中国の伝統芸能「変面」を披露する「川崎変面少年 悟空」が、川崎市を中心に、イベントなどで活躍している。演じているのは市立高津高校3年生、菅原一将さん(17)だ。小学生の頃に変面の存在を知り、独学で会得したという。菅原さんは「お呼びがかかれば駆けつけます」と張り切っている。(斎藤茂郎)「川崎変面少年 悟空」を演じる菅原さん(4月28日、川崎市川崎区で)「川崎変面少年 悟空」を演じる菅原さん(4月28日、川崎市川崎区で)
 4月下旬、川崎駅周辺で開かれた「アジア交流音楽祭」に出場。「悟空よ、
天竺(てんじく)
までの道のりは長く険しいぞ」という父親の淳さん(57)の語りで始まり、「西遊記」の孫悟空をイメージした衣装、白と赤の仮面で登場し、如意棒を鮮やかに回す。マントや扇で一瞬顔を隠すと、次の瞬間には紫の仮面、女形の仮面と変化し、観客は「信じられない」という表情でさかんに拍手を送っていた。

 菅原さんは小学3年生の時、横浜中華街の春節祭で初めて変面を見て、心を奪われた。「面が一瞬で変わる。『何だこれは』と衝撃を受けた」。変面は中国の四川省に伝わる「川劇」の技法で、限られた継承者にしか伝えられない秘技だったとも言われる。中華街で演じていたのは、世界で活躍する雑伎俳優の張海輪さんで、悟空を演じていた。顔を隠した一瞬のうちに仮面が変わる顔を隠した一瞬のうちに仮面が変わる すぐに「自分もやりたい」と思ったが、仕組みはわからないまま。しかし6年生の時、たまたま訪れた東京都内の中華料理店で、変面ショーが行われていた。菅原さんは楽屋に行き、間近で見させてもらった。 十分に理解できたわけではなかったが、この経験を基に、手先が器用な祖父の昭一さん(84)が仕掛けの付いた仮面を作ってくれた。あこがれの悟空を演じるため、素早く仮面を変えたり、如意棒を回したりする練習を重ねた。 そして、小学校の卒業式での謝恩会で、初めて人前で披露。練習の成果で変面はうまくいき、同級生たちからは「驚いた」という声が寄せられた。小学校時代にいじめを受けたこともあったが、この経験で「自信がついて、確実に自分を変えることができた」という。 その後は中学校の文化祭や、地域のイベントなどで披露するようになり、仮面の数も6枚から9枚に増やした。2020年に都内で開かれた「大江戸よしわら 節分お化け異装コンテスト」に出演した際には、優秀賞にあたる「幻惑賞」を受賞した。練習に励む菅原さん(川崎市多摩区の自宅で)練習に励む菅原さん(川崎市多摩区の自宅で) 見よう見まねで始めたため、変面の技術を完全に理解できたわけではない。京劇の教室に参加したり、大道芸を見学したりして、独学で工夫を重ねてきた。高校3年になり、受験勉強との両立も課題だが、今後は素顔を出した後に再び一瞬で仮面を付ける技術を身につけ、ショーを締めくくるのが目標だ。 次に決まっている出演は、夏休みに地元・川崎市多摩区で行われる「星が丘納涼祭」。「天才にはなれなくても、努力の天才にはなれる。腕を磨いて、たくさんの人に変面で楽しんでもらいたい」と話している。

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