VIVANTロケ地、島根県奥出雲町の櫻井家住宅に聖地巡礼ツアー 重要文化財の公開時間と入館料

時間がない人向けの30秒で理解ゾーン

TBS系日曜劇場「VIVANT」で主人公・乃木憂助の実家として登場する島根県仁多郡奥出雲町の櫻井家住宅に、10月29日、旅行会社主催の聖地巡礼ツアーの一行が訪れた。報道によると、10月25日放送の第22話で描かれたノゴーン・ベキの場面は、櫻井家住宅の別邸「新座敷」で撮影されていた。庭園のモミジも色づき始め、見頃は11月中旬の見込みだ。

平日も人が集まる「乃木家」に東京や北海道から

報道によると、10月29日の櫻井家住宅には、旅行会社が主催する「聖地巡礼ツアー」で東京や北海道から来た一行の姿があった。東京から参加したツアー客は「今回のツアーでここがいちばん楽しみでしたので、きょうは本当にうれしいです」と話している。ドラマの効果で、平日も多くの観光客が訪れているという。ツアーを主催した会社の名前や料金、参加人数は報じられていない。

ドラマとの縁は第1シーズンから続く。櫻井家住宅は2023年放送の第1シーズンで乃木(堺雅人)の実家として描かれ、7月26日に始まった第2シーズンでも物語の舞台になっている。江戸時代から残る屋敷そのものがロケ地になっている。第1シーズンでは、高校生の乃木が初めて実家を訪れる場面や、若き日の両親の場面、野崎守(阿部寛)が乃木の伯父・寛道(井上順)を訪ねる場面がここで撮られたと紹介されている。

なぜ奥出雲だったのか。

報道によると、福澤克雄監督が奥出雲町を初めて訪れたのは、2004年のTBS系ドラマ「砂の器」のロケだった。そのときに櫻井家とたたら製鉄の歴史を知り、櫻井家住宅でも撮影したことが、縁の始まりとされる。

第22話のベキの場面は別邸「新座敷」で

ここからは第22話の内容に少し触れる。

ノゴーン・ベキ(役所広司)は、第1シーズン最終回の第10話で乃木の銃弾に倒れていた。乃木の実の父で、謎の組織「テント」を率いる人物だ。10月25日放送の第22話では、そのベキが部下のバトラカ(林泰文)、ピヨ(吉原光夫)とともに生きていて、奥出雲の乃木家で療養していることが明かされた。3人は野崎らの計らいで生き延びていたという設定だ。

地元テレビ局の報道によると、死んだと思われていたベキと、部下のバトラカ、ピヨが実は生きていたという場面は、櫻井家住宅の別邸「新座敷」で撮影された。櫻井家住宅を訪れた広島からの観光客も「ベキが療養されてましたね。ここで」と話していたという。

屋敷には、藩主ゆかりの座敷もある。文化庁の解説によると、主屋に接続する座敷は、松江藩主の御成(藩主の来訪)が行われるようになった19世紀初めに増築された。江戸時代後期の数寄屋風書院の好例とされる。

第2シーズンの物語は終盤に入る。第23話は11月1日、最終回は11月8日に放送される予定だ。

たたら製鉄の鉄師頭取の屋敷、9棟が重要文化財

櫻井家は、戦国武将・塙団右衛門の流れをくむ家だ。広島近郊の可部郷で製鉄業を営み、3代目の直重が上阿井へ移って屋号を「可部屋」と名乗り、「菊一印」の銘鉄を生み出した。宝暦5年(1755年)には、鉄師(たたら製鉄の経営者)の仲間を束ねる鉄師頭取を松江藩から任されている。

主屋は元文3年(1738年)の完成。古蔵はそれより少し早い1735年に建ち、ほかの建物は主屋のあとに順に建てられた。2003年5月30日には、主屋や後座敷、釜屋、厩、古蔵、4棟の土蔵の計9棟が国の重要文化財に指定された。文化庁は、たたら製鉄の中心地にあって、谷間に鉄師頭取の屋敷構え全体を伝える遺構として貴重だと評価している。

