新たに見つかった写本などについて説明する東川禰宜(京都市上京区で)新たに見つかった写本などについて説明する東川禰宜(京都市上京区で)

安土桃山時代、神職が講釈の内容を書き残した「源氏物語聞書」や系図など(京都市上京区で)安土桃山時代、神職が講釈の内容を書き残した「源氏物語聞書」や系図など(京都市上京区で) 北野天満宮(京都市上京区)と「源氏物語」には、あまり知られていない深い関係がある――。両者の関わりを示す写本などが見つかり、同天満宮宝物殿で開催中の特別展で初公開されている。神職が古典や和歌の教養を身につける上で、源氏物語が重要な役割を果たしてきたという。(畝河内星麗)
 初公開されているのは、源氏物語の解釈を記した写本や登場人物の系図など計約100点で、安土桃山時代から明治期にかけて書かれたとみられる。祭神・菅原道真(845~903年)の遺徳をしのぶ神事「
半萬燈祭(はんまんとうさい)
」(2027年)に向け、同天満宮の神職らが所蔵史料を調べる中で発見した。
 同天満宮では947年の創建以来、「怨霊」として恐れられていた道真を鎮めるため、道真が生前好んだ連歌の奉納を重んじ、神職も連歌の修得が必須とされてきた。 今回の調査では、江戸時代に神職らの学びの場として開設された「北野学堂」で、同天満宮創建後の平安中期に創作された源氏物語などの古典文学の講義が度々開かれていたことが神職の日記から明らかになった。教養として、先人の豊かな心情表現や自然描写を学んでいたと考えられるという。 北野学堂は一般人にも開放され、庶民も講義に参加できた。こうした点からは、北野天満宮が古典文学としての源氏物語の認知度を広め、芸術や文化を身近に学べる学問所の機能も担っていたことがうかがえる。
 初公開された史料の一つ、「源氏物語
聞書(ききがき)
」には、同天満宮で行われた源氏物語の講釈の内容が書き残されている。登場人物のモデルとして、主人公の光源氏は平安時代中期の公卿・
源高明(みなもとのたかあきら)
、光源氏の父・桐壺帝は醍醐天皇とする記述もある。

 古典文学に精通していた室町時代の公家・一条兼良(1402~81年)が記した源氏物語の注釈書「源語
秘訣(ひけつ)
」の写本も見つかった。同書には、登場人物の服装や平安貴族の生活様式、風俗などが事細かに分析されている。

 同天満宮の東川
楠彦(くすひこ)禰宜(ねぎ)
は「歴代の神職たちが、歌の心を身につけるためにどれほど古典文学を必要としてきたかがよくわかる。源氏物語と北野天満宮の深い結びつきを多くの人に知ってほしい」と話す。
 特別展「天神様と源氏物語」は6月30日まで。問い合わせは北野天満宮(075・461・0005)。

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