日本はスイスに次ぐ時計大国であるにもかかわらず、国内のブランド数は数百を超えるスイスとは異なり、国内外に幅広く展開し、確かな存在感を放つ希少なブランドである。

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現在はセイコーエプソンの傘下にあるが、その起源は1950年、東京・日野市に設立された多摩計器工業に遡る。翌1951年には社名を「オリエント時計」と改め、同年に機械式時計コレクション「オリエントスター」が誕生する。夜空に輝く星のように、美しい時間を身に着ける人とともに刻んでいく──そんな願いが、この名に込められているという。

現在、オリエントスターには「クラシック」「コンテンポラリー」「スポーツ」「レディス」という4つのコレクションがある。今回紹介するのは、スタンダードを現代的にアレンジしたコンテンポラリーラインの最新作「M34 F8 デイト」だ。

“天文好き”ならピンとくるかもしれないが、M34とは88星座のひとつ「ペルセウス座」に属する散開星団の名称。7月から8月にかけて夜空を彩る「ペルセウス座流星群」が通過するあたりに輝く天体でもある。このモデルは、そんな星の物語をモチーフにデザインされたシリーズ「M34コレクション」の最新作であり、同コレクションのフラッグシップに位置付けられる存在だ。

まず注目したいのが、国内の時計店で80本、公式オンラインストアで20本、計100本のみが限定販売されるブラック文字盤モデル。その文字盤には、世界初となる「金属ナノ粒子積層技術」が用いられており、ペルセウス座流星群の煌めきを前例のない表現で具現化している。

“時計の技術革新”というと、ムーブメントばかりに注目が集まりがちだが、実は文字盤の製造技術も近年飛躍的な進化を遂げている。塗装を幾層にも重ねることはもはや常識だが、今作はその一歩も二歩も先を行く。エプソンが誇るインクジェットプリンターの技術を応用し、ナノメートル単位の超微細な金属粒子を含むインクを積層することで、まるで天体そのものを封じ込めたかのような奥行きと煌めきを実現している。これは写真や画面では決して伝えきれない美しさだ。

“さらに、モデル名にある「F8」が示すのは、オリエントが独自に開発したシリコン製ガンギ車を搭載する自社製ムーブメント「キャリバーF8N64」。裏蓋はシースルー仕様となっており、この精緻な機構を目で楽しむことができる。

一方、レギュラーモデルとして展開されるグリーンダイヤルも魅力的だ。型打ち模様の上に、エプソン独自の光学多層膜技術を用い、透明なナノレベルの膜を何層にも重ねて仕上げられている。角度によって表情を変える繊細な色と模様は、自然光のもとでより一層その魅力を放つ。限定モデルとは異なる美学が、こちらにも確かに宿っている。

ブラックとグリーン、どちらを選ぶにせよ、このモデルの真価は、実際に手に取り、文字盤をその目で見てこそ実感できるものだ。ぜひ店頭で体感してほしい。

ORIENT STAR / オリエントスター
コンテンポラリーコレクション M34 F8 デイト リミテッドエディション
RK-BX0007B(時計店限定80本/交換用ワニ革ストラップ付き)
RK-BX0008B(公式オンラインストア限定20本/交換用コードバンストラップ付き)
40万7000円(税込)

SPEC

ケース径:40 ㎜
ケース厚:12.9 ㎜、ムーブメント:自動巻き(キャリバーF8N64)、ケース&ブレスレット:ステンレススチール 耐磁性能:第1種耐磁時計/防水性能:10気圧

Text : Yasuhito Shibuya

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