インド医学研究評議会(ICMR)国立環境保健研究所の研究チームは、インドの様々な気候帯に生息するデング熱媒介蚊は遺伝的に一様ではなく、その分化には気候より地理的距離が強く影響することを明らかにした。科学誌nature indiaが9月1日に伝えた。研究成果は学術誌Acta Tropicaに掲載された。

乾燥したラジャスタン州から湿潤なケララ州沿岸部まで、ネッタイシマカ(Aedes aegypti)は大きく異なる環境に生息している。近年は、それまで確認されていなかった農村部にも生息域を広げている。研究チームは、地理的、気候的に多様な国内13地域で126匹を採集し、地域間の遺伝的なつながりを調べた。

同研究所のガウラブ・シャルマ(Gaurav Sharma)氏らは、ミトコンドリアDNAの一部であるチトクロームcオキシダーゼサブユニットI(COI)遺伝子をマーカーとして解析した。その結果、比較的少数のDNA変異で分かれる複数の遺伝系統が確認された。近年、その生息域を拡大しているにもかかわらず、イタナガル、コタ、ティルヴァナンタプラムの一部の個体群間では遺伝的差異が有意だった。

さらに、遺伝的構造には気候より地理的距離が強く影響しており、分散を妨げる障壁や限定的な遺伝子流動が個体群構造の形成に関与していることが示された。研究チームは、遺伝的多様性が蚊の疾病媒介能力や殺虫剤抵抗性にも影響すると指摘した。今回得られた基礎的な遺伝データは、インドの多様な生態・気候地域に応じた媒介蚊の監視・防除戦略に不可欠だとしている。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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