藤原氏の氏神を祭る奈良市の春日大社に奉納された神宝を紹介する特別展「平安王朝の栄華 源氏物語の時代」が、春日大社の国宝殿で開かれている。当時の最高峰だった技術の粋を集めた太刀や矢、美術工芸品が一堂に会し、平安時代の王朝文化の雰囲気を堪能できる展示となっている。(有留貴博)猫がスズメを追う様子が鞘に表現された国宝「金地螺鈿毛抜形太刀」(奈良市で)猫がスズメを追う様子が鞘に表現された国宝「金地螺鈿毛抜形太刀」(奈良市で)

 春日大社は768年、平城京鎮護のために創建。藤原氏の氏社として繁栄してきた。「源氏物語」の作者・紫式部が主人公のNHK大河ドラマ「光る君へ」で主要な役割を果たす藤原摂関家をはじめ貴族や武家の有力者が納めた神宝が現代まで多数保管され、「平安の正倉院」とも呼ばれる。 会場のそこかしこに、その逸品がずらりと並ぶ。藤原道長が奉納したとされる重要文化財「素文鏡」藤原道長が奉納したとされる重要文化財「素文鏡」 重要文化財「素文鏡」は、平安時代の青銅鏡だ。文様が施されておらず、「寛弘八年」(1011年)「正月八日」の文字が彫られている。栄華を極めた藤原道長(966~1027年)が奉納したとされる。
 国宝「
金地螺鈿毛抜形太刀(きんじらでんけぬきがたたち)
」(6月9日まで展示)は、猫がスズメを追う様子などが
鞘(さや)
に表現されている。道長の子孫、頼長(1120~56年)が奉納したと伝わり、当時としては珍しく装飾の金具に金が用いられているところから、藤原氏の権勢をうかがうことができる。
「平胡●」の復元模造品「平胡●」の復元模造品 頼長が奉納したと伝わる矢を収める道具「平胡●(ひらやなぐい)」は、国宝の実物と復元模造品を並べて展示。双方を見比べ、往時の形態や華やかさがわかりやすいよう工夫を凝らした。
 ほかにも、室町時代の「競馬図
屏風(びょうぶ)
」は約2年がかりの修理を経ての公開。貴人が愛した競馬の様子を描いたもので、経年劣化のゆがみが解消され、色も以前より見やすくなっている。
 松村和歌子学芸員は「当時の華やかさや細工の見事さを感じとってもらえれば」と話している。 8月4日まで。6月10日は展示入れ替えで休館。大人500円、高校・大学生300円など。問い合わせは春日大社(0742・22・7788)。※●は、たけかんむりの左下に「金」、その右側に「互」のうえの線がない字の下に「したみず」

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