。
相手エースを組織的な守備で抑えた
特に徹底したのが相手エース対策だった。あらゆる癖を洗い出し、守備の共通認識を作り上げた。杉山監督は苦笑いしながら振り返る。「分析班の子たちは毎日のようにiPadで映像を見ていて、私のiPadが返ってこなかった(笑)」。その裏側には、敗北の悔しさがあった。杉山監督は、南九対抗県予選で敗れた後、本ウェブに掲載された「大分が勝利した歓喜の瞬間の写真」を何度も見ていたという。見るたびに悔しくてイラッとしていた」。
その感情が、チームを突き動かした。司令塔の藤岡澪(3年)は「一回チームが崩れた」と振り返る。南九対抗県予選後、3年生と下級生の間にズレが生まれ、メンタルもプレーもかみ合わなくなった。それでも強豪との練習試合を重ね、杉山監督の愛ある厳しい言葉を受けながら、一つずつ立て直してきた。
そして迎えた最終盤。第4Q残り1分2秒、53―50。藤岡がフリースローラインに立った。会場の空気が張り詰める中、藤岡は「ここで2本決めれば勝てる」と自分に言い聞かせた。重圧のかかる場面で2本とも沈め、点差を5に広げた。勝負を決定づける2本だった。
勝負どころのフリースローを2本決めた藤岡
その陰で泥臭くゴール下を支えたのが成松沙菜(3年)だ。主力の負傷もあり、「自分がリバウンドを取るしかない」と覚悟を決めてコートに立った。「技術はまだない。でも自分にできるのは声を出して、体を張ること」。中学からバスケットボールを始めた成松は、この1カ月、リバウンドとルーズボールに執念を燃やしてきた。
大分の強力な攻撃を50点に抑え込んだ明豊。杉山監督は「これはディフェンスの勝利」と言い切った。ただ、歓喜の裏で指揮官は満足していない。「まだ完成していない。もっと細かい部分を詰めないといけない」。その視線は、すでに九州、そして全国へ向いている。悔しさを真正面から受け止め、逃げずに準備した者だけが、たどり着ける勝利がある。明豊の59点には、その積み重ねが詰まっていた。
(柚野真也)
