ウェイトリフティングを学んだことが、私の人生を変えた。Kasia Kovacsカシア・コバックスは、パーソナルトレーナーにお金をかける価値があるのか、最初は迷っていた。月180ドル(約2万9000円)をかけたパーソナルトレーニングの経験は、約10年たった今も役立っている。健康に投資したことで自信を持てるようになり、以前より幸せに過ごせるようになったという。
2017年にパーソナルトレーナーを雇ったとき、その選択が人生を変えることになるとは思っていなかった。
当時の私にとってはかなり思い切った出費だった。それでも、「痩せたい」というありがちな目標があり、せっかくお金を払うなら元を取りたいと思っていた。
実際、体重は少し落ちたが、ほどなくしてその数字は気にならなくなった。それより大きかったのは、体が強くなり、心を覆っていた霧が晴れたように感じられたことだ。そこで身につけた健康的な習慣は、約10年経った今でも続いている。
ジム嫌いだった私には、最初の一歩が難しかった
もともと、自分を運動が得意なタイプだと思ったことはなかった。子どもの頃はいくつかのスポーツをし、バレエも習っていたが、どれもあくまで習い事や課外活動だった。それよりも、本を読んだり雑誌をめくったりしているほうがずっと好きだった。
そんな私には、ウェイトリフティングはボディビルダーだけの世界のように思えたし、ジムも自分が気軽に足を踏み入れられる場所ではなかった。
2017年の初め、私はサウスカロライナ州ブラフトンに引っ越した。きれいだが、とても静かな町で、それまで暮らしていたニューヨークの絶え間ない刺激に慣れていた私には、なおさらそう感じられた。当時26歳だった私は、急に暇を持て余すようになった。
右が私のパーソナルトレーナー、ジョジー。筋肉をつけるために知っていることは、すべて彼女から教わった。Kasia Kovacs
そんなとき、ルームメイトに誘われて、一緒にジムへ行くことになった。まだ少し怖さはあったが、友人と一緒なら気後れせずに済んだ。
そこで出会ったのが、友人のパーソナルトレーナー、ジョジー(Josie)だ。気さくな若い女性で、私がジムに対して抱いていた先入観とはまるで違った。ほどなくして、私もジョジーの指導を受けるようになった。

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目標が「痩せること」から「強くなること」に変わった
2018年初め、ジム通いで体が変わっていくのを実感し、心が躍っていた。Kasia Kovacs
月に数回のセッションで180ドル(約2万9000円)。駆け出しの地方紙記者だった私には、かなり大きな出費だった。料金を見たときはひるんだが、まずは試してみて、金銭的に厳しくなったらやめればいいと思った。
ジョジーは、トレーニングの組み立て方や正しいウォームアップ、筋力トレーニングの基本動作まで、一から教えてくれた。中世の拷問器具にしか見えなかったトレーニングマシンも、彼女のおかげで使い方がわかるようになった。
負荷を少しずつ高めていく「プログレッシブオーバーロード」や、限界まで反復するトレーニングについても学んだ。今のようにタンパク質がマーケティングで盛んにうたわれるようになる前から、その重要性を教えてくれたのもジョジーだった。
トレーニングの内容はノートに記録し、月に一度は体重も測った。意外だったのは、次第に体重計の数字よりも、トレーニングでどれだけ記録を伸ばせたかのほうが気になるようになったことだ。前回より少しでもいい結果を出したいと思うようになった。
腕や肩に筋肉の輪郭が見え始めたときのこともよく覚えている。トレーニングを重ねるうちに、自分の体が実際に変わっていくのを見るのは爽快だった。いつの間にか、痩せることよりも強くなることが目標になっていた。
変わったのは体だけではない。トレーニングを終えたあとは気分も晴れた。20代の頃は不安に悩まされていたが、運動を始めてから、日々感じていた心の負担もかなり軽くなった。
パーソナルトレーニングは、サウスカロライナ州を離れるまで9カ月間続けた。
約10年経った今も、身についた習慣は続いている
2026年になった今もジムに通い続け、約10年前に学んだことを生かしている。Kasia Kovacs
今の生活は、当時とは大きく変わった。30代になり、ロンドンで暮らしている。以前ほど不安に悩まされることもなく、交友関係も充実している。それでも、定期的にジムへ通う習慣は今も変わらない。
パーソナルトレーナーについてもらったのは1年にも満たなかったが、その短い期間に学んだことは、約10年経った今も生きている。特に、正しいフォームでウェイトトレーニングをすることと、少しずつ負荷を高めていくことは、今も変わらず意識している。
現在のジム会費は月53ポンド(約1万1400円)で、ロンドンでは妥当な金額だ。2017年にパーソナルトレーナーへ払っていた金額より安く、1回15〜35ポンド(約3200〜7500円)かかるクラスだけに通うよりも、ずっと費用を抑えられる。
今は週2〜4回の筋力トレーニングに加え、会費に含まれるヨガクラスにも参加し、近所の公園で定期的に走っている。いろいろな運動を組み合わせることで、筋肉だけでなく、心臓やメンタルの健康も保つようにしている。
年齢とともに健康についての知識も増え、今では運動のメリットをさらに実感している。これから先も自由に体を動かせる状態を保つこと、代謝や心血管の健康の改善、そして骨粗しょう症をはじめとするいくつかの病気のリスクを下げることも、その一つだ。
他にもパーソナルトレーニングを通して学んだ3つのこと人と比べるのをやめた。 私は誰よりも強いわけでも、速いわけでもないし、これからもそうはならない。先週の自分より少し強く、少し速くなれれば、それで十分だと思えるようになった。私は完璧主義で、何かがうまくできないと認めるのが苦手だった。ウェイトリフティングを始めた頃はまったくの初心者で、当然うまくできなかった。そこで、最初からできなくても構わないと気づいた。少しずつ上達していけばいいという考え方は、今では人生のほかの場面にも生かしている。「自分はこういう人間だ」と決めつけなくなった。 若い頃は、自分は本を読むのが好きなタイプで、スポーツをするタイプではないと思い込んでいた。実際には、好奇心を持って新しいことを学べば、自分は変わっていける。むしろ、そうやって変わっていくものなのだと思う。
パーソナルトレーナーを雇ったことは、これまでで一番「お金を使ってよかった」と思える選択だった。ただ、そこから得たものは、お金では測れない。健康に投資したことで、自信がつき、以前より幸せに過ごせるようになったからだ。

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