「『愛の不時着』『SPY×FAMILY』……アニメと韓ドラが占拠する──Netflix日本トップ30」から続く
前回の記事では、日本におけるNetflixの人気作品トップ30を紹介した。そこでは韓国ドラマと日本アニメの強さが際立っていたが、31位以下ではその傾向にやや変化が見られる。今回はそれらの作品を分析していく。
※Netflixが各国の週間データを発表し始めたのは、2021年7月4日以降に限られる。よって、それ以前に公開された作品はランキングに入ってきにくいことは留意されたい。今回は今年3月30日までのデータを参照している。
Netflix日本トップ31-49位
31-49位の20作品の構成は、日本アニメが4作品、日本実写が11作品、韓国実写が6作品となっている(合計21作品)。上位30位以内では日本のドラマの存在感は薄かったが、この範囲では目立つようになっている。
筆者作成。
※順位は週間で1位を10点、2位を9点……10位を1点としてポイント化し、それを合計して算出。またシリーズ作品はシーズン1・2に限らず、同じ作品としてカウントしている。
『脱出おひとり島』『タイプロ』の人気
このなかで注目すべきは、リアリティ番組が3作品もランクインしていることだ。33位の『脱出おひとり島』(83pt)、35位の『timelesz project -AUDITION-』(77pt)、38位の『あいの里』(73pt)がそれに該当する。
シーズン4まで制作されている韓国の『脱出おひとり島』は、恋愛にサバイバル要素を加えたリアリティショーだ。フジテレビ系列で放送されていた『ねるとん紅鯨団』(1980~1990年代)にゲーム性を加えた内容となっている。
リミテッドシリーズでありながら人気を博しているのが『timelesz project -AUDITION-』。Sexy Zoneがtimeleszに改名し、新メンバーをオーディションで決めるこのプロジェクトは、旧ジャニーズ勢の新たな展開として大成功を収めた。これが地上波ではなくNetflixで展開されたことも従来とは異なる点だった。
これらのリアリティ番組の人気は、Netflixが単なる映画・ドラマの配信プラットフォームではなく、多様なコンテンツを提供するメディアでもあることを示している。
日本のドラマでは『今際の国のアリス』(62pt)が47位に入っていることも注目だろうか。シーズン1は2020年12月配信だったためこのデータには含まれず、2022年12月のシーズン2のみによってこのランキングとなっている。また、この作品は日本よりも海外での評価が高い傾向にある。
Netflix日本トップ52-100位
52-100位の50作品の構成は、日本アニメが7作品、日本実写が17作品、その他実写が2作品、韓国実写が24作品となっている。その半分近くが韓国の実写作品だ。
筆者作成。『地獄の果てまで連れていく』のヒット
30位以内に日韓以外の作品は『ストレンジャー・シングス 未知の世界』(21位)しか入っていなかったことはすでに確認したが、結局100位以内に入っていたのは、他には74位の『ONE PIECE』(実写版/43pt)、80位の『ウェンズデー』(40pt)だけだった。
日本の映画産業でも2000年代中期から日本映画がシェアを上回る傾向が続き、昨年は75.3%までシェアを拡大している(「ヒット作はコナン、ハイキュー!!、ガンダム…『観客動員数5000万人減』の映画館がアニメばかりになった理由」(2025年3月30日/『PRESIDENT Online』)。こうしたことを踏まえると、日本の視聴者は欧米の映像作品やその文化に関心をかなり失っている可能性があると言える。
このような状況の中、韓国ドラマは着実に日本で受け入れられていった。52位以下の50作品にもそれがよく表れている。
日本の作品も、近年は地上テレビ局が制作したドラマが増える傾向にある。最近では、深夜帯放送のTBS『地獄の果てまで連れていく』が65位(49pt)にまで来ている。これはテレビ放送で多く観られない時間帯の作品でも、アーカイブとしてNetflixで多くリーチした最たる例だろう。
逆に高視聴率だった『VIVANT』が88位(35pt)なのは、地上波放送でかなり観られた結果、Netflixでの視聴数が減ったと考えられる。こうした状況からは、日本はまだまだ地上波放送の力が強いものの、Netflixが徐々に放送の弱点であるアーカイブ性を補完していると考えられる。
Netflix日本トップ100
100位圏内の101作品(100位が2作品ある)を見ると、その傾向が明確になる。ここまで確認してきたように、日本では国内と韓国の作品がそのほとんどを占めている。そこでは韓国の実写作品(ほとんどがドラマ)の強さが際立っている。
筆者作成。
日本のアニメと実写の作品は、その人気の内実に違いがある。ポイントで見ればアニメが2314ptに対し実写は1865ptと、5.8%の差がつく。しかしランクインした作品個数では、実写のほうがアニメよりも8作品も多い。
これが意味するのは、日本の実写作品は一作品あたりのランクが高くないことだ。つまり、アニメの方が視聴者からの支持が強く、効率的に視聴を集めていることを示唆している。
日本の実写は、多数の作品をランクインしているが、特定の大ヒット作品が少ない可能性がある。もちろん、日本のドラマは地上波でたくさん観られていることもあり、こうした結果になっていることは留意すべきだろう。
本連載01:『愛の不時着』『SPY×FAMILY』……アニメと韓ドラが占拠する──Netflix日本トップ30(2025年4月6日/『Yahoo!ニュース:エキスパート』)関連記事『二十五、二十一』はラブコメの先にある“風景”を見せる──回想されるネット黎明期の若者たち(2022年4月7日/『Yahoo!ニュース:エキスパート』)『今、私たちの学校は…』はコロナ時代にゾンビを再定義する──『イカゲーム』に続く韓国ドラマの大ヒット(2022年2月8日/『Yahoo!ニュース:エキスパート』)『イカゲーム』はデスゲームを“重く”描く──韓国版『カイジ』がNetflix世界1位の大ヒットに(2021年9月30日/『Yahoo!ニュース:エキスパート』)
