カワウを追い払うため、ロケット花火を発射する渡辺理事(宇都宮市下小倉町で)
深刻な被害をもたらしているカワウ(渡辺美郎さん提供)
県特産のアユを捕食し、漁獲量に甚大な被害を与える水鳥のカワウ。県は2019年、冬季の生息数を1000羽に減らす目標を定め、東京都や関東近郊の各県とも連携しながら対策に奔走してきたが、5年を経た今も達成できていない。背景にはカワウの生息域の広さがあるといい、県は他自治体との連携強化に向け動き出している。(奥山大輝)
パン! パン!―― 宇都宮市の鬼怒川河川敷で先月中旬のある朝、ロケット花火の破裂音が鳴り響いた。鬼怒川漁業協同組合の渡辺立美理事(72)が自作の発射器を手に、遠くを飛ぶカワウの姿を仰いだ。 アユを放流する4月に合わせ、本県を含む関東広域11都県で06年から行われている「一斉追い払い」の一幕だ。渡辺理事はその数日前から活動を開始。この日までに目視できる羽数は減ってきたというが、「人が入れない上流に移ったのだろう。カワウの賢さには手を焼く」と、楽観視はしていなかった。 県によると、カワウは県内全域の水辺で姿が確認されている。生息数は、最多となる12月に毎年調査しており、16年の2583羽をピークに、近年は1300~1900羽程度で推移。昨年は1799羽だった。 漁業への被害は大きい。県農村振興課によると、本県が全国有数の漁獲量を誇るアユの被害額は、17年の試算で約3億3500万円だった。同年のカワウの生息数が1682羽だったことから、近年も同程度の損失があると見込まれている。
県は19年、これまでの「カワウ保護管理指針」を「カワウ管理指針」と改名。保護の観点から定めていた捕獲数の上限を撤廃した。ドローンを使って巣の中にドライアイスを入れて
孵化(ふか)
を止めるなど繁殖の抑制にも本格的に着手している。さらに昨年2月には、カワウを見つけた人が居場所などを投稿するLINEアプリ「カワウ110番」の運用も開始した。
猟友会による捕獲も継続しており、近年の「捕獲数」は毎年度1000羽を超え、多いときには1800羽に迫る勢いだ。都内の認定NPO法人「バードリサーチ」の高木憲太郎代表は「栃木は対策を工夫し、被害が増えないようコントロールできている」と評価する。 それでも数が減らない理由として指摘されるのが、県外から飛来している可能性だ。県の発信器による調査では、カワウが約半年間で栃木、茨城、千葉、東京を往来していたことが分かっている。高木代表も「北海道や東北で繁殖し、冬に南下していることも考えられる」と分析。県の関係者は「被害の大小によって自治体ごとに熱量の差もある。どれだけ対策しても県外から入ってくるのならイタチごっこだ」と嘆息する。 こうした現状を打破すべく、県は、一斉追い払いを行う11都県や関係省庁などでつくる協議会で、対策に積極的な自治体による部会を作ることを要望。カワウの移動に合わせるなど、より効果的な対策を模索している。県農村振興課の担当者は「被害の大きい自治体でさらに連携を強め、大切な水産資源を守りたい」と意気込んでいる。
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