西川貴教が発起人となる、滋賀県下最大の音楽イベント『FEST. INAZUMA』(フェスト イナズマ)が、9月19日(土)・20日(日)・21日(月祝)の3日間、滋賀県草津市 烏丸半島芝生広場にて開催される。本イベントは滋賀ふるさと観光大使を務めるアーティスト西川貴教が発起人となり、琵琶湖の水質保全と地域振興をテーマに掲げて、毎秋に琵琶湖岸で開催されており、2009年のスタートから今年で18年目を迎え、今では滋賀県初秋の風物詩として定着している。そんななか、今年より名称を新たに、『イナズマロック フェス』から『FEST. INAZUMA』へと改めることに。今回、SPICE編集部では発起人である西川本人にインタビュー。名称変更から心機一転、『FEST. INAZUMA』に懸ける思いについて話を聞いた。
『イナズマロック フェス』から『FEST. INAZUMA』へ変革
ーー2009年から始まった『イナズマロック フェス』。開催から18周年を迎えた今、ロックに限らず、多種多様な音楽ジャンルのアーティストが出演するイベントということで、今年から『FEST. INAZUMA』というイベント名へと代わります。すでに昨年度のイベント終了時には名称が変更されることが発表され、今年2月には正式発表されているので、ファンの皆さんはその名称が馴染んでいきつつあるのかなと。
そうだと嬉しいですね。でもやっぱり17年も続けさせていただいていたので愛着もありますし、関係者のみなさんも『FEST. INAZUMA』よりも『イナズマロック フェス』と口が覚えちゃっているのもあるんで。
ーー誰もがするりといえる名前。それだけ毎年恒例のイベントということですよね。
「9月になったら烏丸半島で『イナズマロック フェス』!」と、一連のワードや字面で覚えていてくださった皆さんはまだまだ馴染みが少ないようで。SNSでも『FEST. INAZUMA』と聞いても、まだ『イナズマロック フェス』のことだと変換できていない方もいらっしゃるのかなと感じています。名前が変わってまだ1年目なんで、これからですね。
ーー名称変更といっても、17年続けてきたイベントです。“またイチから”というより、気持ちを新たに取り組む感覚に近いのではないでしょうか?
いや、またイチからですね。色々と考え始めるとマイナス思考になるというか、苦労ももちろんあるんですけど、逆に考えると“引っ越し”や“年末の大掃除”みたいなもので。引っ越しのタイミングで、部屋の隅にあった余計なものを処分できたり、身軽になったことで空いたスペースに新しいものを入れることができる。そういうポジティブな効果もあるような気がするんですよね。毎年続けてきたことで、俯瞰で物事を見るよりも、とにかく来年のためにと、イベントが終わった翌日から翌年の準備が始まるんですよ。そうなると「これでいいんだ」「これで完成されているんだ」と、どうしても慣例的に物事をやってしまう。それを改めて見渡してみると、「これは必要なかったんじゃない?」「もっとこういうことができたよね」ということが出てくる。そういう意味では、自分たちのこれまでを見直す機会にもなって、非常に良かったと思うんです。

『イナズマロック フェス 2025』
ーー“引っ越し”には不要なものを見つけるだけでなく、部屋の隅で忘れられていた“こんな良いものがあったんだ”という再発見や、新しい部屋を作り上げる“ワクワク”もありますよね? 『FEST. INAZUMA』に名称変更することで、そんな再発見や新しい変化はありますか?
