愛媛県宇和島市の保育園では31日、職員たちが暑さの中で行った30日の津波避難について振り返り、今後の対策を話し合いました。
宇和島市の保育園、「吉田愛児園」では30日、津波注意報の発表を受けて0歳から5歳までの園児50人と職員16人が歩いて5分ほどの公民館に避難しました。
その際、避難所にスポーツドリンクや塩タブレットを持ち込むなどの暑さ対策をとったこともあり、体調を崩した園児はいませんでした。
園では今後、懸念される南海トラフ地震に備えて暑さの中での避難の課題を洗い出そうと31日、職員およそ10人が集まり、30日の対応を振り返りました。
この中で職員からは「子どもに帽子をかぶせるのか、防災頭巾をかぶせるのか、その場で判断する必要がある」とか、「水筒にひもがついていない子どもがほとんどで、今後は持ち出しに備えてひもをつけてもらった方がいい」といった声のほか、「水筒の中身を定期的に補充する必要がある」などという意見が出されていました。
山本恵園長は、「夏や冬など季節に合わせて色々な対策が必要で、この時期は水分補給、塩分補給が一番大切だと感じました。南海トラフ地震に備え、改めて避難訓練や職員会で意識を高めていきたいです」と話していました。
【避難先 暑さで急きょ変更の幼稚園も】
津波注意報を受けて30日、自主的に避難した愛媛県宇和島市の幼稚園では、いったん園児を近くの高台まで避難させたものの暑さが厳しく急きょエアコンのある別の避難所に移動する対応をとりました。
津波の浸水想定区域にある宇和島市の「村井幼稚園」では30日、3歳から5歳までの園児9人の預かり保育を行っていて、津波注意報が出されたことから念のため園から歩いて5分ほどの住宅街のある高台まで避難しました。
しかし、避難先の高台には猛烈な暑さをしのげる日陰などもなかったため、園児たちの体調を考慮し、急きょ自主避難所として開設されていた近くの公民館に移動する対応をとったということです。
公民館にはエアコンが設置されていたため園児たちは体調を崩すことなく、過ごすことができたということです。
村井幼稚園の高月邦昌園長は「ふだんから避難訓練を実施していたので高台までスムーズに避難できたが、今後は暑さの中、避難した場所でどうやって安全に過ごすのかを考えていきたい」と話していました。
【愛媛 西予 スーパーは従業員避難も暑さ対策に課題】
津波注意報の発表を受けて臨時休業を余儀なくされた西予市のスーパーは、事前に作成していたマニュアルに沿って従業員を避難させましたが、暑さへの対策など課題も残ったとしています。
西予市三瓶町にある「Aコープみかめ店」は、海の側に立地していることから津波注意報の発表を受けて臨時で休業しました。
31日は、津波注意報の解除後の午前11時から店を再開し、町内に数少ないスーパーには再開を待ちわびた買い物客が続々と訪れていました。
この店では、南海トラフ巨大地震などを念頭に避難の手順をまとめたマニュアルを作成していて、今回もそれに沿って店長と従業員あわせて9人が海抜18メートルの高台にある神社まで避難したということです。
ただ市内で最高気温33度を観測する厳しい暑さの中で、神社に続く急な階段を上る必要があり、中には飲み物を用意できずに避難する人もいたということでスーパーとしては暑さへの対策などに課題も残ったとしています。
スーパーの宮本正幸店長は、「暑かったもののそれを気にする余裕もなく、その前にすでに避難を開始していた。避難後に津波の情報をみて飲み物を買いにも行ったが、今回の件を受けてより実行性のあるマニュアルにするなどの対応が必要だと思った」と話していました。
【専門家「今回を教訓に夏場の津波避難の備えも」】
猛暑の中で避難が呼びかけられたことについて専門家は、南海トラフ地震では停電でエアコンなどが使えなくなるおそれがあるとしたうえで、「今回を教訓に夏場の津波避難の備えも進めてほしい」と指摘しています。
災害情報に詳しい愛媛大学防災情報研究センターの二神透副センター長は津波が四国の沿岸に繰り返し押し寄せ、第1波よりも高くなったことについて、「20センチから30センチほどの津波でも命に関わる危険性がある。より高いところを目指し、津波の情報を入手しながら高い所にとどまり続けることが基本だ」と指摘しました。
そのうえで、猛暑の中、津波からの避難が呼びかけられたことについては、「今回はライフラインには影響がなかったが、南海トラフ地震では電気や水が使えなくなり、暑さ対策を徹底しないと熱中症で体調を崩す方が多くなるおそれがある。非常用持ち出し袋や防災備蓄倉庫の中身を夏と冬で一部入れ替え、多めの水と塩タブレットを用意するなど今回を教訓に夏場の津波避難の備えも進めてほしい」と話していました。
また、SNSで津波に関する偽の動画や科学的根拠のない地震の予知などに関する投稿があったことについては、「災害時にはさまざまな情報が出てくるが、情報の発信源を確認し、科学的根拠に基づいているかどうかを冷静に判断することが大切だ」と話していました。
