インタビューに応じる商工中金の関根社長(東京都中央区で) 商工中金で知られる商工組合中央金庫は、中小企業向けの金融機関として全国で営業している。政府は保有する46・5%分の株式を売却し、2025年度にも民営化させる方針だ。今後は経営の自由度が増し、業務範囲の拡大が期待される。関根正裕社長に戦略を聞いた。
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人材不足、中小企業で最大の課題 ――民営化後、どのような経営を目指すのか。 「これまでは業務制限があり、民間の銀行とかなり格差があった。制限が緩和されることで、新たに取り組むことができる業務の範囲が広くなる。中小企業を支援する商工中金にとってとても重要なことだ。 中小企業のニーズや課題が多様化、高度化、複雑化する中で、様々なソリューションの組み合わせが必要になってきている。スピード感をもって対応したい。 投資業務では、23年に専門の子会社、商工中金キャピタルを設立した。今は商工中金法の制限を受けているが、民営化によって緩和されれば、事業承継やスタートアップ(新興企業)、事業再生の支援など、領域は多岐にわたる。サポートの強化は、大きな意義があり、陣容も強化していきたい。 中小企業で最大の課題は人材不足だ。経営人材も含め、人材の紹介や育成を進める必要がある。人手不足の中で、社員のモチベーション(やる気)や幸福度に注目する企業も増えている。 従業員へのアンケート調査を基に、会社の幸せ度を見えるようにする幸せデザインサーベイというサービスは、すでに1000社以上が導入しているが、このような人材のプラットフォームになるようなサービスを提供していきたい」フィンテック子会社など準備、検討 ――デジタル領域はどう進めるか。 「中小企業の生産設備は効率化されてきたが、管理やサービスでは遅れているところもある。ビジネス基盤を整えたい。例えば、企業間の受発注や入出金管理に、金融機能を付け足すようなサービスの展開も考えている。 (デジタル金融サービスの)フィンテック子会社などを持てるようになるので、25年度くらいにスタートできるよう、準備、検討を進めたい」 ――事業者向けのポータルサイト「ビズリンク」を本格稼働した。 「業務の効率化につながると思う。今までは電話がベースだったり、通帳に記帳したりしていたが、電子化によってシステムにつなぎ、会社にいながら、取引や残高の照会、書類のやり取りなどができる。まだ、スタート段階だが、さらに機能を拡張させていく」 ――気候変動への取り組みも欠かせない。 「二酸化炭素(CO2)の排出を巡っては、(中小企業が)サプライチェーン(供給網)から外されてしまうリスクがある。きちんとした対応が必要だ。問題意識があっても、手を付けられないという企業も多いはずだ。まずは、自分の会社がどれくらいCO2を排出していて、どれだけ削減する必要があるのか。そのサポートをしっかりとやっていきたい」
ビズリンク
生産性の向上や経営課題の解決に役立つ情報を提供するインターネットのサービス。取引情報の照会や各種手続き、経営診断サービスなどが来店不要で受けられる。法律や税務、労務、知財といった各分野の専門家への相談窓口もある。
◆関根正裕氏(せきね・まさひろ)
1981年早大政経卒、第一勧業銀行(現みずほフィナンシャルグループ)入行。2007年西武ホールディングスに入社し、プリンスホテルの取締役常務執行役員を務めた。18年3月から商工中金社長。東京都出身。開成高校時代は野球部主将で、守備位置はショート。セカンドを守る岸田首相と二遊間でコンビを組んでいた。
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