2025年6月20日から22日にかけて、イタリアのムジェロ・サーキットにてMotoGP第9戦イタリアGPが行われた。向かうところ敵なし状態のマルク・マルケス(Ducati Lenovo Team)だが、イタリアGPの優勝はわずか1回。しかもそれが2014年以来という意外なデータである。ある意味「苦手」な部類に入るトラックだが、ドゥカティワークスとマルク・マルケスの最強パッケージには関係のないデータであった。
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●スタートの出遅れも関係なし! マルク・マルケスがスプリント優勝
観客の熱気のみならず、天候も晴天で気温も上昇。気温31度、路面温度48度のドライコンディションのなか、11周のスプリントレースが開催された。
スプリント前に行われた予選ではマルク・マルケスがポールポジションを獲得。2番グリッドにフランチェスコ・バニャイア(Ducati Lenovo Team)、3番グリッドにはアレックス・マルケス(Gresini Racing MotoGP)がつけた。
2戦ぶりの復帰戦となった小椋藍(Trackhouse MotoGP Racing)は21番グリッド、鈴鹿8耐のプライベートテストで負傷したルカ・マリーニ(Honda Team)の代役参戦を果たした中上貴晶は19番グリッドからスタートを迎える。
スタート直前、ポールシッターのマルク・マルケスが右手でマシンの左側を触る仕草を行ったこともありスタートに出遅れる。ホールショットを奪ったのはバニャイアだ。その後方ではヨハン・ザルコ(CASTROL Honda LCR)とブラッド・ビンダー(Red Bull KTM Factory Racing)がターン1で転倒。イン側にいたファビオ・ディ・ジャナントニオ(Pertamina Enduro VR46 Racing Team)との接触に巻き込まれた形となったが、審議の結果、ディ・ジャナントニオにはお咎めなしの裁定が下っている。
ローンチコントロールの操作により6番手までポジションを落としたマルク・マルケスだったが、すぐさま3番手にまでポジションを回復。バニャイア、アレックス・マルケス、そしてマルク・マルケスのトップ争いとなる。
オープニングラップを終え2周目に突入するとトップの3台は3ワイドでターン1に侵入。ここはマルケス兄弟がバニャイアを抜き去り、アレックス・マルケスがトップに立つ。
2周目にはアレックス・マルケスが早くも動き、ホームストレートでバニャイアに並びかけていくと、マルク・マルケスも加わりスリーワイドの戦いに展開。この戦いで前に出たのはアレックス・マルケスで、バニャイアはマルク・マルケスにも抜かれて3番手に後退した。
3番手に後退したバニャイアは徐々にマルケス兄弟から離されていくなか、マルク・マルケスは弟をオーバーテイクしトップに浮上。スタートの出遅れを感じさせない走りでレース折り返しの6周目にはアレックス・マルケスに対して0.5秒差のギャップを築いた。
最終的にその差を1秒にまで拡げたマルク・マルケスが完勝。バニャイアは終盤アレックス・マルケスに迫るも抜くまでにはいたらずチェッカーを受け、マルケス兄弟のワンツーフィニッシュとなった。
バニャイアは最終盤にマーベリック・ビニャーレス(Red Bull KTM Tech3)に迫られるもなんとか3位を死守。イタリアでドゥカティによる表彰台独占となった。
小椋は12位、中上は15位でスプリントをフィニッシュ。決勝では入賞を狙う。
●マルク・マルケスがGP通算93勝目を達成
週末を通して天候に恵まれたイタリアGP。決勝日も気温、路面温度ともに上昇し、気温31度、路面温度53度のドライコンディションに。ほとんどのライダーがフロントにミディアム、リアにソフトを選択。ファビオ・クアルタラロ(Monster Energy Yamaha MotoGP Team)とジャック・ミラー(Prima Pramac Yamaha)が前後ミディアム、そしてアコスタはフロントにハード、リアにソフトという組み合わせとなっている。
23周の決勝レースはマルク・マルケスとバニャイアが横並びでターン1に突入し、マルク・マルケスがトップを死守。しかし、続くターン2でバニャイアがマシンをねじ込みトップを奪ってみせた。ここから激しい同門対決が幕を開ける。
2周目のホームストレートで再び並びかけたマルク・マルケスがトップ奪還。ドゥカティファクトリーの2台がバトルを繰り広げたこともあり、3番手のアレックス・マルケスのトップ争いに加わる展開に。
マルク・マルケスとの激しいバトルで軽く接触してしまったバニャイアはその隙にアレックス・マルケスに先行を許す。しかし、独走体制に持ち込まれたくないバニャイアは4周目のターン1と2でマルケス兄弟をオーバーテイクし再びトップに返り咲いた。
バニャイアはトップに立つも、マルケス兄弟の激しいアタックにより首位をキープできず3番手に後退。アレックス・マルケスが6周目にトップに立つと、バトルは一時沈静化された。
地元での優勝を狙うバニャイアだったが、序盤のハードな走りが原因かマシンの挙動が大きく徐々にマルケス兄弟との差が離れていく。
またしてもアレックス・マルケスとマルク・マルケスの一騎打ちとなったトップ争いは9周目のターン1で兄が先行。後方では同じくターン1でビニャーレスがフランコ・モルビデリ(Pertamina Enduro VR46 Racing Team)をパスし4番手に浮上した。しかし、続くターン2でインからモルビデリに追突されたビニャーレスは無念の転倒。この接触の原因と判断されたモルビデリにはロングラップペナルティが科された。モルビデリはペナルティ消化中に白線の外に出てしまい、もう一度ペナルティを受けることになってしまった。
トップのマルク・マルケスが逃げにかかる中、2番手争いが接近。バニャイアはなんとかアレックス・マルケスに迫るも抜くまでには至らず。終盤になると両者の差も拡がっていってしまう。
レース終盤、マルケス兄弟の後塵を拝してしまったバニャイアにディ・ジャナントニオが接近。表彰台を確保したかったバニャイアだったが、残り2周のターン4でディ・ジャナントニオの先行を許してしまった。
終わってみればマルク・マルケスが2秒のギャップを築き独走優勝。2014年以来、11年ぶりのムジェロでの優勝となった。また、今回の優勝でGP通算93勝目となり、自身のゼッケン番号と同じ勝ち星となった。2位にアレックス・マルケス、3位にディ・ジャナントニオが入り、決勝もドゥカティによる表彰台独占となっている。
復帰戦、なおかつ得意ではないコースで苦戦を強いられた小椋だったが、10位でフィニッシュしポイントを獲得。代役参戦の中上は入賞まであと一歩の16位だった。
次戦は伝統のオランダGP。GP初年度から開催されているTTサーキット・アッセンが舞台だ。コース特性や気候もイタリアとは違い、今回とは違った勢力図になることが予想されるオランダGP。小椋にとってはMoto2クラスで優勝を果たすなど得意にしているサーキットであり、上位での戦いが期待される。
オートバイ編集部
