【ニューヨーク=小林泰裕】小型ビジネスジェット機「ホンダジェット」を開発し、米国航空宇宙学会から「ダニエル・グッゲンハイム・メダル」を受賞した藤野
道格(みちまさ)
氏(63)が、読売新聞のインタビューに応じた。「ホンダがゼロから航空機を作り、米国の学会から認められたことは大変な栄誉だ」と喜びをにじませた。
ホンダジェット開発者の藤野道格氏(15日、ワシントンで)=小林泰裕撮影 ダニエル・グッゲンハイム・メダルは1929年に創設され、過去にライト兄弟や米飛行士のチャールズ・リンドバーグ、米航空機大手ボーイングの創業者らが受賞している。航空業界で最も名誉ある賞の一つとされ、日本人の受賞は藤野氏が初めてだ。
ホンダが航空機の開発を始めたのは1980年代に遡る。米国では当時、「日本人に飛行機を作れるのか」との声もあったというが、藤野氏は「私の受賞で日本人に対する見方も変わるはず」と話した。 受賞の決め手の一つは、主翼の上にエンジンを載せるホンダジェットの独特の構造だ。 航空業界では、飛行中に主翼が受ける空気抵抗を減らすためにエンジンを胴体に取り付けるのが常識だった。しかし、藤野氏らはエンジンの位置や大きさを調整し、主翼の上に載せることで逆に、抵抗を減らすことができることを突き止めた。この理論を具体化し、事業化に結びつけたことが業界でも高く評価されており、藤野氏は「時代を先取りした設計だった」と振り返った。 藤野氏は、自身を1995年に野球のメジャーリーグに挑戦し、旋風を巻き起こした野茂英雄氏になぞらえ、「私の後に多くの日本人が続いて欲しい。20年後には、大谷翔平選手のような人物が航空業界に現れてほしい」との期待も語った。
ホンダジェットの現行機「エリート2」(3月6日、米ノースカロライナ州で)=小林泰裕撮影 ホンダジェットは2015年の発売以降、約250機が販売された。エンジンを主翼の上に取り付けたことで、飛行中の機内の騒音も抑えられ、燃費も向上した。新規参入が難しいとされる航空機業界で、小型機のベストラーになっている。 藤野氏は「私にとって、ホンダジェットはビジネスジェット界のスポーツカーのようなもの。良い車に乗っている人が満足できる機体だ」と話した。 ホンダ創業者の本田宗一郎氏は、航空機に強い情熱を持っていた。ワシントンで15日に行われた授賞式で、藤野氏は「革新的な航空機を開発し、この非常に名誉あるメダルを受賞できたことを本田氏に報告したい」と話した。◇
ふじの・みちまさ
1960年生まれ。84年ホンダ入社。30年以上にわたって航空機開発に携わり、2006年から22年までホンダの米航空子会社「ホンダエアクラフトカンパニー」社長。15年発売のホンダジェットの開発を主導した。青森県出身。
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