記事のポイント
エルメスは米国の関税引き上げを受け、全カテゴリーで価格を上げて影響を相殺する戦略を発表した。
価格差により、米国人が欧州での高級品購入に流れる傾向が強まり、欧州での観光消費が加速している。
米国での出店も継続し、成長は堅調ながらも控えめな1ケタ成長を想定する慎重な姿勢を示している。
米国における欧州高級品への新たな関税導入を受け、アメリカの消費者はフィフス・アベニューに向かうのではなく、飛行機のチケットを手にするかもしれない。
仏ラグジュアリーブランド、エルメス(Hermès)は2025年第1四半期の売上高が43億7000万ドル(41億ユーロ:約6700億円)に達し、為替換算ベースで9%、固定為替レートベースで7%の増加を記録した。しかし、今回の決算説明会では、全体の成長に加えて、米国での価格戦略に関する新たな方針が明らかになった。
米国の追加関税で価格戦略を見直し
米国政府は4月9日、欧州高級輸入品に対し追加で10%の関税を課す措置を施行した。さらに20%の関税も検討中である。これを受けてエルメスは、5月1日から米国市場におけるすべての製品カテゴリーで価格を引き上げると発表した。「今回の価格引き上げにより、すべてのメティエ(製品カテゴリー)において影響を完全に相殺することを狙っている」と語るのは、ファイナンシャル・コミュニケーションおよびIRディレクターのカロル・デュポン=ピエトリ(Carole Dupont-Pietri)氏だ。
これはエルメスが先陣を切ったにすぎないとみられている。「ほぼすべての高級ブランドがエルメスの動きに追随し、関税引き上げ分を価格に織り込んでくるだろう」と、調査会社バーンスタイン(Bernstein)のシニアアナリストであるルカ・ソルカ(Luca Solca)氏はGlossyに語った。「その結果、アメリカ人消費者にとってヨーロッパで購入するインセンティブがさらに高まり、関税を回避する手段として欧州渡航を選ぶケースが増えるだろう」。
これはすでに進行しているトレンドをさらに加速させる可能性がある。エルメスは直近の四半期において欧州地域で2ケタ成長を遂げており、フランスを除いた欧州全体で13%、フランス国内では14%の増収となった。この成長は、現地の安定した需要と、特に米国および中東からの観光客の増加によるものだと、同社は説明している。
「英国、イタリア、ドイツ、スイス、スペイン、オーストリアなど、欧州全体で均一な成長が見られる」と語るのは、財務担当エグゼクティブ・バイスプレジデントのエリック・デュ・ハルグエ氏。「輸出売上における最大の国籍は、中東と米国の顧客だ」。
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