トップニュース米301条調査は台湾半導体狙いか、有識者が解く新関税戦略と米中首脳会談
トランプ米政権、複数の貿易相手国・地域に対し通商法301条に基づく調査を開始。(写真/AP通信提供)
米連邦最高裁判所が先月、米大統領のドナルド・トランプ氏による相互関税は法的根拠を欠くと判断したことを受け、米政府はこのほど、通商法第301条に基づく新たな調査を開始すると発表した。対象は台湾、中国、欧州連合(EU)、韓国、日本などの貿易相手である。米通商代表部(USTR)は、122条に基づく関税賦課の150日の期限が切れる前に結論を出す方針を明らかにした。在美の台湾人学者、翁履中氏は13日、フェイスブックで「最高裁は貿易戦争を止められない?トランプ氏が301条で世界に対する交渉カードを再構築、果たして成功するか」と題して海外メディアの報道を引用した。同氏は、最高裁の判断が逆にトランプ政権に対し、関税政策に関する新たな法的手段を迅速に探す契機を与えたと指摘している。また台湾にとって真のジレンマは、どのような道を選んでも全員を満足させることは不可能という点にあると述べた。
翁氏によると、トランプ政権が2025年4月に世界各国に対して実施した大規模な関税措置は、法的根拠を欠くと判断され、約1700億ドル規模の輸入品に関わる重要な関税政策が事実上覆された形となった。今回、米国は1974年通商法301条を根拠に主要な貿易相手国に対する調査を開始しており、その理由として「不公正な貿易慣行」や「構造的な過剰生産能力」の可能性を挙げている。調査の結果次第では、これらの国の製品に対して新たな関税が課される可能性がある。
調査対象には特定産業も含まれており、台湾の半導体や電子製品などが言及されている。これは、米国の関税政策が単なるマクロ的な貿易問題にとどまらず、サプライチェーンの安全保障や産業戦略とも密接に結びついていることを示している。全体として見ると、ワシントンは世界的な通商交渉において依然として強力な経済的圧力手段を保持するため、新たな関税政策の枠組みを再構築しようとしていると言える。
履中氏は、トランプ氏が通商法301条に基づく調査を開始したこと自体は驚くべきことではないと分析する。関税は単なる経済政策ではなく、外交や戦略交渉におけるレバレッジでもあり、301条は最も手軽で法的根拠も明確な選択肢だからだ。これは関税政策の「面目」を保つだけでなく、いくつかの戦略的な利点もあるという。
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まず挙げられるのは、交渉カードの再配置だ。今回の調査は多くの国を対象としており、そこには戦略的な「煙幕」の意味合いも含まれている可能性がある。実際に焦点となるのは、まだ米国と合意に至っていない国々、例えば中国、メキシコ、インドなどだとみられる。
一方、日本、韓国、台湾など、比較的米国に協力的とされる経済圏がリストに含まれているのは、ある意味で「名を連ねる存在」に近い。これは301条が特定の国だけを狙い撃ちにしているという政治的メッセージを和らげる効果があり、同時にトランプ氏と習近平氏の首脳会談を前に交渉カードを残す狙いもある。ただし、北京に対してワシントンが公然と「中国を標的にしている」と受け取らせないという配慮も働いていると指摘している。
なぜトランプ氏はこのタイミングで301条を発動したのか 軍事的圧力の分散だけではない「狙い」
第2の側面は政策の継続性だ。翁履中氏は、301条を用いることで、これまでの関税政策を「法的な枠組みを変えて再び動かす」ことが可能になると指摘する。さらにもう一つの要因として、最高裁判決を受け、米国企業がこれまで支払った関税の返還を求める可能性がある点を挙げた。返還額は最大で約1700億ドルに達する可能性があり、実際に還付が進めば米国財政に大きな負担となる。301条調査を開始すれば、多くの企業が当面は様子見の姿勢を取る可能性があるという。
また政治的なタイミングも指摘される。現在、米国とイランの衝突が続き、軍事・外交面の圧力が高まる中で、貿易摩擦という新たな戦線を開くことは、政治的な関心を分散させる狙いがあるのではないかとの見方もある。中東情勢によって生じた論争や圧力をある程度和らげる効果が期待されている可能性があり、こうした政治的手法は決して珍しいものではない。
台湾への影響について、翁氏は「どの選択をしても全ての人を満足させることはできない」という点が現在の最大の難しさだと指摘する。強硬に交渉すればリスクを懸念する声が上がり、米国に協調すれば主権を損ない譲歩しすぎだとの批判が出る。様子見の姿勢を取ったとしても、立場が曖昧だと受け取られる可能性があり、いずれにしても政治や産業界でさまざまな反応が起きるだろう。
翁氏は、トランプ政権への対応において台湾にはもう少し時間をかけて状況を見極める余裕が必要だと指摘する。すべての動きに即座に反応する必要はない。交渉の場で相対的に弱い立場にある側こそ、「窮すれば変じ、変ずれば通じ、通ずれば久し」という発想が重要だという。台湾が本当に必要としているのは、国内の対立を乗り越え、変化する国際環境の中で国家利益を長期的に守る戦略を見いだすことだと述べる。そして「大国の駆け引きが交錯する混沌とした世界では、重視されるのは感情ではなく、団結によって示される実力である」と強調している。
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