
現地からオーストラリアの最新情報を伝える【SURFMEDIAオーストラリアSURFNEWS】今回はCT第3戦ゴールドコースト・プロを現場で見て感じた事をリポート。クーランガッタという歴史あるサーフタウンで開催された世界最高峰のコンテスト。多くの世界王者を輩出してきた街の環境の凄さを、改めて痛感させられるイベントとなった。
取材、文、写真:菅野大典
5月のゴールドコースト。
今月は雨の降る日がとても多い月となりました。

普段の美しい青い海が一転、まとまった雨が降った中旬以降の河口の水の色はまっ茶色。一部の地域では洪水の被害も報告されていました。

天気は悪いですが、毎日のように虹が見れるのは嬉しい。これもゴールドコーストらしさのひとつ。
ゴールドコーストの波の状況は先月に引き続きポイントを中心にコンディションの良い日が続きました。
バーレーへッズ
晴れている日は気持ちの良いほど綺麗な景色が広がるバーレーへッズ。夏から引き続き地形も良く、この日はファンウェーブが割れていました。
雨量が多いとツイードリバー河口周辺に砂が溜まりやすくなり、サンドパンピングシステムによってその砂がスナッパーロックスやDーBAHのラバーズ付近へと送られることで、地形が安定しやすくなります。
普段はあまりサーフィンする人がいないスナッパーロックスとD-BAHの間にあるフロギーズのポイントにも多くのサーファーが集まっていました。
加藤翔平
5月上旬からゴールドコーストに滞在している加藤翔平。昨年はQSからCSまでの試合をフォローし、フリーで動ける期間が少なかったが、今年のオフシーズンは旬な時期の海外で修行を決行。4月はメンタワイ、5月はゴールドコーストと環境を求めて動いている。
加藤翔平
昨年は試合を通して学ぶ事が多くあった一方で、会場では常に多くのトップ選手が練習をしているため、思うようにフリーサーフィンに打ち込めなかったと語っており、今回の3週間の滞在期間中は波が途切れることなく続き、最高のトリップになった言っていました。
澤田昇太
翔平と共に毎日のようにセッションをしていた幼馴染の澤田昇太。オーストラリアへ来て早いもので約2年。サーフボード作りの傍ら、波の良い日は常に見かける存在となっている。

下旬には特大の低気圧が近づきキラがブレイク。大きな南うねりにより高速バレルが出現しました。

ボートランプには何台ものジェットスキーがスタンバイ。駐車場はトレーラーでいっぱいになっていました。

カランビンアリーではワンサイズ大きな波がブレイクしており、ステップオフをしているジェットスキーが10台ほど。相変わらずスケールの大きな光景が広がっているゴールドコーストのサーフシーンを感じさせられました。

5月のビッグイベントといえば、やはりスナッパーロックスで開催されたCT第3戦、ボンソイ・ゴールドコースト・プロ。
日本のコナー・オレアリーの準優勝、そしてステファニー・ギルモアの劇的なカムバック優勝など、大きな話題を呼んだ今大会。
この模様はサーフメディアでも連日お届けしてきたので結果は皆さんご存知の通りだと思うので、現場で見ていて感じた事を中心にお伝えしたいと思います。
ステファニー・ギルモアとイーサン・ユーイングがCT第3戦ボンソイ・ゴールドコースト・プロで優勝。コナー・オレアリーが準優勝

まず一番に感じたのは、現場にいる観客の人数の多さ。以前CTが開催されていた時もこのような人口密度の感じはありましたが、数週間前から砂を大量に入れたおかげで、ビーチの広さは未だかつてないほど。
その面積がとにかく広く、波に当たりながらも前に出て観戦しているのが印象的でした。
良いライディングが出れば手を挙げて歓声が上がり、携帯片手にそのライディングを映そうと手を伸ばす。
ゴールドコースト出身のリアム・オブライアン。
ゴールドコースト出身のリアム・オブライアンは、過去のCTでの対戦成績では1回も勝利した事のなかった五十嵐カノアを相手にし、勝利後はバーレーボードライダーズを中心とする大応援団から大きな祝福をされていました。
普段でもなかなか停める事のできないスナッパーロックス付近の駐車場ですが、イベント期間中はクーランガッタの街中から大渋滞がおこる始末。
ぞれだけの人数が集まるというのだから、当然駐車場、渋滞問題も。以前までのCTはお隣のポイントであるD-BAHに車止めるというのが混雑の証拠でありましたが、今回はクーランガッタやツイードヘッズの町外れにすら止めれない状況。

