アメリカとイスラエルが、イランへの軍事作戦を始めてから2か月。終結に向けた協議のめどが立たず、こう着した状況が続く中、”前進の糸口”に繋がる新たな動きが…。

アメリカとの協議の行き詰まりを打開するため、”ホルムズ海峡の開放”を実現した後に”核開発問題を協議”する新たな提案を行ったイラン。

ホワイトハウスのレビット報道官は27日の会見で、イランから新たな提案があったことを認めトランプ大統領が27日に安全保障を担当する幹部と協議したことを明らかにしました。

この案について、イラン政治やエネルギー事情の専門家で日本エネルギー経済研究所の坂梨祥氏は、アメリカが受け入れるのは難しいのでは…と話します。

(日本エネルギー経済研究所 中東研究センター 坂梨 祥 センター長)
「イランとしては、できればアメリカ側に(海上封鎖を)やめてほしい動きであるということで、アメリカがこれをやめるのであればイランも海上封鎖をやめるということで、そのが交換条件でこの封鎖を解除できないかと考えているということだと思います。アメリカは、やはりこのアメリカの海上封鎖があってこそイラン側に譲歩を受け入れさせられると思っていると思いますので、アメリカがこのイランの提案を受け入れる可能性は非常に低いとされています」

一方、イランのアラグチ外相は、協議の仲介国・パキスタンなどを訪問した後にロシア入りし、27日、プーチン大統領と会談しました。

アラグチ外相は、ロシアメディアの取材に対し、「アメリカは1つとして目標を達成できていない」とした上で、「アメリカが交渉を要請しているのであって、我々はそれを検討している」と主張しています。

この会談の狙いについて坂梨氏は…。

(日本エネルギー経済研究所 中東研究センター 坂梨 祥 センター長)
「ロシアはイランの原子力部門、核関連部門にこれまでも深く関わってきているが、今回、アラグチ外相がロシアにいった理由は、アメリカとの間で核の問題に関する何らかの合意をつくるということが目指されているわけですが、ここにロシアの協力も得たいと考えているのではないかと思います。具体的には、イラン国内に60パーセントの高濃縮ウランが400キログラム程度備蓄されているといわれているが、これを誰が引き取るのかといったときに、イランが一定程度信頼している国である必要があるわけですけれども、そこにロシアが関与する可能性があるといわれております」

互いに”協議の落としどころ”を見つけたいアメリカとイランですが…。

(国連 グテーレス 事務総長)
「今こそ真の平和への唯一の道である軍縮と核不拡散への取り組みを改めて誓うべき時だ」

28日、ニューヨークで開幕したNPT=核拡散防止条約の再検討会議。

副議長国の一つにイランが選出されることに対し、アメリカが「条約を無視してきた国が責任ある地位に就くことはNPTに対する侮辱だ」と強く批判。

これに対しイランは「根拠がなく信憑性を欠く」と拒否したほか、アメリカとイスラエルによるイランの核施設攻撃を「核不拡散体制の根幹への攻撃」と訴えるなど、初日から非難の応酬となりました。

依然として不安定な状態が続くイラン情勢ですが、その影響は国内にも影を落としています。

J-オイルミルズは家庭用と業務用の食用油を6月納品分から値上げすると発表しました。中東情勢による原油価格の急騰でバイオ燃料向けの植物油の需要が増え、相場が上昇していることなどを理由に挙げています。家庭用の対象商品は14品目で、11パーセントから16パーセント値上がりします。食用油については、先週、日清オイリオグループも6月からの値上げを発表するなど、原油価格の高騰が商品価格にも反映されてきています。

また、日本銀行は、28日に開かれた金融政策決定会合で、追加の利上げを見送り、政策金利を0.75パーセントに据え置くことを決めました。ホルムズ海峡の封鎖を受けた日本経済への影響を見極めるのに、 時間を要していることが見送りの理由で、日銀は、政府との調整も踏まえ次回以降も利上げについて慎重に検討する見通しです。

