【5月15日 CNS】新たな国際機関が北京市に設立された。3月30日、世界データ機関(World Data Organization)が正式に発足した。英語の略称は「WDO」だ。
多くの人はWDOという名称を初めて見たとき、世界貿易機関(WTO)を連想するかもしれない。一文字違いではあるが、その存在感は小さくない。WDOは、データの発展とガバナンスの実践を推進することを目的とした、世界初の専門的な国際機関である。
では、この機関はいったい何をするのか。WDOの目的は「データ格差を埋め、データの価値を引き出し、デジタル経済を発展させる」ことだ。分かりやすく言えば、障壁を取り払い、エコシステムを築き、データがもたらす恩恵を世界に広げることを目指している。現在、AIをはじめとするインテリジェント化の波が世界を席巻している。データはすでに単なる「数字の羅列」ではなく、工業時代の石油や電力のように、世界経済を動かす中核的な生産要素となっている。マッキンゼーの報告書はかつて、2025年までにデータの国境を越えた流通が世界のGDPに11兆ドル(約1728兆8700億円)貢献すると予測しており、その重要性の大きさがうかがえる。
しかし、世界のデータガバナンス体制は長らく、「ルールの細分化、障壁の多さ、発展の不均衡」という状態に置かれてきた。各国の基準は統一されず、国境を越えたデータ流通は阻まれ、デジタル化の恩恵は国や人々の間で大きく偏っている。ルールを調整し、共通認識を形成するための統一的で専門的なプラットフォームも不足していた。国研新経済研究院の創設院長である朱克力(Zhu Keli)氏は、三里河中国経済観察の取材に対し、WDOの誕生は世界のデジタル文明が発展する中で生まれた自然な流れであると同時に、現在のガバナンス上の課題を解決するための重要な一手でもあると述べた。これは、世界のデータガバナンスが無秩序な駆け引きから体系的な管理へと移行する新たな段階に入ったことを示しているという。
もっとも、「新時代の石油」ともいえるデータに真の価値を発揮させるには、世界的な協調が欠かせない。そこにこそWDOの核心的な意義がある。WDOは特定の国の「専用の場」ではなく、世界が共に話し合い、共に築き、共に共有する公共のプラットフォームであり、データ分野の国際協力を深め、グローバルなデータガバナンスを改善するための有益な場となる。
注目すべきは、この国際機関が最終的に北京を本部所在地に選んだことだ。なぜ北京なのか。答えは実はシンプルだ。中国はデジタル経済とデータガバナンスの高地であり、北京はその高地の「頂」にあたるからだ。
中国全体を見ると、2024年の中国のデジタル経済規模は59兆2000億元(約1362兆4051億円)に達し、GDPに占める割合は43.8%となった。また、2025年末時点で中国のインターネット利用者数は11億2500万人に達し、世界首位を維持している。デジタルインフラと応用シーンの面でも世界をリードしている。北京市を見ると、2025年のデジタル経済の付加価値額は2兆4000億元(約55兆2326億円)を突破し、2020年に比べて約6割増加した。2025年の世界デジタル経済ベンチマーク都市指数評価では、北京は世界2位に入った。
朱克力氏は、WDOの本部が北京に置かれたことは、中国のデジタル経済の実力とガバナンス能力に対する国際社会の高い評価を示すものだとみている。WDOは決して一部の専門家だけの閉じた組織ではない。その「仲間の輪」は実に広い。現在、WDOにはすでに200を超える会員が集まり、世界40か国以上をカバーしている。会員には企業、大学・シンクタンク、国際機関、金融機関など多様な主体が含まれ、世界規模で多様な連携を進める会員ネットワークが初歩的に形成されている。
朱克力氏は、これは中国が開放と協力を堅持する大国としての責任を生き生きと示すものだと指摘する。この点は、現在の国際社会に見られる一部の混乱した動きと鮮明な対比をなしている。
近年、一部の国は何かにつけて「離脱」や「デカップリング」を行い、一国主義を掲げ、国際機関を駆け引きの道具として利用してきた。その結果、グローバルガバナンス体制は分断されている。一方、中国は地道にプラットフォームを築き、共通認識を形成し、WDOのような具体的な行動を通じて、デジタル時代における世界の安定のよりどころをつくり、不安定な世界に安定の力を注ぎ込んでいる。
WDOというこの「新たな枠組み」は、世界のデータガバナンスに新しい枠組みを築くだけでなく、世界に明確な事実を示している。誰が本当に共同発展への道を整えているのか、そして誰が国際協力の妨げになっているのかを。(c)CNS-三里河中国経済観察/JCM/AFPBB News