街中にイベント用のパーキングが設けられ、シャトルバスが配備されていたので活用しましたが、会場までの道のりは大渋滞が起こっているので歩いて向かった方が早かったです笑
途中サメの出現やハイタイド時にオンホールドになったものの、イベント期間初日からスウェルに恵まれ、4日間スムーズにコンテストが開催された事は、選手にとってもイベント関係者にとっても、最高の形であったと思いました。
昨年はミッドシーズンカット前の期間であり、ポルトガル、エルサルバドルと移動間隔の短い中での開催であったため、選手みんなが疲れているような感じに見えましたが、今年はスケジュール的にもだいぶ余裕のある感じに。

イベントに関連して街中はお祭り騒ぎで、サイン会、ライブ、パーティーと選手は大忙しでありましたが、笑顔が多く見れた感じがありました。
イベントを通してたくさんの注目ヒートがありましたが、やはりそのヒートが行われる時は一際観客が集まっていました。
特に今のサーフィンの人気を牽引するのは、男子ブラジリアンサーファーと女子サーファーといった感じで、以前CSが行われていた時のレジェンドヒートが盛り上がりを見せましたが、CTイベントとなるとレジェンド達が出てきても見劣りしてしまう感じが現場にはありました。
フィリッペ・トリード
ガブリエル・メディーナ目当てのギャラリー
ラウンド3で実現した、フィリペ・トリード vs ガブリエル・メディーナ。
かつてはケリー渋滞と言われるほど、ケリー・スレーターが現れたら人が動いていましたが、今回はガブリエル・メディーナの登場時には会場の人が流れるように動いていました。
この2人だけでなく基本的にはブラジリアン選手がいるヒートには、多くの熱狂的なサポーターが声援を送っており、オーストラリア開催でありながらもホームであるように感じるくらいの雰囲気に包まれていました。
ケイティ・シマーズ

