世界第3位の銅生産国ペルーが、新しい鉱山ではなく許認可の削減で増産を狙う。フジモリ新政権は削れる許認可を早くも27件洗い出し、停滞案件を抱えた中国と米国の鉱山会社が次々と省の扉をたたいている。ところが今年の鉱業投資の大半は既存鉱山の維持に回り、生産は3年間足踏みしたまま。電化とデータセンターで銅の需要が膨らむ時代に、書類を減らすだけで山は動くのか。
要約
銅の増産に足りないのは新しい鉱山ではなく、許認可のスピードだ。世界第3位の銅生産国ペルーは、そこに賭けている。
ペルー政府は、5〜6年以内に年間生産量を100万トン上積みしたいと発表した。すると、お約束の展開が待っていた。中国と米国の企業が、止まっていた案件を目当てに舞い戻ってきたのである。

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何が起きたか
ペルー政府の動きは素早い。ペルーのエネルギー鉱山省は、現在求められる約100件の許認可のうち、削れるものを早くも27件洗い出した。いわば許認可の断捨離である。ただしケイコ・フジモリ大統領の政権は、承認の遅れを縮めても環境基準は犠牲にしないと請け合っている。何年もほぼ横ばいが続く銅の生産を、政府が反転させようとしている今、これはいい念押しになる。
鉱石品位の低下と、鉱山周辺で繰り返される社会紛争。この2つが足かせとなり、ペルーの銅生産量は今年、250万〜270万トンと、2023年とほぼ変わらない水準にとどまる見通しだ。
何が重要なのか
ただ、見落とせない事情がある。
ペルー政府には、さばかなければならない鉱山案件がすでに山のように積み上がっている。総額640億ドル(約9兆9200億円、1ドル=155円換算:以下同)に上る鉱山プロジェクトの滞留のうち、約70%を銅が占める。
ところが、今年は約70億ドル(約1兆850億円)の鉱業投資が見込まれるものの、その大半は新しい鉱山を増やすためではなく、既存操業の維持に回っている。つまり、案件のパイプラインはよどんだまま動かない。
新大統領が就任してから2カ月で、約20社の鉱山会社がエネルギー鉱山省と面会し、遅れている案件の再開を話し合った。顔ぶれの大半は、中国と米国の企業。
許認可の見直しは、ペルーが分厚い案件パイプラインを実際の生産に変えられるか、その力を測る試金石の1つにすぎない。電化とデータセンター建設を追い風に、世界の銅需要は伸びている。それでも世界第3位の生産国は、業界最大級の滞留案件という宝の山に腰を下ろしたまま、3年間足踏みを続けてきた。
次に起こること
次の焦点は、今年2月に米国とペルーが署名した重要鉱物協力の合意がどう進むかだ。今月ペルーを訪れた際、マルコ・ルビオ米国務長官はこの協力関係を前面に押し出した。現地で活発に案件をまとめる顔ぶれには、今も中国企業が名を連ねている。となれば、夢くらいは見てもいい。
