ゴールドマン・サックス・グループやHSBCホールディングスなど世界の大手銀行が、ドイツ国債に対する新たな警告を発している。ドイツ政府の歳出拡大が国債供給を押し上げ、経済成長を押し上げているためだ。
ゴールドマンのジョージ・コール氏らストラテジストによると、ドイツの利回りの再評価はまだ続くとみられる。市場の変動時にも安全性の高いトリプルA格付け債券への需要が根強かったことから、これまでのところは、その影響はある程度緩和されていたという。同社は、10年債利回りが2025年末に2.80%、26年には3.25%に達すると予想している。
コール氏らは最近のリポートで「関税懸念や安全資産への逃避的な資金流入がなければ、財政拡張の影響は、より大きくドイツ債利回りに織り込まれていたはずだ」と記している。また、歳出の波及効果により、欧州地域の長期的な成長見通しが改善すると投資家が織り込み始め、金利と利回りさらに上昇圧力がかかるとも指摘している。
8日の欧州債券市場では、世界の債券市場と同様にドイツ債も下落し、10年債利回りは6ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)上昇して2.70%と、5月中旬以来の高水準となっている。30年債利回りも、3.18%と3月以来の水準になった。
HSBCホールディングスのクリス・アットフィールド氏らストラテジストは7日、ドイツ債の利回り予測を引き上げた。財政拡張の動きと、欧州中央銀行(ECB)が量的引き締めで来年は国債買い入れを減らすとの見通しが背景にある。
ただ、予測は現在の水準を引き続き下回っている。HSBCの予測は、25年末の10年債利回り予測を25bp引き上げて2.45%、30年債は45bp高い3%とした。
ドイツ国債は3月、当時次期首相候補だったメルツ現首相が、防衛やインフラへの長期投資を加速させる方針を打ち出し、急落した。中期財政計画では、29年までに約5000億ユーロ(約85兆8600億円)の純新規借入が盛り込まれている。
ドイツ銀行のジム・リード氏らストラテジストは今週のリポートで、ドイツ債利回りは「財政方針発表前の3月の水準からあまり動いていない」と指摘した上で、現在の水準は「長期投資家にとって魅力的なエントリーポイントとは言いがたい」としている。
世界最大の資産運用会社ブラックロックは以前、ドイツ政府の財政計画の規模を踏まえると、ドイツ債の現在の水準は魅力に欠けるとの見解を示していた。同社は今週、ユーロ圏の国債について「アンダーウエート」から「ニュートラル」に見方を変更し、米国よりもユーロ圏を好み、中でもスペインやイタリアといった南欧諸国の国債をより有望視している。
原題:Goldman, HSBC Flag Risks to German Bonds as Spending Surge Looms(抜粋)