注目だったステファニー・ギルモア vs ケイティー・シマーズの新旧世界王者対決も期待を裏切らず大きな盛り上がりを見せていました。
実力もさることながら、とてもスタイリッシュな2人のサーフィンは観客を惹きつける魅力があるように感じます。ケイティが試合後は自分のラッシュをファンにプレゼントしていたのも印象的でした。
会場の人の動きを見ていたら、どの選手が注目で人気があるかが一目でわかり、試合の結果だけでなく、プロ選手としての価値が示されているのが分かる舞台でもあると感じました。
個人的に楽しみにしていたヒートであったのは、母親としてツアーに2年ぶりにカムバックしたカリッサ・ムーアと、15歳でルーキーのティア・ゼブロスキーのヒート。
イベント期間前に会場にちょくちょく足を運び、フリーサーフィンを見ていたのですが、ティアは毎回のように海に入っていたりビーチにいるのを見かけた一方で、カリッサの事は一度も見る事がありませんでした。
カリッサ・ムーア
要所要所で素晴らしいターンを見せるものの、いまいち攻めきれなかったり、転んだりしているのが印象的だったカリッサ。インタビューでも母親としてツアーを回る事が大変だと答えており、明らかに試合に打ち込めてない様子でした。
カリッサ・ムーア
終了間際のラストウェーブで逆転し、涙を浮かべながら安堵の表情を浮かべるカリッサでしたがラウンド2で敗退。次戦のニュージランドのラグランで行われた第4戦では、一気に調子を取り戻し優勝するとは、この時とても考えられませんでした。
ラストで逆転され泣き崩れたティア
15歳ながらバリエーションのある素晴らしいサーフィンを披露したものの、オーストラリアレッグ3戦とも初戦敗退が確定し泣き崩れていたティア。
厳しいCTデビューが続いていますが、こんな経験をしているのだからこそ、ここからさらに進化していくに違いないと思います。
コナー・オレアリー
優勝候補筆頭であったフィリペ・トリードをセミファイナルで倒し、ファイナルでもあと一歩で優勝と言う所であったコナー・オレアリー。数多くいる男子グーフィーフッターのトップ選手の中でも、ターンの破壊力は誰よりも高く感じるくらい、えぐり込んだリエントリーをしていました。
イーサン・ユーイング
久しぶりのCT優勝を果たし、喜びを全面に表現していたイーサン・ユーイング。セミファイナルでのリアム・オブライアンとの逆転劇は、まさにスポーツの面白さを凝縮したような一戦となりました。
今年に入ってから、スナッパーに波が入れば必ずと言っていいほど海で見かけるほど練習を重ねてきた2人だからこそ、あの舞台であれだけのドラマが生まれたのだろうと感じます。最後の最後で運も引き寄せたイーサンが、そのまま一気に優勝をつかみ取った印象でした。
ステファニー・ギルモア
なんと言ってもこのイベントの主役となったのは、ステファニー・ギルモア。地元であるスナッパーロックスと言う場所で復活優勝するという事が、スターであることを物語っています。
ステファニー・ギルモア
カリッサ・ムーアと同様に、序盤のラウンドでは転倒やミスが目立っていたものの、ヒートを重ねるごとに調子を上げ、最後のファイナルでは9.5ポイントをマーク。まさに女王復活のドラマを作り上げたように感じました。

2月にバーレーヘッズで行われたQSに出場した時もやる気に満ち溢れていましたが、今大会はレベルが違うくらい集中しており、遠くからでもその様子がひしひしと感じてきました。
今大会ではヒートが進むにつれて、ブラジル対オーストラリア、DHD対シャープアイなど、人によってはそのような見方もありますが、オージーでクイーンズランダーのDHDの2人が優勝という結果に。ブラジリアンヒートも大きな盛り上がりを見せましたが、会場のボルテージが最高潮となったのはやはりファイナルの舞台だったように感じます。

ステフのヒート時には、地元スナッパーロックスボードライダーズの大応援団が常に現場に。どれだけ多くの栄光を手にしてきた選手でも、あの声援には大きな後押しをもらえたと思えるほど、力強いサポートだったと思います。
最後に、イベント終了後、会場にいた人々が広く伸びたレインボーベイのビーチを歩きながらクーランガッタの街へと戻っていく光景が、とても印象に残りました。
それは、自分が子どもの頃にプロサッカーや野球の試合を観に行った帰り道のような光景そのもので、みんなが同じ方向へ歩きながら「あのライディングはすごかった」「あの波でもうひとつ決めていたら」と、そんな会話をしている姿を見て、この街にはサーフィンがひとつのスポーツとしてしっかり根付いているのだと強く感じました。
この大会が開催されることが、オーストラリアのサーファーたちにとってどれだけ大きな意味を持っているのか。そして、自分が目指す場所を間近で見られることが、次の世代にどれほど大きな夢を与えているのかと、ひしひしと伝わってきました。
やはりクーランガッタというサーフタウンは特別で、改めて、多くの世界王者を輩出してきたこの街の環境の凄さを、肌で感じられるイベントとなりました。
5月はほかにも多くのイベントがありましたが、今回は現場で特に強く印象に残ったボンソイ・ゴールドコースト・プロに特化して書かせていただきました。

菅野大典:オーストラリアのゴールドコーストを拠点にして、サーフボード・クラフトマンとして働きながら、サーフィン修行のために来豪する日本のサーファーをサポート。写真や動画撮影のほか、選手の試合に帯同、大会のジャッジやサーフコーチなどマルチに活動している。
