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2026年08月14日 AM09:30
膵臓内の発生部位別で異なる関連パターンを確認
愛知県がんセンターは7月14日、ピロリ菌感染と膵臓がんリスクとの関連を示唆したと発表した。この研究は、同センター研究所がん予防研究分野の小栁友理子ユニット長、山本清花リサーチレジデント、松尾恵太郎分野長らの研究グループによるもの。研究成果は、「International Journal of Cancer」にオンライン掲載されている。

画像はリリースより
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胃に感染するヘリコバクター・ピロリ菌(ピロリ菌)は、胃がんの主要な原因として知られているが、ピロリ菌感染が胃以外の消化器がんの発症にも関係するかどうかについては、十分には明らかになっていなかった。特に胆道がんや膵臓がんについては、これまでの研究で結果が一致しておらず、さらなる検討が求められていた。そこで研究グループは、ピロリ菌抗体検査に胃粘膜の萎縮を反映するペプシノゲン検査を組み合わせ、長期感染後に抗体が低下した状態も含めて評価を行い、がんの発生部位などを考慮したうえで、胆道がんおよび膵臓がんリスクとの関連を調査した。
抗体価の上昇で膵臓がん全体のリスクが高まる傾向
この研究では、同センターの病院疫学研究(HERPACC)に参加した胆道がん患者116件、膵臓がん患者417件、非がん対照者3,086件を対象に、血液検査によるピロリ菌感染の評価とがんリスクとの関連を解析した。
その結果、胆道がんでは、がん全体や発生部位別のいずれにおいても、ピロリ菌感染との明確な関連は認められなかった。一方、膵臓がんでは、抗体陽性か陰性かという分類での明確な関連はなかったものの、ピロリ菌抗体価が10 U/mL高くなるごとに膵臓がん全体のリスクが高くなることが判明している(オッズ比 1.04、95%信頼区間 1.01-1.07)。
さらに膵臓がんの発生部位別に解析したところ、長期間にわたる感染によって胃粘膜萎縮が進み抗体が低下した状態を反映する可能性がある群では、「ピロリ菌抗体・萎縮性胃炎指標のいずれも陰性」の群と比較して、膵頭部がんのリスクが上昇することが明らかになった(オッズ比 3.04、95%信頼区間 1.23-7.54)。また、ピロリ菌抗体陽性者では抗体陰性者と比較して、膵体部がんのリスクも増加している(オッズ比 1.75、95%信頼区間 1.10-2.77)。なお、膵尾部がんについては明確な関連は示されなかった。これらの結果から、ピロリ菌感染はすべての膵臓がんに一様に関係するのではなく、膵臓内の発生部位によって異なる形で発がんに関係する可能性が示唆された。
なお、本研究は症例対照研究であり、ピロリ菌感染が膵臓がんの原因であることや、除菌による予防効果を直接示したものではない点など、一定の制約が存在する。
ピロリ菌の検査・除菌が膵臓がん予防につながる可能性に期待
今後の展望として、より大規模な研究や除菌歴を詳細に把握した研究での結果の確認、およびピロリ菌が膵臓へ影響するメカニズムの解明などが必要とされる。
「因果関係と除菌による予防効果が確認されれば、すでに胃がん予防のために行われているピロリ菌の検査・除菌が、将来的には膵臓がんの一部を減らすことにもつながる可能性がある」と、研究グループは述べている。(QLifePro編集部)