庭園も見どころが多い。松江藩主の松平不昧(治郷)が「岩浪」と名付けた滝のある庭園は国の名勝で、紅葉の名所としても知られる。敷地内の可部屋集成館は、櫻井家に代々伝わる品々を集めた歴史資料館だ。2026年は例年より長い冬期休館を経て3月26日に開館し、「四季を彩る奥出雲・可部屋の風景」を年間の展示テーマに掲げる。夏には「南画に描かれた櫻井家“清聴軒”と奥出雲」と題した展示も開いた。そば処「清聴庵」も、4月25日から土日祝日を中心に営業している。

公開期間と入館料、紅葉は11月中旬が見頃

可部屋集成館の公式サイトによると、営業時間は午前9時から午後4時30分まで。月曜が休みで、祝日の場合は翌日が休みになる。島根県観光連盟の案内では、入館は午後4時までで、11月は休まず開館する。12月中旬から3月中旬は冬期休館に入るため、2026年の見学は12月上旬までが目安だ。奥出雲町観光協会の案内では冬期休館を12月初旬からとしているため、12月に訪れる場合は事前に確かめたい。

区分共通券(集成館・庭園)集成館のみ庭園のみ大人1000円700円400円高校・大学生650円400円300円小・中学生450円300円200円

20人以上の団体は共通券と集成館の料金が割引になり、障害者手帳を持つ人は半額だ。住所は島根県仁多郡奥出雲町上阿井1655。JR木次線の出雲三成駅から車で約20分、路線バスなら内谷行きで終点まで24分、そこから歩いて5分かかる。

紅葉はこれからが本番になる。櫻井家住宅の櫻井紀子さんは10月29日の取材に、家で一番早く色づくモミジもまだこれからだとして、「11月の10日前後になると、かなり色づいてくるのではと心待ちにしています」と語った。例年どおり、11月中旬に屋敷を囲む木々が赤く染まり、見頃を迎える見込みだ。

公式ツアーやスタンプラリーも続く

聖地巡礼の手段は個人旅行だけではない。クラブツーリズムは7月27日、島根県観光連盟の協力を得た「VIVANT」の公式ツアーを発売した。発表された島根のコースはいずれも首都圏発で、櫻井家住宅を訪れる。

コース日数・出発時期旅行代金個人では行きにくい前作のロケ地 奥出雲と主人公・乃木憂助のルーツを探す島根の旅3日間・2026年10〜11月11万5000円【おひとり様参加限定】現地コーディネーター同行聖地巡礼「島根編」2日間・2026年9〜11月13万9000円〜14万9000円

3日間のコースは旧大谷小学校(松江市)や鬼の舌震(奥出雲町)、出雲大社も回り、撮影関係者が使ったホテルに泊まる。2日間のコースはバスを1人2席で使い、1グループ最大23人の少人数で、撮影スタッフも訪れた店での夕食が付く。出発日や空席、申し込みは同社の特集ページで受け付けている。10月29日に櫻井家住宅を訪れたツアーが、これらのコースかどうかは報じられていない。

県内では、島根県観光連盟の「VIVANT×SHIMANE 特別任務スタンプラリー」も11月8日まで開かれている。参加は無料で、5市町12か所のスタンプスポットを巡り、集めた数に応じて報酬がもらえる。奥出雲町では櫻井家住宅・庭園/可部屋集成館と、絲原記念館/絲原家住宅・庭園がスポットになっている。奥出雲町観光協会によると、10月12日には「VIVANT × 奥出雲町」ラッピングバスがデビューし、10月13日から路線での運行が始まった。

VIVANTの関連記事

※各話の記事には、その回までの内容を含みます。

第2シーズンは、U-NEXTが7月26日から放送終了直後に最新話までを独占見放題で配信すると発表している。最終回の11月8日は、スタンプラリーの最終日とも重なる。紅葉が深まる11月、乃木の実家を訪れる人はさらに増えそうだ。

[文/構成 by エンタメ担当ライター 和泉ユウスケ]

Share.