この春、強烈な臭いを放つカメムシが姿を見せている。本来、この時期は山林にいるはずだが、昨秋の大発生で越冬数が平年よりも多く、餌を求めて都市部にまで飛来して、時期外れの目撃につながっているようだ。郊外では収穫前の果樹への被害も懸念され、自治体が相次いで注意報を出している。(松田祐哉)暖冬も影響
店舗の看板に集まるカメムシ(2日夜、大阪府池田市で)=飯島啓太撮影 「夜に電飾の付いた店の看板や壁に集まってくる。殺虫剤をまいてもまた来る。もうお手上げだ」
大阪府池田市の阪急石橋阪大前駅近くで古着店を経営する男性(50)は嘆く。ツヤアオカメムシ(体長約1・5センチ)とみられ、4月中旬から目立ち始めた。店内にも侵入し、日々、駆除と死骸の掃除に追われているという。
カメムシは7月頃から餌となるスギやヒノキの実がなる山林へ移動。そこで産卵し、親の世代は死ぬ。いま目に付くのは繁殖前の親世代だ。昨冬(12~2月)は1898年の統計開始以降2番目の暖かさで、多くのカメムシが冬を生き延びたとみられる。再び動き出す4月の平均気温も今年は平年比で2・76度高く、暖かいほど活発になるカメムシにとって好条件がそろう。狙われる果樹 農林水産省によると、今月2日現在、果樹を狙うカメムシに関する注意報が13府県で出ている。警戒の対象は主にツヤアオカメムシ、チャバネアオカメムシ、クサギカメムシで、各自治体は薬剤の散布や果実への袋掛けなどの対策を呼びかけている。 4月17日に注意報を出した鳥取県は、記録が残る中では過去最速の発令となった。越冬数は平年の3倍超で、県園芸試験場の戸板重則主任研究員は「果樹への被害防止のため、発令を急いだ」と説明する。 愛媛、山口両県でも越冬数が平年の4倍で、過去10年間で最多。山口県の担当者は「飛来がいつもより早い印象だ」と警戒する。今秋は 農水省は、今季は花粉の飛散量が少なくスギやヒノキの実もそれほど多くない可能性があり、秋に山で餌不足に陥ったカメムシが都市部や果樹園にまた飛来するのではないかとみている。 カメムシに詳しい伊丹市昆虫館(兵庫県)の長島聖大学芸員は「昨秋の大発生の影響で今春は例年より目立つのだろう」としたうえで、発生動向について「気象や餌の量などに左右され、予想が難しい」と指摘する。京都大の藤崎憲治名誉教授(昆虫生態学)は「越冬数が多く、夏にかけて果樹に被害が出る恐れがあり、引き続き注視が必要だ」と呼びかける。
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