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三菱UFJリサーチ&コンサルティング 調査部 主任研究員
中国製EVの急増を問題視するEU
2025年に再登板したドナルド・トランプ大統領の下、米国は保護主義の性格を強めている。その米国を舌鋒鋭く批判するのが欧州連合(EU)だ。EUは自らを自由貿易の旗手であるかのように位置付けるが、結局はそのEUも保護主義の傾向を強めている。

写真=EPA/時事通信フォト
欧州議会の討論に臨むウルズラ・フォン・デア・ライエン欧州委員長=2026年10月21日、フランス・ストラスブール
そのEUの“二枚舌”を明らかにする出来事が、10月中旬に立て続いた。
まず、EUは中国製のハイブリッド車(HV)とプラグインハイブリッド車(PHV)に対して、12月からセーフガード(緊急輸入制限)を発動すると発表した。すでにEUは、中国製の電気自動車(EV)に関して、2024年11月よりベース関税10%に加えて最大で35.3%の追加関税を課すことで、輸入を抑制する措置を取っていた。
しかしHVとPHVに関しては同様の措置を取らなかったため、中国製のHVとPHVの輸入が急増した(図表1)。EUはこのことを問題視し、今回のセーフガードを導入するに至った。2026年にEUが輸入する中国製のHVとPHVの台数は80万台に上ると予測されているが、2027年にはこれを35万台まで制限することになる。

出所=欧州連合統計局(ユーロスタット)
ただし、その後4年間は年6%までの増加を容認する。ゆえに最終年の2030年には、EUは計42万台の中国製のHVとPHVの輸入を容認する。また中国メーカーがEU域内で生産したHVやPHVには適用されないという点でも、EUは中国側に一定の配慮をしているが、中国製のHVとPHVそのものを抑制する姿勢に変わりはない。
日本からの輸入車も補助金給付の対象外に
この措置自体は、日系メーカーにとって“対岸の火事”である。一方、日系メーカーにとって衝撃的だったのが、ドイツとフランスによる政治合意だった。
それはEUが今後、EU域内のメーカーが生産した電動車でない限り、購入補助金を給付しないという政治合意である。日本から輸出された電動車に関しては、補助金の給付対象外にする方向となったわけだ。まだEU全体として決まったわけではないが、EUの二大国の合意だけに、その方向で話は加速することになる。
