【要旨】
・インドで深刻化する若者の失業問題に端を発した大規模抗議活動。
・最高裁長官の発言を機にSNS経由で「ゴキブリ運動」へと発展。
・モディ政権下で初の教育相辞任となるも、根本的な雇用危機は継続。
【写真を見る】インスタフォロワー2700万人 インド「ゴキブリ人民党」 モディ政権を揺るがす若者の雇用危機
10年以上にわたり、ナレンドラ・モディ首相率いるインド人民党は、インド政治を支配してきました。モディ首相の3期目の続投が決まり、首都デリーを制した盤石な政治勢力ですが、現在は大きな障害にぶつかっています。
警察が道路封鎖やインターネットの電波妨害を行う中、数万人の抗議者が自分たちの権利のために戦い、国会議事堂へ集結する事態となりました。数週間続いたこの抗議活動ですが、発端となったのは、あるインターネット上のミーム(ネタ画像)でした。
「CJP(ゴキブリ人民党)」「若者は職を得るでしょう」「この国のシステムが変わります」といったスローガンを掲げたこの運動は、「ゴキブリ運動」と呼ばれています。抗議運動にしては奇妙な名前ですが、彼らの怒りの矛先は政府の害虫駆除の実績ではなく、教育省と最近の試験をめぐる不祥事、そして深刻な若者の失業問題に向けられています。
■なぜ「ゴキブリ」なのか?運動の発端とSNSでの拡散
なぜ、政治運動が「ゴキブリ」に例えられるようになったのでしょうか。事の発端は、インドの最高裁判所長官が法曹界についてコメントした際、「失業中の若者は寄生虫のようなものだ」と発言したことでした。国家の重要な役人が、若者たちに向かって「お前たちはダメだ」「お前たちはゴキブリだ」と言い放ったのです。
この不条理な状況に対し、当時アメリカで大学院を修了間近だったアビジット・ディープケ氏が、AIツールを使ってインターネットのミームを作成しました。このミームは瞬く間に拡散され、たった24時間で「ゴキブリ人民党(CJP)」と呼ばれる架空の政党が誕生しました。
「私はゴキブリみたいだ。崩壊したシステムの中でなんとか生き延びている。病気の時でさえ休みがもらえない」というSNS上での悲痛な叫びは、3億6700万人に上るインドの若者たちの多くに深い共感を呼びました。
5月の結成以来、この政党はInstagramで約2700万人のフォロワーを集め、その多くが実際にインドの路上へと繰り出したのです。
