8月13日、米国政府は、EUの企業持続可能性デューデリジェンス指令(CSDDD)に関するガイドライン策定に向け、欧州連合(EU)にコメントを提出した。米政府は、CSDDDに加えて企業持続可能性報告指令(CSRD)についても、米国企業に過度な負担を及ぼす可能性があるとして、適用範囲や執行方法をさらに限定するよう求めた。
米政府はコメントの中で、CSDDDとCSRDは特に報告面で「相互運用性、補完性、重複」が大きいとして、両制度を一体的に検討する必要があるとの見方を示した。
EUは2025年の米EU貿易枠組みにおいて、CSDDDとCSRDが大西洋間の貿易に過度な制約を及ぼさないよう取り組む方針を示していた。その後、EUはSustainability Omnibusを通じ、CSDDDとCSRDの対象企業や義務の縮小などを進めたが、米政府は今回、「米国の懸念を完全には解消していない」と指摘した。
CSDDD、EU域内に関係する事業への限定を要求
米政府が特に問題視したのが、CSDDDの域外適用である。コメントでは、EU域内に拠点や従業員、資産を持たない米国企業や、EU市場向けの商品を生産していないサプライヤーまでデューデリジェンスの対象となる可能性があると指摘。米政府は、第三国企業を対象とするCSDDD第2条2項の規定を削除し、原則としてEU域内企業に対象を限定するよう求めた。
また、サプライチェーンに対するデューデリジェンスについても、EU市場に関連する活動や製品に限定すべきと主張。EU市場に直接商品を供給していない生産者や農家などにまで監査や情報提供を求めることは、特に中小企業に不釣り合いな負担を生じさせるとしている。
さらに米政府は、米国には企業統治やサプライチェーン管理に関する既存の法規制が整備されているとして、EUに対し米国を「リスクが無視できる法域」と位置づけることを要求。「高品質な規制法域」で事業を行う企業については、CSDDDへの適合を推定する「presumed compliance(推定適合)」の仕組みを設けることも提案した。
CSRDのダブル・マテリアリティにも懸念
米政府はCSRDについても具体的な懸念を示した。「ダブル・マテリアリティ」へも意見を表明し、米政府は、財務的マテリアリティを中心とする米国の開示制度とは異なると指摘した。
なお、EU市場との関係が限定的な米国企業に対して、EU域外の事業まで報告対象とすることにも懸念を表明。米国企業に対するCSRDの報告義務や執行を「大幅に限定する」ようEU側に求めている。
今後、欧州委員会が策定するCSDDDガイドラインや加盟国での制度実施に、米国側の要求がどこまで反映されるかが注目される。
原文:U.S. Government Comments on the Corporate Sustainability Due Diligence Directive Guidelines (CSDDD)
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