早いもので6月。最近はもう真夏のような暑さの日も出てきました。ジリジリ照らす日差しに参りそうになりますが、それでも、わたしは雪で自転車に乗れなくなる冬よりも夏が好き。半袖短パン、麦わら帽にサングラスの装備で、さあダルマ自転車に乗りに出掛けましょう!

山形市は、身近なところに山があり川があります。ただし、海はありません。けれど!池や沼があります!水のある景色はいいものです。そんなわけで今回は、沼のある公園を訪れてみたいのです。
街の真ん中に突然現れたUFOのごとく存在するひょうたんの形をした沼、天沼(てんぬま)をぐるりと囲む公園、それが南一番町にある「みなみ公園」です。


沼のまわりは白い柵で囲まれていて、釣りは禁止。けれど、沼のまわりをダルマ自転車で走るのは禁止されていません。真夏のような日差しを浴びて、天沼のまわりをグルグル走り回ります。見た目以上にきつい勾配がある箇所もあって、走っていてなかなか楽しいコースです。





ひとしきり走って喉が渇きました。ふと顔を上げて見つけたのが、昔ながらのスタイルの駄菓子屋さん。この「はじめや」さんでサイダーを買いました。

店主にお話をうかがうと、創業は昭和43年。そのときはまだ灌漑用水のためのこの天沼があるだけで、公園はそのあとにできたのだそう。沼があって池があって駄菓子屋があるなんて、子どもたちには最高の遊び場でしょう。子どもがたくさんいた昭和の頃の賑やかさをしばし想像したりしました。
令和の今も、放課後の時間になると子どもたちがこのお店に集まってきて、公園でワイワイ遊んでいるのだとか。
放課後の時間よりも早くからダルマ自転車に乗っている、かつて子どもだったわたしは、このみなみ公園で格別ワイワイ賑やかにしたりはせず、木陰のベンチに座ってサイダーを飲んで休むだけです。動いたとしても、せいぜい静かにストレッチをするくらい。

夏になると、涼しい風のありがたみを感じます。嗚呼、涼しい。涼をくれる風から生きる喜びを教えられる気分。日差しのなかで感じる熱風はつらいけれど、木陰を通るひんやりした風には5千円くらい払ってもいいよな、とか、風の価値を勝手に通貨に換算したりしながら、ぼんやり天沼をながめていました。

公園でしばしの時間を過ごした後はかならず、山形市がいつもとはちょっと違って見えます。それが好きで、わたしは公園に行くのです。なぜかダルマ自転車とともに。
それではまた、次の公園で逢いましょう!
=== Park Information ===

山形市〈 みなみ公園 〉
南一番町の住宅街にある大きな公園。そのほとんどを池(記事本文では「天沼」という名の沼)が占めている。この公園の南側には上の写真のような少女の銅像が立っていて、その足元の石碑にはこの公園の由来らしきものが記されている。ここにその全文を引用しておきたい。
“ みなみ公園
山形の急速な発展は周辺農地を無秩序な宅地化に追い込んだ これを憂ふる鉄砲町及び元木等の土地所有者は秩序ある宅地の造成をすべく語らい 昭和三十九年十一月鉄砲町字深町 前田字浦田等の地域内に 法による組合を設立し 面積約三十一ヘクタールの区画整理事業を行ったのである 爾来六ヶ年延長 約七.五キロメートルの街路を築造し 二十二万六千余平方メートルの宅地を整備して 昭和四十五年七月その事業の竣工を見た
この公園は由緒ある天沼を中心とした約一.五ヘクタールの都市計画公園として整備されたもので なかに市民プール遊園地などをもつ住民憩いの場である
ここに組合員一同清らかな少女の像に未来を託し 稲穂たわわな往時をしのびつつ永劫の記念としてこの碑を建立する
昭和四十五年七月
山形市鉄砲町土地区画整理組合”
昭和39年(1964)というと今から60年ちょっと前。その時代を生きていた先人たちの想いによって生まれた公園にいまのぼくらは立っていて、そして今日まさにこの場所でダルマ自転車を走らせて、この街に生きている喜びを感じている。心からの感謝を。ありがとうございます。(那須ミノル)
写真:佐藤鈴華(STROBELIGHT)
