なぜ?55億円で買った山を27年間放置 使い道に愛知県は“お手上げ” 「何でもいいから案を頂きたい」

なぜ?55億円で買った山を27年間放置 使い道に愛知県は“お手上げ” 「何でもいいから案を頂きたい」

愛知県西尾市の幡豆地区に、55億円で購入して27年も放置されている「県有地」があります。一体なぜこんなことになっているのか?現場を取材して分かった事情とは。

立ち入り禁止の扉の向こうに広がる、広大な山。愛知県西尾市の幡豆地区にある、約144ヘクタールの県有地。実にバンテリンドーム30個分の広大な土地です。

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(愛知県企業庁 企業立地部 益田俊工務調整課長)
「一帯の山を全部買ったんです。工業団地や住宅を作っていくことを計画していた」

ここは、愛知県が「ある目的」のため巨額の費用を投じて買収した土地。しかし、27年たった今も全く使われないまま「塩漬け」の状態に。

一体なぜこうなっているのか?放置される山の実情を追いました。

CBCセントレアの建設がきっかけで…

(中部国際空港 平野幸久社長 2000年7月当時)
「2005年3月という皆さまの期待に応えるために、全力を挙げて努力してまいりたい」

きっかけは、中部国際空港 セントレアの建設。2005年の愛知万博「愛・地球博」の開幕に合わせるため工事を急ぐ必要があり、海を埋め立てる5000万トンもの土砂を調達するはずだったのが、この幡豆の山でした。

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県は1999年、55億円の公費を投じて土地を買収。しかし、事態は突如暗転します。2000年12月、空港会社側がスケジュールの遅れを理由に、土砂を三重県など別の場所から調達することを決定。

(愛知県 神田真秋知事 2001年1月当時)
「幡豆の事業をこれ以上続けることのメリットは、もはや見いだせない」

幡豆の土砂は、一粒も、空港に使われることはありませんでした。

CBC“手つかずの山” 当時土地を売却した地元住民は…

(旧幡豆町 深谷元二町長 2001年1月当時)
「空港会社との調整ができず着工目前で、すでに準備工事も始まり入札も終わった事業が突然 全面撤退。怒りを通りこして、どういう言葉で表現していいか意思表示のしようがないという心境だ」

空港建設の波に翻弄され、手つかずとなった山。いまは地元のボランティアが月に1回、草を刈ったりアジサイを植えたりして環境を守っています。

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住民の思いは…

(当時土地を売却した地元住民)
「自然を生かした公園や勉強するような場所などになれば」
「売った所が荒れてしまっているので、うまく利用してほしい」
「イノシシが増えているので、対策をしっかりやってほしい」

(地元住民)
「大きな工場が誘致されれば、働き口も大口で見込める」

CBC“何もうまない山”に年間約1500万円の税金

新たな開発への期待が集まる一方で…

(尊皇蔵元 山﨑 山﨑裕正専務)
「正直今はもうあのまま、自然のままでもいいんじゃないかと思います」

こう話すのは、三ヶ根山の伏流水を汲み上げ日本酒を造り続ける伝統の酒蔵です。

(尊皇蔵元 山﨑 山﨑裕正専務)
「大規模な工場が建つと、水脈が変わることもあるのではないかと。当然お酒の味にもかかわります」

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土地の管理は、県が民間業者に委託。毎年、約1500万円が使われています。何も生まない山に毎年税金が消えていく現状について県に聞くと…

(愛知県企業庁 企業立地部 益田俊工務調整課長)
「この25年間、県の中では様々な検討をやってきた。それが全部ダメでダメで、県内部だけでは案が出尽くしてしまった」

CBC愛知県 民間から土地活用のアイデアを募集

愛知県ではこれまでに、多目的グラウンド・介護施設・環境配慮型の住宅・企業誘致など様々な開発案をまとめましたが、幡豆の山は土砂崩れ防止のため国の保安林に指定されていて、自由に木を切ることすらできません。

加えて、採算が取れないことなどを理由に、構想はすべて白紙に。

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こうした中…

(愛知県 大村秀章知事 ことし5月)
「私が就任してから3回くらい、ここをなんとか使えないか検討したが、土地が切り立っているので とても無理だなと」

県はことし6月〜8月末までの3か月間、民間から土地活用のアイデアを募集する事にしたのです。

CBC「病院」「企業」… 地元の人が求めることは?

これにいち早く反応したのが、地元に暮らす藤野貴教さん。地域の情報を発信するローカル紙「西尾ミライ新聞」の発行人です。

藤野さんがこの日向かったのは、通称「ハズフォルニア」と呼ばれる寺部海岸。若者向けのカフェやハンバーガー店が並ぶ、いま話題のスポットです。

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幡豆地区の土地活用について、地元の人に聞いて回ると…

(ハズフォルニアバーガーハウス コブさん)
「山のイメージは実際あまりない。どうしても三河湾にフォーカスされていて、海が気になる。何を残していきたいか、次の世代を考えた取り組みや考え方が求められている」

(福寿堂 鈴木孝佳さん)
「正直、病院が欲しい。本当は企業が来てくれるのが1番うれしいけど、難しいなら」

(寺部海岸駐車場管理組合 鈴木良穂組合長)
「盛り上がるようなことを、なにかしてほしい。電車がなくなるとこれで終わり。電車がなくならないように工夫したいと、80歳になった私のようなおじいさんでも、思っている」

(藤野貴教さん)
「山と海をつなぐことができると、幡豆の良さがもっと生きてくるのでは」

CBC「山から海までを一体のエリアとして活用」県に独自の案を提出 

地元の声を受け、藤野さんは独自の活用案をまとめ県に提出しました。ポイントは、駅舎も取り壊され無人駅になっている名鉄西幡豆駅を拠点に、山から海までを一体のエリアとして活用すること。藤野さんの提案には、さらに3つの柱があります。

(藤野貴教さん)
「1つ目は、雇用を生み出す工場とか産業ができる。2つ目は、障害者と健常者が一緒に暮らせるような場所。3つ目は、ネイチャーパーク。縄文時代からここは海じゃなく土地だったので、地質や自然的な価値を検証することで可能性が見つかる」

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愛知県は…

(愛知県企業庁 企業立地部 益田俊工務調整課長)
「もう何でもいいから案を頂きたい。その中からうまく拾い上げて考えていきたいので、ぜひ提案よろしくお願いします」

巨大プロジェクトの波に翻弄された、西尾市幡豆地区。人口が減っている今、どのような開発が実現可能なのか。20年以上手をこまねいてきた中、広大な山の行方は見えてきません。

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