ボルシア・ドルトムント(FC東京戦スタメン)
ボルシア・ドルトムント(FC東京戦スタメン)【写真:Noriko NAGANO】

 FIFAワールドカップ2026(北中米W杯)出場を逃し、再建に踏み出したイタリア代表。その次代を担う候補として注目されるのが、ボルシア・ドルトムントで成長するルーカ・レッジャーニ、サムエーレ・イナシオ、フィリッポ・マネの3人だ。6月の代表活動では、24人の招集メンバーのうち、同一クラブ最多となる3人がドルトムントから選出された。日本ツアーでレッジャーニ本人に話を聞き、ドイツで育つイタリア人有望株の現在地と、自国クラブが直面する逸材流出の構造を読み解く。(取材・文:佐藤徳和)[3/3ページ]

移籍金ゼロで海外流出… イタリアが直面する構造的問題

イタリア代表
北中米W杯出場を逃したイタリア代表【写真:Getty Images】

 サッカー界も、イタリアは多くの問題を抱えている。レッジャーニについては、イタリアの多くのクラブが獲得レースに参戦したものの、最終的にはドルトムントが獲得に成功した。

 自国の選手、それも将来的に代表を背負う可能性を秘めたホープを海外クラブに引き抜かれてしまうことは、大きな問題である。

 セリエAは、若手を育て、他国のリーグに売りさばいてきたリーグではない。しかし近年では、レッジャーニが語るように、若い段階でイタリアからドイツへ渡り、そこでキャリアを築くケースが増えているのだ。

 これはイタリアのクラブにとって深刻な問題だ。すでにクレモネーゼの一員としてセリエBで出場経験があったデッラ・ローヴェレは、わずか25万ユーロでバイエルンへ移籍した。

 イナシオに至っては、移籍金すら発生していない。アタランタは苛立ちを見せるが、どこかに抜け道があり、構造的な問題が存在すると言わざるを得ない。

 5500万ユーロもの移籍金でチェルシーFCへ渡ったマルコ・パレストラのように、セリエAで注目を集めた選手がプレミアリーグのクラブへ引き抜かれるケースだけではない。

 今後は、育成年代の段階から、ドイツをはじめとする海外クラブへ有望なイタリア人選手が流出するケースが増えていく恐れもある。早急に改善に取り組まなければならない問題だ。

(取材・文:佐藤徳和)

【著者プロフィール:佐藤徳和】
1998年にローマでの語学留学中に、地元のアマチュアクラブ「ロムーレア」の練習に参加。帰国後、『ポケットプログレッシブ伊和・和伊辞典』(小学館)の制作に参加し、イタリア語学習書などの編集、校正、執筆に携わる。2007年から、フリーランスとして活動し、主にイタリア・サッカー記事のライティングに従事。2014年には、FC東京でイタリア人臨時GKコーチの通訳を務める。IL ROMANISTA、日本特派員。『使えるイタリア語単語3700』(ベレ出版)、『イタリア語基本の500単語』(語研)を共同執筆。日伊協会では、カルチョの記事を読む講座を開講中。X:@noricazuccuru

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【了】

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