2025年7月5日 午前7時30分

 【論説】福井県の文化振興の中核拠点となる「ふくい文化創造センター」が本格的に動き出した。コンサートやイベントの企画・運営にとどまらず、県民の主体的な文化芸術活動を支援するのが役割だ。多くの県民が参加できる環境を整え、福井の新たな文化創造につなげてほしい。

 福井県の文化政策の方向性や重点戦略をまとめた「文化振興プラン」を推進するため、県文化振興事業団のアート振興部を改組する形で4月発足した。県立音楽堂内に拠点を置き、スタッフ10人体制で運営する。本年度は誰もが参加できる文化イベントを運営する人材の育成、アーティストの人材バンクを活用した事業の企画、マルシェといった多文化共生イベントの開催などに取り組んでいる。

 センターの特徴は、文化振興のための三つの機能を併せ持つ点にある。一つはアーティストら活動の担い手を多面的に支える「アーツカウンシル機能」、もう一つはあらゆる人が文化芸術に参加できる環境をつくる「インクルーシブ機能」、そして事業団の強みを生かした「音楽文化の創造機能」だ。

 中でも注目すべきは、専門スタッフらが文化芸術活動の担い手たちに寄り添い、伴走支援するアーツカウンシル機能だろう。イベントなどへの単なる助成とは違い、企画段階から担い手たちの相談に乗り、助言を行い、事業化までをサポートする。学校や商店街などと連携して地域を巻き込み、地域の魅力発信や課題解決にもつなげるのが役割であり、センターの目玉機能といえる。

 インクルーシブ機能では、高齢者や障害者、外国人ら多様な人たちが文化芸術を通して違いを認め合う社会づくりに取り組む。音楽文化の創造機能においては音楽に触れる機会や発表の場の提供だけでなく、次世代を担う人材の育成、音楽を通じた交流機会の拡大を進める。

 センターはこの三つの機能を組み合わせて事業を展開し、「福井の新たな文化の創造」を担うことになる。文化は「与えられるもの」ではなく「共につくるもの」という意識が、県民に広がっていくことが期待される。

 センターがコーディネート役を務め、アーティストら文化芸術の担い手、地域の住民、教育、福祉、観光、まちづくり関係者らさまざまな分野の人たちを結びつけたい。そこから、県民がいろいろな形で携わる文化芸術活動が生まれるはずだ。

Share.