パラスポーツに触れ、共生社会への理解を深めてもらおうと、神戸市で開催中の「世界パラ陸上競技選手権大会」の観戦に、兵庫県内の学校に通う子どもら約3万人を無料招待する事業が行われている。コロナ禍で観戦の自粛が相次いだ2021年の東京パラリンピックを超える規模で、観戦費用は企業や団体の寄付などで実現させた。(神戸総局 高田果歩)
1学級単位で
「ニッポン、頑張れ」「行け、行け」
神戸総合運動公園ユニバー記念競技場(須磨区)のバックスタンドでは連日、子どもたちがメガホンを手に声援を送っている。21日に児童約180人が車いすレースや走り幅跳びを観戦した神戸市立中央小6年生(11)は「頑張っている選手の姿を間近に見てすごいと思った。夏のパリ・パラリンピックもテレビで見たい」と笑顔を見せた。
子どもたちの姿は、選手の励みにもなっている。同日午前の車いすレース、女子100メートル(脳性まひT34)に出場した地元・兵庫県三田市出身の北浦春香選手(32)は「国内大会でこれほどの声援が送られることはめったになく、力になった。パラ陸上を知ってもらうきっかけになればうれしい」と声を弾ませた。
1学級単位で
子どもたちの観戦を支える今回の仕組みは、県や神戸市、日本パラ陸連などでつくる大会組織委員会が発案した。国内のパラスポーツは無料観戦が多いが、東京パラで認知度が高まり、世界の有力選手が出場する今大会は有料。チケット代や交通費を1学級単位(約5万円)で支援してもらう「ONEクラス応援制度」を設け、県内外の約180の企業や団体から約3200万円が集まった。
県内の小中高や特別支援学校に組織委が参加を呼びかけ、神戸市立学校の約4割が参加するなど、県内の約130校から計約2万8500人の応募があった。
東京パラでも「学校連携観戦プログラム」が公費で実施されたが、コロナ禍で参加を見送る学校が多く、観戦者は1万5000人余り。今回はそれを上回る数の子どもがパラスポーツに触れる機会を得た。
共生社会へ行動を
取り組みに協力した「白鶴酒造」(神戸市東灘区)では、20年以上前から障害者を積極的に採用。生産現場や事務の仕事で活躍してもらっている。広報担当者は「障害を乗り越えるパラアスリートの姿は、子どもたちが何かに打ち込んだり、努力したりする糧になるはずだ」と語る。
障害者スポーツに詳しい日本福祉大の藤田紀昭教授(61)は「観戦した後に、障害者との共生社会について学んだり、ボランティアをしたりと、行動に移すことが期待される。企業には、障害者雇用の促進やバリアフリー製品の開発など、障害者が暮らしやすい環境の実現に取り組んでほしい」と話している。
チケット7割超、開幕時に販売済み
大会(5月25日まで)で販売されるチケットは計約6万6000枚。17日の開幕時点で、一般向けの約2万枚と学校観戦会の約3万枚を合わせて、7割以上が販売済みで、17~21日に累計約4万7000人が入場した。
価格は前売りS席1800円、A席800円など。競技は午前9時~正午、午後5~8時の2部構成で、当日午後6時まで前売り価格で購入できる。チケット1枚あたり100円が能登半島地震の被災地でのパラスポーツ支援に充てられる。
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