おかげさまで、イベント立ち上げ当初から比べると協賛企業が数多く集まるイベントになりました。最初の頃は協賛企業のことを全く考えもせずに始めていたので、みなさんにとっていかに居心地の良いスペースになるかを試行錯誤しながら会場のレイアウトを考えていて。その中で、無料で楽しめるフリーエリアが良くも悪くもものすごく充実したおかげで、我々の想像以上にたくさんのお客様が来られるようになったんです。皆さんが快適に過ごしていただけるように考えると、このフリーエリアを見直すことが今年は必要なのかなと。そこで今年は『風神ステージ』を有料エリアへ移すことにしました。これまで『風神ステージ』は、を購入して観るような素晴らしいアーティストの皆さんをフリーエリアで観ていただく機会となるステージでした。なんなら『風神ステージ』というステージをフックにして、大きくジャンプアップしてくれたり、このイベントをキッカケにまた別のイベントに出演するような、大きなステップアップの機会になってくれていて。今回『風神ステージ』を有料エリアに移すことは僕も非常に悩ましかったんですけど、この17年の間で地元の皆さんにもこういった場所を、この時期に提供する、その流れは役割として十分にできてきたし、『風神ステージ』そのものが成長するタイミングなのかなと感じたんです。我々自身もそうですけど、イベント全体が今後も成長していくことを考えると、『風神ステージ』も新たな役割としてステップアップさせないといけない。そこで今年からは『雷神ステージ』『風神ステージ』の2つが横並びになります。
ーーまさにステージの名前の通り、風神・雷神の絵のように横並びにステージが配置されるんですね。
そうなんです。尾形光琳の『風神雷神図屏風』と同じ、まさにあの絵をイメージしていて。ステージも横並びなだけではなく、同じサイズのものを屏風図に習って配置させていただきます。これまで何度も『イナズマロック フェス』にお越しいただいている皆さんにとっては、今までのステージの景色とは全く違うものになっているので、それも楽しんでいただけるんじゃないかと思います。

『イナズマロック フェス 2025』
ーー昨年の『イナズマロック フェス』に参加させていただきました。フリーエリアのあまりの充実ぶりに、“お得”が大好きな関西人からしても思わず「これが無料!? お得すぎるやん!」とツッコミたくなるほどでした。
もうやり過ぎてましたからね(笑)。
ーー会場に足を運んだお客さんにも話を聞くと、フリーエリア“だけ”を目的に遊びに来たという人もいて。
そうそうそう(笑)。
ーーほかにも、小さな子ども連れのファミリーには『イナズマロック フェス』は“フェスはじめ”にぴったりなんだという人がいたり。毎年来ている地元のお祭りだ、なんていう近所のおばあちゃんの姿もありました。17年続けてきたからこそ、地元に密着したイベントになっているんだなと実感しましたね。
嬉しいですよね。これまでロックフェスを始めとするフェス文化は若者のもの、みたいな風潮があって、小さなお子さんや年配の方はなかなか足を踏み込みづらいと思われる方も多かったと思うんです。でもそのハードルをぐんと下げる効果が『イナズマロック フェス』にはあったかなと思いますね。でも、イベントの開催は楽しいだけでなく、常に難しさと同居しているものなんですよね。イベントを継続させるためにも、成果をしっかりと見ていく必要があるし、これまでとは違う形になったとしてもフリーエリアでエンターテイメントに触れていただく機会はこれからも失わずに持ち続けたいなと思っています。今年の『龍神ステージ』はこれまで以上に違った担い方で、フリーエリアの中での大きな要になってくれるはずですし、『FEST. INAZUMA』の大きな変革のひとつになるのかなと思いますね。

『イナズマロック フェス 2025』
ーー7月6日に発売された書籍『稲妻革命譚 滋賀県における『FEST. INAZUMA』の社会的役割とその効果』にも記されていましたが、『イナズマロック フェス』の名称変更に、「ロックとは何か」という考えがキッカケのひとつになっています。今年は久々の3日間開催となりますが、出演者のラインナップは西川さんの人脈あってこそ成し得たアーティストが勢ぞろいしています。音楽のジャンルを悠々と飛び越え、各日ごとに個性の異なるアーティストがそろいましたね。
イベントに来てくれるお客様にとっての1枚の、その価値を上げていくことが今回の『FEST. INAZUMA』での一番大きな目的で。いま世界情勢が日々大きく移り変わるなか、人件費や電気や水道といったユーティリティ、ほかにも資材費などが高騰していますが、それらをきちんと踏まえつつ、エンターテイメントやサービスでお客様に不満や不足を感じさせない。そのために有料エリアの『風神ステージ』『雷神ステージ』の2つのステージを並列で皆さんに観ていただくのはもちろん、1日いて楽しいと思ってもらいたい。もちろん、このイベントが好きだからと3日間来てくれる人が我々にとっても一番ありがたいです。でも、例え1日でも初めてフェスに来るという人や、数ある出演者の中でも1組のアーティストだけ贔屓がいるという人もいらっしゃると思うんです。そういった方たちに、このアーティスト好きかも、気になるかも、と感じてもらいたいんです。例えると、1つのお弁当にいろんなアーティストというおかずが詰まっている感じで。
ーー色とりどりのおかず、というイメージですか?
