パワステなし、ブレーキサーボなし
「これは『いいでしょう、でも……』と言いたくなるようなクルマです」と、英国在住のダニー・マクリーンさんは自身のルノー・カラベル・コンバーチブル1100について語る。
「確かにブレーキはついていますが、サーボはありません。確かにステアリングはありますが、パワーステアリングではありません。昔、人々はカラベルを『貧者のフェラーリ(プアマンズ・フェラーリ)』と呼んでいました。そう思うにはお酒を1杯か2杯飲まないと無理でしょうが、それでも、かなり美しいクルマです」
ダニー・マクリーンさんのルノー・カラベル・コンバーチブル1100 AUTOCAR
ダニーさんの言う通りだ。彼のカラベルには、エンジンカバーに施された非常にフランスらしい「1100」の文字や、リアナンバープレートの両脇にあるメッシュグリル(純粋に装飾用)など、素敵なディテールもいくつか見られる。
1958年に2+2クーペ、カブリオレ、コンバーチブルの各種ボディスタイルで発売されたカラベルは、カロッツェリア・ギアの手による設計だ。このイタリアンなルックスは偶然の産物ではない。トライアンフ・スピットファイアのようなスポーツカーと真っ向から競合するはずだったが、少なくとも英国では、価格はライバルのほぼ2倍だった。
ちなみに、カラベル(Caravelle)という名称は北米と英国向けのもので、それ以外の市場ではフロリード(Floride)と呼ばれている。
購入するのはこれで2台目
ダニーさんの所有するこの車両は、生産が終了する5年前の1963年に登録されたものだ。彼が所有したカラベルはこれで2台目だという。「1台目は1970年代後半に買いました」と彼は振り返る。
「当時、ほとんどの人が乗っていたフォードやヴォグゾールとは、見た目がまったく違っていたんです。今のカラベルほど状態は良くなくて、675ポンドで買ったものですが、ある人が700ポンドで買い取ると申し出てくれたので、手放しました」
ダニー・マクリーンさんのルノー・カラベル・コンバーチブル1100 AUTOCAR
「何年も売ったことを後悔していましたが、1年半前、クラシックカーのオークションでこの1台を見つけました。9000ポンド(約190万円)強で手に入れましたが、それ以来、かなりの金額を修理費に費やしていますね」
ただし、車体や内装への出費ではない。この車両は南アフリカから英国に輸入されたもので、環境の違いから、これまで塩害に悩まされることはなかった。また、部分的に修復されていたが、その一部は修正が必要だった。
「いわゆる『その場しのぎの修理』を直してもらうため、ウィンブルドン・クラシック・カーズに預けました。例えば、ブレーキが適合していなかったり、本来は溶接すべきでない部分が溶接されていたりしたんです。今では工場出荷時の状態に戻りましたよ」
エンジンを降ろす修理も……
画像 カロッツェリア・ギアが生み出した美しいボディ【ルノー・カラベル(フロリード)を詳しく見る】 全18枚
