[事例ニュース]
クラウド活用を促す3層分離モデル「β’モデル」に移行
2026年8月6日(木)日川 佳三、河原 潤(IT Leaders編集部)
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愛媛県庁(愛媛県松山市)は、2027年1月の稼働を目途に次期ネットワーク基盤の構築プロジェクトに取り組んでいる。職員の業務環境をインターネット/クラウドを中心とする新しい3層分離モデルである「β’モデル」に移行すると共に、ゼロトラストセキュリティ環境を構築する。システム構築を受注したネットワンシステムズとSCSKセキュリティが2026年8月6日に発表した。
愛媛県庁は以前より、職員のインターネットアクセスの利便性を高めた自治体ネットワーク環境「α’(アルファダッシュ)モデル」を先行採用していた。今回、利便性をさらに高めるべく、「β’(ベータダッシュ)モデル」(図1)への移行およびゼロトラストネットワーク/セキュリティの構築に取り組む。ネットワンシステムズとSCSKセキュリティが構築を担当し、2027年1月の稼働を予定する。
図1:愛媛県庁が2027年1月に稼働を予定する次期ネットワーク基盤の概要。現在のα’モデル(ローカルブレイクアウト併用)からβ’モデル(ゼロトラスト型)へと移行する(出典:ネットワンシステムズ、SCSKセキュリティ)
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自治体のネットワークは、個人番号(マイナンバー)を扱う内部事務系、業務システムを動かすLGWAN接続系、インターネット接続系の3層に分離することで、求められるセキュリティを維持している。
基本のネットワークモデルはαモデルで、職員の業務端末をLGWAN接続系のみで利用させる。インターネット経由のマルウェア感染などを防ぐ効果が高いが、一方で、インターネットアクセスの利便性に欠き、庁内業務が滞りやすいという欠点がある。
昨今の自治体のIT環境を踏まえ、αモデルをベースとしつつ、ローカルブレイクアウトを組み合わせて利便性を高めたα’モデルが提唱されている。α’モデルは、グループウェアなど業務に必要な特定のSaaSに限って、LGWAN接続系から専用経路でインターネットアクセスを許可する仕組みを持つ。上述のとおり、愛媛県庁はα’モデルを先行採用してきた。
同庁は、今後のさらなるインターネット/クラウドサービスの利用拡大を見据え、β’モデルへの移行を決定した。β’モデルは、マイナンバー系のシステムを除く自治体の業務システムと端末をインターネット接続系またはクラウドサービス上に配置する。移行によって庁内でのクラウドの活用を拡大し、職員の業務効率向上のほか、南海トラフ地震などの災害時における事業継続性を確保する計画である。
β’モデルのネットワーク環境を構築する製品として、イスラエルCato Networks(ケイトネットワークス)のSASE(Secure Access Service Edge)「Cato SASE Platform」を導入し、以下の機能を利用する(関連記事:SASEベンダーのイスラエルCato Networksが日本法人設立、接続ポイントは東京と大阪の2拠点に)。
Zero Trust Network Access:ゼロトラストネットワークアクセス。自宅・外出先のインターネット回線から庁内システムやクラウドへと安全に接続。
Cloud Access Security Broker:クラウドの利用状況を可視化・制御。
Data Loss Prevention:機密情報の外部へのアップロードを阻止し、情報漏洩を防止。ぐ
Secure Web Gateway:悪意のあるWebサイトへのアクセスを遮断。
β’モデルへの移行によって、庁内業務環境がインターネット/クラウド中心となるため、エンドポイントセキュリティを強化し、ゼロトラストセキュリティの実現を目指す。EPP(エンドポイント保護基盤)やEDR(エンドポイント検知・対処)の導入・拡張と共に、これらのログやアラートを監視・分析・対処する専用のSOC(セキュリティオペレーションセンター)を設置する。
このほか、ハミングヘッズの「セキュリティプラットフォーム」も採用する。業務端末のPCを論理分離するソフトウェアで、職員はネットワーク分離を意識することなく、1台の物理PCだけで業務ごとにネットワーク接続先やアプリケーションなどを切り替えられる。