さらに影響は、静岡県民の安らぎの場所にも…。

(記者)
「こちら静岡市清水区にある市営の温泉施設です。イラン情勢による影響が重くのしかかっています」

1999年にオープンした静岡市の市営温泉「やませみの湯」。週6日 営業している市民の憩いの場ですが、今、頭を悩ませているというのが…。

(ユアーズ静岡 時田 義久 統括責任者)
「昨今のイランの原油問題で非常にエネルギー高騰、そして原油の入手が非常に困難になってきておりました」

ホルムズ海峡封鎖による「原油の価格高騰」。

この施設では、1日に700リットルの重油を使用し 源泉を加熱していますが…。仕入れ見積書を見ても、重油の仕入れ価格が2026年1月は1リットルあたり約90円でしたが、3月分は140円以上と、大きく値上がりしていることが分かります。こうした状況を受けて、5月7日から、平日の開館時間を2時間半、土日祝日は4時間短縮するということです。

(ユアーズ静岡 時田 義久 統括責任者)
「お湯を温める時間やお湯を落とす時間をなるべくぎりぎりまで待って、長年やってる経験値によって無駄なボイラーの燃焼時間も短くするように努めております。非常に入館料はナーバスな問題ですので、即値段に転嫁するというわけにはいかない部分がある。静岡市民に対する福利厚生の部分もあるので、値段を上げるのは最終的な手段」

憂いの声は施設の利用者からも。

(利用者)
「毎週きてます。困りますね正直。私は黒川キャンプ場でキャンプをさせてもらって、こちらに朝イチと夕方に二回来させていただいてる。時短営業になると朝イチだけとか夕方だけとかどっちかになってしまう」

静岡市は27日、「やませみの湯」のほかに、「口坂本温泉浴場」、「湯ノ島温泉浴場」の市営温泉2施設についても、5月7日から開館時間を短縮する方針を発表しています。

(スタジオ)

(澤井 志帆 アナウンサー)
アメリカ国内ではトランプ大統領が狙われたり、イランはロシアとの接近を強めたりと、様々な動きが見られますが…どうご覧になっていますか?

(コメンテーター news zero メインキャスター 藤井 貴彦氏)
私、30年以上メディアで働いていますけれども、トランプ大統領は国内のメディアについて、国民の敵だとかフェイクニュースばっかり流しているというふうに、誹謗中傷を強めている状況なんですけれども。最近トランプ大統領を支える岩盤層が少しずつ崩れ始めているということが事実として出てきているんですが、それに伴ってメディアの論調もちょっと強くなってきているんですよ。風当たりが。トランプ大統領に対して、もしかするといろいろなことが変化していく前兆なのかな…ということを感じておりまして、日本はこのままアメリカと同じような協調関係でいいのかどうか、水面下で議論を深めていくときではないかなと感じております。

(澤井 志帆 アナウンサー)
そういった世界情勢も気になるところなんですが、私たち生活への影響も大きくなってきています。4月値上げしたばかりの食用油が、また6月に値上げされるということなんです。津川さん、この長期化するホルムズ海峡封鎖の影響というのが、今後さらに心配になっていきますよね。

(レギュラー コメンテーター 津川 祥吾 氏)
そうですね。そもそも世界の平和と安定というものは、私たち静岡県民にとっても決して他人事ではないので、他人事だと思わない方がいいと思いますが、一方で、生活者としては、私たちがいくら海峡がどうなるか心配したところで、実は変わらないという現実がありますよね。ですから、私たちが今考えるべきことは、自分たちで今何ができるかだと思うんですね。この物価高に関していろいろな物価高がありますけども、この品薄による物価高というのは、例えば政府が補助金を出すというのは根本的には間違っているんですよね。これやっちゃうと品薄が加速するんですよ。ですから本当はあまりやっちゃいけない。だから…私たちが普段から物を大切に使うとかですね、無駄遣いをなくすということは私たちすぐにできるはずですから、これはぜひ、みんなでやっていきたいなと思いますね。

(澤井 志帆 アナウンサー)
緊迫した世界情勢というのは決して他人事ではありません。日々の変化を丁寧に見つめながら冷静に備えていくことが求められます。

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