奈良県桜井市 音羽山観音寺後藤住職の花だより - 雨の降る観音寺で お百度参りをする男性

お百度参りをする男性に祈祷のお札を書く住職

 重陽の節句のこの日も雨予報でした。しかし、奈良県桜井市にある音羽山観音寺への参道を上り始めるころは、まだ晴れ間も見えていました。雨対策よりも暑さ対策が必要な参詣道です。

 参道ではセミの抜け殻を見つけました。雨に触発されたのか、いろいろな形のキノコも生えています。毒キノコも多いと聞くので触るのは危険です。写真を撮りながらゆっくり上っていると、後ろから一人の男性が上ってきました。

 知らない人でも、行き先が同じと思えばどこか親しみを感じるのが、音羽山観音寺の参道です。「こんにちは」とお互いにあいさつを交わし、男性は先に上っていきました。

 無常橋を過ぎて観音寺が近くなると、だんだん霧が立ち込めてきて、厳かな雰囲気が漂います。

 寺にたどり着くと、先ほどの男性がすでにお参りを済ませ、数取り用の竹札を持って本堂の周りを回っていました。

 「お百度参りをされてるのよ」

 納経所の近くで出迎えてくれた後藤住職。石段を下りた苔の生えた所にお百度石がありますが、お百度参りには33本の竹札を持って本堂を右回りに一周してお参りし、竹札を1本ずつ返すという方法もあるそうです。

 お参りを終えた男性に話を聞くと、小さい時におばあさんに連れられて観音寺に来ていたとのこと。その後、娘さんが小さい時には年越しに8年ほど訪れていたそうです。

 「今日は娘が目を患ったので、祈祷してもらおうと思って。どこかに頼りたいと思った時、ここを思い出しました」

 久しぶりの参拝だそうです。

 「若い時はもっと楽だった気がするんですが。この坂道を上ってくるから、ありがたいんでしょうね」と話します。 

 「本当にご利益があるから、ここを思い出して来てもらえるんだと思うわ」

 住職も観音様に助けられたことがあるのでしょうか。

 「鳥の声や虫の声を聞きながら上るのが良いんでしょうね」

 男性の言葉には、記者もまったく同じ気持ちです。雨が降り出した中、男性は山を下りていきました。

 「シャクナゲは葉の裏に水分がある方が良いんだけどね」

 雨が降りだした境内を眺めて、住職がつぶやきます。

 そこへ、寺をネズミから守る猫のルイちゃんがやってきました。

 「この子が一番スリムなのよ。うちの子たち、ごはんを1日3回食べるようになって……」

 本堂で自由に動き回る猫たち。この日は、手すりにぶら下がるような変わった姿も見せてくれました。

音羽山観音寺
山の中にある尼寺。奈良県桜井市南音羽。
JR・近鉄桜井駅下車、桜井市コミュニティバス談山神社行き、下居下車、約2km。
火曜日閉門。17日の御縁日が火曜日の時は開門し、翌日閉門

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