「カフェ・シュヴァルツェンベルク」のようなウィーンの歴史的なコーヒーハウスは、ユネスコの無形文化遺産に登録されているウィーンのコーヒー文化の一部を成す。(JULIUS HIRTZENBERGER, WIEN TOURISMUS)

「カフェ・シュヴァルツェンベルク」のようなウィーンの歴史的なコーヒーハウスは、ユネスコの無形文化遺産に登録されているウィーンのコーヒー文化の一部を成す。(JULIUS HIRTZENBERGER, WIEN TOURISMUS)

この記事は『ナショナル ジオグラフィック トラベラー(UK)』により制作されました。

 コーヒーの発祥地はエチオピアと言われるが、コーヒー文化が発展したのは間違いなくヨーロッパだろう。中世にアフリカからイエメンに渡ったコーヒーは、16世紀にはトルコにたどり着いていたと考えられている。17世紀、オスマントルコの使節がパリの王族に献上し、それを商人がベネチアに持ち込んだ。

 そして、ヨーロッパ中でコーヒーハウスという文化が花開いたのだ。20世紀の重要なアーティストや学者、フラヌール(そぞろ歩きを楽しむ人)にとって、カフェインに支えられた創造力あふれる拠点だった。(参考記事:「眠気対策に『昼寝前のコーヒー』 実際の効果は? 専門家に聞いた」)

 あとは、歴史が物語るとおりだ。コーヒーを飲んで一息つく時間は、ヨーロッパ全体の伝統の土台にある、長く続く風習となっている。1900年代から存続するコーヒーサロンから、現代的でシンプルなサードウエーブの有名店まで、コーヒー好きが数々のコーヒーハウスを探検できる街を5カ所、紹介しよう。

ウィーン

 ウィーンは、ヨーロッパにおけるコーヒー文化の“大御所”と言える街だ。19世紀のネオ・ルネサンス様式やネオ・バロック様式で建てられた数々のコーヒーハウスでカフェ文化が生まれ、今ではユネスコの無形文化遺産に登録されている。(参考記事:「ユネスコ無形文化遺産とは? 守りたい世界の文化すでに600件超」)

 まずはウィーン最古のコーヒーハウス「カフェ・フラウエンフーバー」で、ヴィーナー・メランジェ(クリーム入りカプチーノ)を飲もう。それから「カフェ・ツェントラル」でアーチ型の天井と大理石の柱を眺めつつ、泡立ったアインシュペナー(ホイップクリームを浮かべたエスプレッソ)をいただこう。

ギャラリー:伝統の味から現代の1杯まで 欧州のコーヒー文化 写真6点(写真クリックでギャラリーページへ)

ギャラリー:伝統の味から現代の1杯まで 欧州のコーヒー文化 写真6点(写真クリックでギャラリーページへ)

「デメル」は、ラムレーズンを添えたカイザーシュマーレンと一緒にコーヒーを楽しめる、ウィーンでも人気スポットのひとつだ。(PETER RIGAUD, WIEN TOURISMUS)

 もっと強い1杯がよければ、カフェを併設する菓子店「デメル」で、ケーキやカイザーシュマーレン(細切れにしたパンケーキ)とリキュール入りのコーヒーを楽しもう。精神分析学者のジークムント・フロイトのお気に入りだったと言われる「カフェ・ラントマン」では、ブラウナー(ミルク別添えのエスプレッソ)に合わせて、アップルシュトゥルーデルを味わえる。(参考記事:「人は夢をどう読み解いてきたのか 神々の予言か、願望の表れか」)

 ウィーンのスペシャルティコーヒーの先駆け「ゴタ・コーヒー・エクスパーツ」では、コールドブリュー(水出しコーヒー)にフラットホワイト(きめ細かく泡立てたスチームミルクを注いだエスプレッソ)、コーヒーカクテルが楽しめるほか、バリスタのワークショップを開催している。

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