アルゼンチン代表MFエンソ・フェルナンデス
アルゼンチン代表MFエンソ・フェルナンデス【Getty Images】

 チェルシーが、アルゼンチン代表MFエンソ・フェルナンデスの獲得を目指すマンチェスター・シティなどに対し、英国時間14日17時を回答期限として提示した。条件はチェルシーの手取りで1億2000万ポンド(約260億円)。期限までに条件を満たす提案がなければ、今夏は残留させる方針だという。

高騰する中盤市場と、エンソと前監督の確執

 米スポーツメディア『ジ・アスレチック』のデイビッド・オーンスタイン記者によると、期限と支払い条件は関心を示す各クラブに直接伝えられ、評価額は5月の時点でエンソの代理人にも示されていた。

 シティが関心を寄せる背景には、中盤の再編がある。英紙『ガーディアン』は、バルセロナ移籍を望むスペイン代表MFロドリについて、退団は避けられないとの見方を示した。オランダ代表MFティジャニ・ラインデルスも、約6000万ユーロ(約100億円)でのアル・カディシーヤ移籍に向けて交渉が進んでいると報じられている。また『ジ・アスレチック』によるとスペイン代表MFニコ・ゴンザレスも退団候補だという。

 今夏のプレミアリーグでは、中盤の大型案件が相次いだ。シティはイングランド代表MFエリオット・アンダーソンを1億1600万ポンド(約250億円)で獲得。トッテナムはイタリア代表MFサンドロ・トナーリに最大1億ポンド(約220億円)を投じ、ポルトガル人MFマテウス・フェルナンデスも8500万ポンド(約185億円)で加えた。

 エンソへの要求額はなお最高水準だが、今夏の移籍市場の高騰を考えれば、相場からかけ離れた金額とまでは言えない。シティのエンツォ・マレスカ監督がエンソとの再会を望んでいる点も、交渉を後押しする材料だ。

 エンソは2025/26シーズン、チェルシー最多の公式戦54試合に出場し、15ゴール7アシストを記録した。チェルシーのシャビ・アロンソ新監督も7月に「素晴らしい選手」と評価し、残留を望む姿勢を示していた。一方、英メディア『BBC』は5月、同額の提案があればクラブが検討すると報じており、主力とはいえ絶対に手放さない存在ではない。

 またリアム・ロシニアー前監督との確執も無視できない。『ガーディアン』は、2試合続けて起用されなかったエンソとイングランド人監督の関係が悪化し、周囲の騒ぎが大きくなったと伝えている。また3月、来季も残るかを問われて「分からない」と答え、W杯後まで結論を留保した。またスペイン方面への移籍示唆コメントを受けて、クラブは2試合の出場停止処分を科している。戦力価値と長期的な安定を分けて考える余地がある。

 仮に退団した場合のチェルシーのスカッドを振り返っても、人数は十分にいる。主力級では、エクアドル代表MFモイセス・カイセド、ベルギー代表MFロメオ・ラビアがいる。そして、若手のポルトガル人MFダリオ・エスーゴらも控えている。アルゼンチン人DFバレンティン・バルコや、MFジョーダン・ヘンダーソンも新しく加入した。現状の編成上、イングランド代表DFリース・ジェームズは中盤で起用される可能性が高そうだ。ラビアとエスーゴらの怪我による稼働率は心配だが、それでも十分に層は分厚い。

 総合的に判断すると、シティにとっては現実的な金額でワールドクラスの選手を獲得でき、チェルシーにとっても既存戦力で穴を埋める余地がある。お互いにメリットがあるだけに、今回のディールが実現する可能性は十分にある。一方で、長く主力としてチームを支えてきた選手だけに、実現すれば、チェルシーのファンにとっては複雑な移籍となりそうだ。

(文:内藤秀明)

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【了】

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