岩手県の普代村から宮古市まで、三陸沿岸のおよそ100キロを駆け抜けるトレイルランニングレース「ICT100」が、5月9日と10日の2日間に渡って初めて開催されました。

5月9日、普代村のスタート地点に続々と集まる選手たち。トレイルランニングレース、「ICT100」の参加者です。

「岩手沿岸のトレイル」を意味する「IWATE COASTALTRAIL」の頭文字をとったこのレース。「100」はゴールまでの距離、100キロを表わします。レースの制限時間は24時間。選手たちは昼夜を問わず走り、ゴールを目指します。

 今回、その過酷なレースに、北は北海道から南は鹿児島県まで全国85人が参加しました。レース前の選手に心境を聞いてみると…

東京からの参加者
「すごく楽しみです。まぁ、ゆっくり楽しみながら完走出来れば良いかなと…」

選手たちの多くが答えたのは、意外にも「楽しみたい」の言葉。こちらの男性は今回、最も遠い鹿児島県からの参加です。

鹿児島県からの参加者
「仕事で岩手に来たことがあって、でも走ったことなかったので、ちょっと楽しみたいなと思っています」

レースは主に「みちのく潮風トレイル」と同じコースを走ります。リアス式海岸の雄大な景色と、急激なアップダウンが特徴です。安全対策として、選手にGPS端末を貸し出し、リアルタイムで一人一人の位置を確認。また、クマ鈴の携帯を義務付けたり、大会関係者が先行して走って大声で存在をアピールしたりするなどクマ対策も取られています。

午後1時、選手たちは一斉にスタート。目指すは100キロ先、宮古市の浄土ヶ浜です。海沿いのルートに入ると、道は幅が狭かったり、舗装していなかったり。中には、こんな難所も。

崖のハシゴに着いた選手
「いいじゃないですか、三陸海岸。最高最高…あ、やば」

ハシゴがなければ進めない急な岩場の昇り降りや洞くつのような真っ暗な手彫りのトンネルなど、「みちのく潮風トレイル」ならではのコースが続きます。

スタートからおよそ5時間。次第に日が陰り、レースは夜に。選手たちはヘッドランプの灯りを頼りに黙々と走り続けます。

深夜1時半過ぎ。多くの選手が宮古市に差し掛かる頃、トップの選手が早くもゴールの浄土ヶ浜に到着しました。トップでゴールしたのは、神奈川県から参加したこちらの選手。タイムは12時間37分でした。

トップでゴールした清田広輝選手
「アップダウンがホントしんどくて、特に階段が一段一段、段差が大きかったんで、ほんといっぱいいっぱい最後はゴール下って感じです」

その後も続々と選手が到着。夜明けまでに8人がゴールしました。

レース2日目。スタートから15時間以上がたち、選手たちは眠気と疲れに耐えながら、必死に前へ進みます。

選手
「眠いっす。早くゴールして寝たいっす。おなかもペコペコっす」

気力を振り絞り、懸命のラストスパート。ゴールはあと少しです。参加者85人のうち、74人が過酷なレースを走り抜きました。

参加者
「いやパンチありましたね。ノックアウトされそうでした、もう」
「ちょっと眠たすぎて山の中で寝ちゃいました。レースの最中に」

鹿児島県から参加したあの選手も無事にゴールです。

鹿児島からの参加者
「鹿児島もきれいなんですけど、こっちの海もやっぱすごいきれいでした。断崖絶壁のところも走ったりして、スリリングでしたけど、とても楽しかったです」

初めて開催された今回のレース。主催者は「三陸の景色をより多くの人に伝えたい」と話します。

ICT100実行委員会 古舘正輝 委員長
「私自身、岩手県の宮古市出身なので、故郷に対する思いもありますし、やはりこの景色とかを知らない方にも知っていただきたいという思いで開催しました。岩手県にはトレイルランニングに適したフィールドが沢山ありますので、トレイルランニングを通じて地域を活性化できるように大会の方も盛り上げて行きたいと思います」

「ICT100」は今後、春と秋の年2回の開催を予定していて、異なる季節を通して、三陸の魅力をより多くの人に伝えていくことにしています。

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