島根県海士町が、在外邦人の国際生らを対象にした町立通信制高校の設置を目指していることが分かった。町は11日に開会した町議会9月定例会に、通信制高校の設置に向けた関係条例の改正案を提出。可決され次第、設置認可を求めて県教育委員会に申請する。町立の通信制高校が誕生すれば、国内初という。(佐藤祐理)

【地図】海士町【地図】海士町

 町が設置を目指す通信制高校について、大江和彦町長は定例会の冒頭、「多様な地域や文化的背景を持つ生徒たちがつながり、学び合うことが将来の地域づくりにも大きな可能性をもたらす。新たな教育モデルへの挑戦でもある」と設置への決意をにじませた。

 町教委によると、1学年の定員は最大40人で、初年度の募集定員は5人を想定する。海外の日本人学校などで学ぶ国際生のうち、日本での地域留学に意欲のある生徒が対象で、入学者は書類や面接などで選考。教員は町が採用する。

 校名は「地域みらい高等学校」。入学後、国際生は海外の現地校に在籍しながら、日曜日にオンラインで授業を受ける。夏休みには海士町を訪れ、町立海士中学の教室で3、4日のスクーリングを受講する。2年次には3か月から1年間、町内にある県立隠岐島前高などに留学して地域活動にも参加し、地元の高校生や住民らとも交流を深める。

 町はこれまで、隠岐島前高に県外からの生徒を受け入れる「島留学」や、若者を対象にした短期就業体験「大人の島留学」のほか、小学生対象の「親子島留学」を進めてきた。その成果もあり、2025年の国勢調査では、町の人口が前回調査と比べて80人増の2347人になったという。

 町教委はこうした取り組みを加速させ、「地域から幸せな未来を共創できる生徒を育みたい」と、地域みらい高をオンラインを使った島留学の拠点と位置づける。そこで多様な国際生と交流しながら、隠岐島前高生ら日本で学ぶ多くの高校生にも、海外への関心を高めるきっかけにしたい考えだ。

 県教委県立学校改革推進室の大庭荘平室長は、読売新聞の取材に対し、「正式な申請をいただいていないので、コメントができる段階にはない。申請内容を確認してから対応を検討していく」と述べた。


関西発の最新ニュースと話題
あわせて読みたい

Share.