メインのおかずは皆さんで決めていただいて。でもお弁当の端っこにあるスパゲティ、この味だったら好きかも!とか、この惣菜気になってたんだよね、とか。僕も、せっかく会場に足を運んだんだったらお客様目線として、こういうラインナップだったら1日中ここにいたいなっていうのを、本当にフラットな目線で組み合わせを考えたんです。トップバッターから最後のフィナーレまで1日中この場所から動けなかった!と言ってもらえるような、そんな組み合わせにさせていただきました。

『イナズマロック フェス 2025』
ーーアイドル、メディアミックスアーティスト、ボーイズグループ、そしてロックバンド。多彩なジャンルのアーティストが顔を揃えるなか、西川さんはT.M.Revolution、abingdon boys school、そして西川貴教としてステージに立たれます。先ほど“お弁当”の例えがありましたが、西川さんは各日の“お弁当”の中でどういう“おかず”になりそうですか?
どうでしょうね(笑)。コロナ禍に入る前までの『イナズマロック フェス』は、とにかく自分の手元にあまり強く握りしめずに持ち続けていたんですよ。なるべくふわっと持って、いつだってみんなにパスできる。そんな状態を一日でも早く作ろうというのが僕の目的だったんです。僕自身が抱え込むイベントではなく、地元の皆さんのものにしたいという思いがあったし、“西川貴教の主催”とか“代表・西川貴教”と言われたくない。なんなら裏方としていたい、そんな気持ちでいたんです。ここ数年はトリを固定しない、僕のステージで終わらない!ということにもこだわってきましたしね。でも、コロナ禍でイベントが開催できなかった2年間を挟んでもう一度『イナズマロック フェス』を復活させる時、自分に何ができるのかを考えたら、きちんと責任者としてイベントを背負うことが大切だなと。そして今年は『FEST. INAZUMA』としてイベントを作り直していくこともあるので、もう一度しっかりと背負い直して! その姿を1日目から皆さんにしっかりと目で観て、音で聴いて感じていただけるものにできればなと思っています。
ーー“お弁当”のおかずがどう並ぶのか。タイムテーブルの発表がいまから楽しみですね。すでに発表されているラインナップのなかには、いま注目のアーティストはもちろん、これまでにも何度となく出演されているアーティストの名前も挙がっています。ももいろクローバーZをはじめ、弟分的存在でもあるNovelbrightや、来年ドーム公演が決定しているDa-iCEなど、これからの『FEST. INAZUMA』にとっても欠かせない存在になるであろうアーティストが顔をそろえています。
ありがたいですよね。でも、こういった出演者の情報がSNSなどのメディアに発表されたときにコメントを見たりすると、“フェス”のイメージって固定されたままな気がするんですよね。フェスの文化は年々成長や代謝が起きているし、今年の『FEST. INAZUMA』はかなり攻めたメンツがそろっています。でも、SNSでは出演者が発表されるたびに「なんかパッとしないメンツだなぁ」なんて言っている人がいると、「うわぁ(考え方)古ぅ~」って思っちゃう。
ーー凝り固まったイメージでしか物事を見ていない。なんならフェスに足を運んだこともないんじゃない?という人たちのコメントですよね。
本当にそう! 「目立ったアーティストいないわぁ」とか言っている人は(時代に)置いてかれてるで?と思いますもん。今年の出演者も本当に素晴らしいと思うし、関東では『ROCK IN JAPAN FESTIVAL』が9月開催に変更されていたり、他にも全国各地でこの時期にイベントが開催されていて、みなさんブッキングにものすごく苦労されている状況を肌で感じていますしね。その中で我関せず、独自の路線で展開させていただいていることもそうですし、自信を持ってお送りできる素晴らしいラインナップができているので、安心して会場に来ていただきたいなと思っています。
ーー西川さんの人脈あってこそ、のラインナップですよね。
いやいやいや! これはもう『FEST. INAZUMA』の実行委員会の皆さんのおかげです! 僕ができることって結局はひたすらアプローチをかけ続けて、積極的にいろんなアーティストの方とコンタクトを取って。『FEST. INAZUMA』のために、これまで以上に頭を下げ続けてきた1年間ではありましたけど、それでも叶わないことがほとんどで。とはいえ、僕らができることはこのイベントの価値をひたすら上げ続けていくことしかないと思っているし、くじけたら負けと思ってやり続けています。逆にいうと我々自身も含めて、この3日間をとにかく目一杯、どのイベントよりも楽しいものにできれば、おのずとこれまで『イナズマロック フェス』が風前の灯火みたいな状況から、皆さんの力で全国的に知っていただけるイベントになったように、『FEST. INAZUMA』も素晴らしいものになるはずなんで! 何度も言いますが、くじけたら負け。この気持ちを大切に、まずは自分たちが楽しむこと。『FEST. INAZUMA』の1発目、大切に3日間を過ごしたいなと思います。僕らのその感じがお越しになった皆さんや今回出演いただくアーティストの皆さんにもきっと伝わって、また来たい、また出演させてほしいと思ってもらえるイベントになるんじゃないかと僕は信じています!

