トランプ米大統領がパウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長を解任すれば、30年物米国債の利回りは0.5ポイント以上上昇する可能性があると、ドイツ銀行のストラテジストが試算した。
マシュー・ラスキン、スティーブン・ゼン両氏を含むストラテジストらはリポートで、FRBの独立性が損なわれるリスクに対する最も明確なヘッジ手段は、長短金利差拡大を見込むイールドカーブ・スティープナー取引だと指摘した。
現在、5年物と30年物の米国債利回り格差は約100ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)と2021年以来の大きさとなっている。
ストラテジストはリポートで「パウエル議長の解任は、金融政策の一段の緩和を意図したものと受け止められ、インフレ期待やリスクプレミアムを押し上げるはずだ」と分析。「想定される市場の反応は大きいが、十分に現実的だ」と付け加えた。

利下げ加速を望むトランプ氏や政権幹部によるパウエル議長への攻撃はここ数週間、激しさを増している。
16日にトランプ氏がパウエル議長を解任する可能性があるとの速報が伝わると、米株、ドル、長期米国債はいずれも急落し、短期米国債は逆に買われた。トランプ氏はこの報道を1時間以内に否定したが、市場は強い反応を示した。
ドイツ銀のストラテジストによれば、先週の短時間に見られた米国債市場の動きを踏まえると、パウエル氏解任の場合30年物米国債の名目利回りは最大で56bp程度上昇する可能性がある。一方、短期ゾーンでは、金融緩和観測により米国債が買われる展開が予想される。
30年物米国債は7月に入り下落基調が続いている。インフレ見通し、政府支出の行方、そしてFRBの利下げペースに関する不透明感が背景にある。先週発表された米消費者物価指数(CPI)は市場にインフレ加速への懸念を呼び起こし、30年債利回りは6月以来となる5%台に上昇する場面もあった。22日は4.95%前後で推移している。
ゴールドマン・サックス・グループのチーフエコノミスト、ヤン・ハッチウス氏は「市場参加者の間では、FRBの独立性に対するリスクが高まっているとの認識が広がっているようだ」と指摘した。
同氏は、インフレ期待を示す先行指標が、長らく連動していた2年物のリスクフリーレートと乖離(かいり)して上昇している点に言及し、「インフレ期待がさらに上昇すれば、FRB当局者は利下げに対してより慎重になる可能性がある」との見方を示した。
原題:Deutsche Bank Sees US 30-Year Yield Jump on Any Powell Exit (1)(抜粋)
