夕暮れに輝き出す正院小学校の応急仮設住宅「正院町第一団地」。すぐそばには営業再開したガソリンスタンドのオレンジ色の明かりがともる。深い傷を負った町の一角で、生活再建に向けた人々の歩みが始まっている(石川県珠洲市で)夕暮れに輝き出す正院小学校の応急仮設住宅「正院町第一団地」。すぐそばには営業再開したガソリンスタンドのオレンジ色の明かりがともる。深い傷を負った町の一角で、生活再建に向けた人々の歩みが始まっている(石川県珠洲市で) 西の地平線に日が沈むと、夕闇の深まりとともに町の一角が輝き出した。石川県珠洲市の沿岸部、正院町地区。正院小学校の校庭に建設された応急仮設住宅だ。

62年ぶり「勧進大相撲」、能登半島地震の被災地支援…石川出身・大の里「元気を届けたい」

3月から正院小学校の仮設住宅に入居した市保羊作さん(左)と妻・百合子さん。「住み慣れたこの町に暮らし続けたい」。片付けで訪れていた自宅のガレージで笑顔を見せた(石川県珠洲市で)3月から正院小学校の仮設住宅に入居した市保羊作さん(左)と妻・百合子さん。「住み慣れたこの町に暮らし続けたい」。片付けで訪れていた自宅のガレージで笑顔を見せた(石川県珠洲市で)
 工期が短いコンテナ型の住宅で、能登半島地震の被災地でいち早く完成した仮設住宅のひとつ。3月に入居した
市保(いちぼ)
羊作さん(75)と妻・百合子さん(71)は、倒壊した自宅を片付け、手つかずだった畑で汗を流して日々を送る。
 地震発生後は車中泊を2週間、その後は自宅のガレージなどで寝泊まりを続けた。「ようやく夜、安心して眠れるようになった」と喜ぶ。 76戸の仮設住宅では176人が生活再建に向け歩みだした。周辺に広がる住宅地はほとんどの建物が被災。夜は暗がりに包まれる。「片付けは進まんし、この先、人がどんどん減ってしまうんでは……。でも命があるだけでも感謝せんとね」百合子さんは不安をこらえ、犠牲となった知人のためにもと前を向く。大規模な火災に見舞われた輪島市中心部の朝市通り周辺。総務省消防庁によると、約240棟が焼け、焼失面積は約4万9000平方メートルに及んだ(石川県輪島市で)大規模な火災に見舞われた輪島市中心部の朝市通り周辺。総務省消防庁によると、約240棟が焼け、焼失面積は約4万9000平方メートルに及んだ(石川県輪島市で) 元日の能登を襲った地震の傷は半島各地に残る。小型無人機(ドローン)で低高度から迫るとその深さに改めて息をのむが、人々は復興に向け動き出している。 「単に復旧するのでなく、訪れた人に『変わったね』と言われたい」。力強く語るのは七尾市の和倉温泉観光協会の多田邦彦会長(72)だ。 建物には亀裂が入り、護岸も広範囲が被災。建て替えで営業再開に数年かかる旅館もある。しかし、営業をやめるという話はなく、各旅館が前向きに復興することで一致。復興支援関係者を受け入れている施設もある。地震でいくつもの大きな亀裂が入った棚田「白米千枚田」。被害は大きかったが、田植えに向けた作業が一部の田んぼで始まっている(石川県輪島市で)地震でいくつもの大きな亀裂が入った棚田「白米千枚田」。被害は大きかったが、田植えに向けた作業が一部の田んぼで始まっている(石川県輪島市で)営業再開に向けて準備が進む和倉温泉。七尾湾に面した護岸は土のうが積まれていた(石川県七尾市で)営業再開に向けて準備が進む和倉温泉。七尾湾に面した護岸は土のうが積まれていた(石川県七尾市で) 「コロナ禍前には年間約90万人が訪れたが、100万人ぐらいに」。多田会長は高い目標を掲げた。 深手を負った能登にともる再建の灯。その輝きが増していくのは、これからだ。(写真と文・上甲鉄、伊藤紘二、尾賀聡) 各地のニュースの現場を、ドローンならではのアングルで毎月リポートします。

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