ナノ変位の検出と高速断層イメージングで医療・産業応用に前進
新潟大学工学部電子情報通信プログラムの崔森悦准教授らの研究グループは、岐阜大学大学院医学系研究科生命原理学講座生体物理・生理学分野の任書晃教授、大阪大学大学院医学系研究科薬理学講座統合薬理学の日比野浩教授らと共同で、光周波数コム(注)を用いた新しい干渉計測手法を開発しました。従来の光コム計測では、コム間隔が固定され測定範囲や精度の調整が難しく、さらに干渉信号が消える「盲領域」が発生するという課題がありました。本研究では、干渉信号に位相変調(SPM)を導入することでこの制約を克服し、盲領域を完全に解消しながら高速・高精度・広帯域の全視野3D計測を実現しました。
本成果は、2026年7月12日に、光計測分野の国際誌「Optics & Laser Technology」に掲載されました。

提案手法のコンセプトと原理、(a)測定面の微小なスロープ、(b) それぞれの位置に応じて変化する光コム干渉法のピーク波形、
(c)SPMを施した場合の干渉ピーク波形、(d) 提案する新しい信号処理法によって復元される位相分布と干渉ピークエンベロープ
本研究のポイント
従来の”見えない領域”を解消し、生体組織や透明材料の微小変位・断層構造を一度に計測できる新手法を確立
数十 nm 精度と1秒の高速取得を両立し、非接触での3D検査と高速トモグラフィ計測を実現
単一光源・単一カメラで動作し、医療イメージング装置や顕微鏡システムへの組み込みが容易な高性能計測系を構築
詳しい研究内容について
光コムで生体組織の”わずかな動き”までとらえる新しい3D計測技術を開発
-ナノ変位の検出と高速断層イメージングで医療・産業応用に前進ー
論文情報
雑誌名:Optics & Laser Technology
論文名:Optical comb-based interferometry with sinusoidal phase modulation for full-field surface profile and tomographic measurement
著 者:Samuel Choi, Souta Miura, Atsuto Sugai, Shivam Kumar Chaubey, Fumiaki Nin, Hiroshi Hibino, Osami Sasaki.
DOI:10.1016/j.optlastec.2026.115926
用語解説
(注) 光周波数コム(Optical Frequency Comb)
光の周波数(光の色)が、櫛(くし)の歯のように等間隔に並んだ特殊なレーザ光。多数の周波数をもつ光波が正確にそろっているため、「光の物差し」として距離計測や分光分析に使われる。非常に高い精度で光の周波数を扱えることが特徴。