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 湖月館は、2024年1月の能登半島地震で大きな被害を受けた。「津波を避けるため防災センターに身を寄せ、翌日戻った時、施設は変わり果てた姿でした」と女将の畑中美佳里さんは当時を振り返る。

 全壊判定を受け、廃業も考えたが、「周囲の皆さんや常連のお客さまなどから励ましの電話やメールをたくさんいただき、もう一度やってみようと再起を決意しました。皆さんの力強い声が背中を押してくれました」と話す。

 旅館は公費解体され、更地になった。いまの旅館は隣の地区(富来領家町)に新しく建て、今年5月にオープンした。木造2階建てで、海まで歩いて5分という、自然に恵まれた環境にある。

 前の旅館には多くの文人が訪れた。「小説家の福永武彦さん(1918~79年)によく利用していただき、中学や高校の教科書にも掲載された随筆『貝合わせ』には、増穂浦海岸の美しい情景とともに、先代女将との出会いがつづられています」と懐かしむ。

 漁港が近いので新鮮な魚介類が手に入る。それらを中心に地場産食材を使い、温かいものは温かいうちに召し上がれるよう、提供している。温泉は加温で、男女大浴場や個人向け浴室がある。

 地震の傷跡はまだ残り、復興途上にあるものの、畑中さんが期待するのはサイクリングだ。

 「もともとサイクリングやツーリングが人気だったので、道路が整備されたらそうしたお客さまも戻ってくるのではないかと期待しています。サイクルツアーの動きもあり、待ち遠しいですね」

 接客で心掛けていることを聞くと、「家族経営ならではの、目の届くサービスを心掛けています。お客さまがゆっくりと過ごせるような時間、空間を提供したいですね。また、自分の子供たちだけでなく、地震で富来を離れた人たちが戻ってこられる場所になれればと思います」と心情を吐露した。

 【客室6、1泊2食付き2万円(税別)】

 

【湖月館紹介サイト】石川県観光連盟 湖月館


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