太田城水攻めを克明に描いた絵図などが並ぶ(和歌山市で)
放送中のNHK大河ドラマ「豊臣兄弟!」にちなみ、和歌山市立博物館で企画展「秀吉・秀長と和歌山」が開かれている。絵図や古文書、出土遺物など計約70件を展示し、秀吉らとゆかりが深い地域の歴史を紹介。12日には秀吉らによる「太田城水攻め」などをテーマにした学芸員による講座も行われた。10月4日まで。(佐竹廉)
戦国時代の和歌山を中心に▽紀の川流域の社会▽雑賀衆と信長の戦い▽秀吉の紀州攻め――の3テーマで展示。紀の川河口を統治した鉄砲集団「雑賀衆」の暮らしぶりや戦の様子などを解説している。
小橋勇介学芸員(42)によると、雑賀衆は和歌山平野を五つに分け、5組で「雑賀惣国」を結成。侍でありつつ、農民や漁師、交易を担う商人や神主などを並行して営んでいたという。会場では加太で捕れた魚を領主に納める分量を記した文書などを並べ、様々な生活実態を浮かび上がらせている。また、雑賀衆の信仰対象になっていた浄土宗や浄土真宗にかかわる絵図なども鑑賞できる。
1577年に始まった織田信長による紀州攻めでは雑賀惣国5組中3組が信長側に寝返ったとされる。「織田信長朱印状」には戦いの前に謀略があったことが読み取れる。
1585年の秀吉らによる紀州攻めでは、現在のJR和歌山駅東側にあった太田城に籠もる雑賀衆に対し、地形を利用した水攻めを敢行した。「総光寺由来并太田城水責図」には討ち取られた複数の首が並ぶ様子や、水攻めを座って見守る秀吉の姿が確認でき、壮絶な状況が克明に描かれている。
小橋学芸員は「大河ドラマをきっかけに、戦国時代の和歌山や雑賀衆に興味を持ち、展示を通じて面白さを感じてもらえればうれしい」と来場を呼びかけている。
入館料は一般100円、高校生以下は無料。月曜(21日は開館)と24日は休館。問い合わせは同館(073・423・0003)。
城の成り立ち考察…学芸員講座
大木学芸員の講座には多くの聴衆が集まった(和歌山市で)
12日には和歌山市の大木要学芸員(43)による講座「考古学からみた太田城水攻め」が開かれ、大河ドラマファンら約90人が駆けつけた。
大木学芸員は、周囲に堀が築かれた太田城の跡地周辺で計100回以上行われた発掘調査結果などを基に、考古学的な見地から城の成り立ちを考察。「元々は一般集落だったが、軍事的危機に備えて既存の水路などを利用して新たに溝を掘削した。その結果、有事に人が集まるようになった」と語った。
また、一帯には屋敷や寺院が立ち並ぶ中世都市的な景観があったとの従来の見立てに対し、遺物の種類やその量が一般的な集落遺跡と大差がなかったとして、「都市というよりは一般的な中世村落として評価することが妥当」と指摘した。
学芸員による講座や展示解説は26、27日と10月3日の各日午後2時にも行われる。
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