トップニュース「TSMC米国進出は空洞化ではない」謝金河氏が指摘 米台関税交渉で「台湾の主権確立」を強調
財信伝媒の董事長である謝金河氏は、今回の関税交渉が台湾に国力の伸展をもたらしたと指摘し、TSMCの力が米国へ及ぶことは台湾の競争力の延伸であり、決して台湾を空洞化させるものではないと強調した。(写真/劉偉宏撮影)
先週、米国と台湾の関税交渉が妥結した。関税は一律15%に引き下げられ、上乗せ関税は撤廃されることが確定した。さらに、米通商拡大法232条に基づく関税免除も獲得したが、その条件として台湾企業による2500億ドル(約38兆7,500億円)の対米投資に加え、政府が信用保証を行う形で2500億ドル(約38兆7,500億円)の企業融資枠を提供することが求められた。一部では、巨額の投資が半導体産業の海外流出を加速させ、TSMC(台湾積体電路製造)の対米投資拡大によって同社が「米国積電(USMC)」になりかねないと懸念する声も上がっている。これに対し、財信伝媒董事長・謝金河氏は、今回の関税交渉は台湾に国力の伸展をもたらすものであり、TSMCの勢力が米国へ及ぶことは台湾の競争力の延長であって、台湾の空洞化ではないと指摘している。
謝氏は番組『老謝開講』において次のように述べた。当初、米台間で合意される関税は20%に加え、さらに上乗せされるとの見方があった。韓国や日本が15%に引き下げられた際、野党が「頼清徳総統は関税交渉の情報を隠蔽している」と批判するなど、すべての矛先が執政党に向けられた。しかし、最終的に妥結したこの交渉結果は、多くの人々にとって意外な驚きをもたらした。第一に、関税は上乗せなしの15%となり、予想されていた「20%+上乗せ」よりも大幅に好転した。第二に、台湾は通商拡大法232条において最恵国待遇を獲得した。第三に、台湾による2500億ドルの対米投資と2500億ドルの信用保証についてだが、前者の2500億ドルにはTSMCの既定投資額1650億ドルに加え、現在台湾企業が準備している850億ドルの対米投資が含まれるため、台湾にとって負担は大きくないとの見方を示した。
韓国が声明を発表して「焦り」 謝金河氏「関税交渉で台湾は相対的優位に立った」
謝氏は、台湾、日本、韓国の関税合意内容を比較し、現状では各国とも15%に引き下げられたと指摘した。その上で、直接投資額を見ると台湾は2500億ドル(約38兆7,500億円)であるのに対し、日本は5500億ドル(約85兆2,500億円)、韓国は3500億ドル(約54兆2,500億円)に加え1500億ドル(約23兆2,500億円)となっている。さらに、日韓は米国と投資委員会を設置し、投資項目は米国が指定する上に米国政府に有利な内容でなければならず、条件はより厳しいものとなっている。一方、台湾の2500億ドルには付帯条件がなく、投資モデルは完全に企業の自主性に委ねられている。謝氏は、韓国政府が通商拡大法232条において台湾が極めて良好な条件を獲得したことを受け、韓国大統領府が異例の声明を発表したことに言及した。声明では「韓国側は、サムスン電子やSKハイニックスなどの半導体大手が米国市場において、TSMCより劣位に立たされることがないよう確保する。政府としても企業と意思疎通を続け、米国側と協議するとともに、米台間の合意内容を徹底的に分析し、韓国企業への衝撃を最小限に抑える」としている。
謝氏は、韓国側が焦りを見せていること自体が、今回の関税交渉で台湾が相対的優位に立った証左であると直言した。そのため、台湾総統・頼清徳氏は総統府で行政院副院長・鄭麗君氏と面会し、交渉チーム全体として鄭氏の働きを高く評価したという。さらに謝氏は、今回の関税交渉が米国通商代表部(USTR)で行われた点に注目し、これが「政府対政府」の交渉であったことから、台湾の主権的地位が確認された、つまり米国が正式に台湾を国家として認めたことになると述べた。また、2500億ドルはあくまで信用保証であり、これは台湾における中小企業向けの信用保証基金と同様、台湾企業が米国へ投資する際の信用を保証するものであり、「2500億ドル+2500億ドル(合計5000億ドルの出費)」と解釈するのは誤りであると指摘した。
謝金河氏は、韓国が焦りを見せていることこそ、今回の関税交渉で台湾が相対的優位を得た証拠だと直言した。行政院副院長・鄭麗君氏(左から2人目)の働きに対し、各方面から高い評価が寄せられている。(写真/顔麟宇撮影)
TSMCは「米国積電」になるのか? 謝氏が反論「台湾の競争力の延伸である」
TSMCの対米投資拡大について、謝氏は次のように説明した。かつてTSMCが販売していた半導体は単一チップだったが、現在のAI時代においては、HBM(広帯域メモリ)やSSDを組み合わせてシステムチップを構築する必要があり、TSMCは米国のサプライチェーンに対し、現地で供給を行わなければならない状況にある。TSMCの顧客の70%は米国に集中しており、こうした状況下で、今回の交渉を経てTSMCは米国市場における競争優位性をさらに強固なものにしたといえる。言い換えれば、TSMCが生産拠点を米国、日本、あるいはドイツへと伸ばしていくことは、グローバル化の過程においてTSMCが進むべき不可避の重要な一歩であり、この一歩はいわゆる「台湾の空洞化」ではないとの見解を示した。
謝金河氏は、TSMCが生産拠点を米国、日本、ドイツへと伸ばすことは、グローバル化の過程において必ず踏み出さなければならない重要な一歩であると強調した。(写真/柯承恵撮影)
「今回の関税交渉は、台湾に国力の伸展をもたらした」と謝氏は強調する。現在までのところ、台湾の最先端プロセス半導体は、仮に米国へ進出したとしても、将来的には依然として台湾が80%、米国が20%という比率を維持すると見られている。台湾の高齢化、少子化、そしてTSMCのグローバル化に伴い、米国での展開は基本的に避けて通れない道であるとした。
謝氏は最後にこう締めくくった。「今回の関税交渉は、台湾にとって非常に良いスタートをもたらした。鄭副院長には大きな拍手を送るべきであり、同時に台湾の一人ひとりが、今回の交渉代表団の労苦に対してより多くの称賛を送るよう呼びかけたい。今回の関税交渉を経て、台湾の未来には以下の点がもたらされた。第一に、台湾の主権独立の地位がより確固たるものとなったこと。第二に、TSMCの勢力が米国へ延伸したことは、台湾の競争力の延伸であり、決して台湾を空洞化させるものではないということだ。我々はこうした視点から、台湾に対して引き続きエールを送り、励ましていくべきである」
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