ーー『イナズマロック フェス』から17年、西川さんのイベントに懸ける思い。その根底には出身地である地元・滋賀を盛り上げたいという思いがあるかと思います。進化しつづける『FEST. INAZUMA』、そのゴールはどこに向かっていくのでしょうか。
もうね、思いもよらないところに来てしまっているので僕も予測はつかないんですよ(笑)。でも、『FEST. INAZUMA』は『イナズマロック フェス』から計算すると、再来年には20周年を迎えます。派生イベントにはお米が主役の『KOMECON』や、来年で10周年を迎える『イナズマフードGP』もあります。とにかく、来ていただく方、出演いただく皆さんにとって価値のあるイベントにしていくことが僕の本当の目標だし、それが何年続けるかももちろん大事ですけど、例え来年に終わってしまっても「やりきった!」と思えるぐらい、毎年きちんと燃え尽きてやっていければ、自ずと道は開かれてくるのかなと思います。「なんかやり残したなぁ」で終わりたくないですよね。全員でやり切ったぞ!ってなりたい。でもね、あそこはこうした方がよかったよね、もっとこうしたかったねって毎年思うんです。
ーー後悔ではなく、欲ですよね。
そう! そうすると、自ずと来年どうする?となっていく。
ーーイベントが終わった翌日には、来年のイベントについて考えているとおっしゃっていましたもんね。
そうなんですよ(笑)。中途半端に「まぁこれで良かったかな」だと、「もう(辞めても)えぇかな」ってなると思うんですよ。でもやりきったのに「やりきった気せぇへんわ!」みたいな気持ちが来年への開催に繋がるんでしょうね。今年もその気持ちで終われるように駆け抜けたいですね。
ーー滋賀では『イナズマロック フェス』の期間中以外も、飲食店やホテル、土産物店で「イナズマ祭」状態が続きます。まだ今年のイベントは終わってはいませんが、来年以降もまだまだ盛り上がりそうですね。
こういう風に開催できたのも、地元のみなさんの協力のおかげです。自治体との協力関係が今の状況を作っていますし、それも一夜にしてはならず。『FEST. INAZUMA』では昨年ぐらいから徐々に実装を始めていますが、今年からいよいよ本格的に、地元企業や団体の皆さんに福利厚生としてイベントのを使ってもらえる取り組みを、県の方に指導いただきながら始めています。
ーー『FEST. INAZUMA』のは「ふるさと納税」にもありますが、それだけではないんですね。
もっと地元と繋がりたいと思っているし、『FEST. INAZUMA』をもっと地元の人に“利用”してもらいたいんです。
ーー『FEST. INAZUMA』ファンだけでなく、滋賀県民も大喜びのイベントになりそうですね。
だと嬉しいんですけどね。まだまだ『FEST. INAZUMA』を周知できていなかったりするので、今は一生懸命PRしているところです。ちょっとずつ、ほんのわずかでも皆さんに知っていただく機会が増えてきているので。皆さんに知ってもらえると、我々ももっと大胆なブッキングができるようになりますからね」。
ーー出演する側にも意欲が出ますしね。
普段はなかなかそういったイベントには出演しないような方にも安心して出演いただくことができますからね。そういうイベントにこれからなれるように、ますます頑張っていきたいです。
ーー確固たる音楽イベントとして成り立っているかと思っていましたが、まだまだ夢は尽きないですね。今年の『FEST. INAZUMA』、楽しみにしています!
取材・文=黒田奈保子 撮影=加藤千絵
イベント情報

『FEST. INAZUMA 2026』
日程:2026年9月19日(土)、20日(日)、21日(月・祝)
会場:滋賀県草津市 烏丸半島芝生広場(滋賀県琵琶湖博物館西隣 多目的広場)
[LIVE AREA] 開場 / 開演 / 終演:10:00 / 11:30 / 19:00(各日とも予定)
[FREE AREA] 開場:9:00
※雨天決行(荒天の場合は中止)
[LIVE AREA] 出演アーティスト:(50音順)
▼9月19日(土)
GENERATIONS / T.M.Revolution / トゲナシトゲアリ / MAZZEL / ももいろクローバーZ / RAISE A SUILEN / ONE N’ ONLY and more
▼9月20日(日)
IMP. / STARGLOW / Da-iCE / 西川貴教 / ≠ME / Hearts2Hearts / RIIZE / WANDS and more
▼9月21日(月・祝)
abingdon boys school / 川崎鷹也 / Chevon / -真天地開闢集団-ジグザグ / Novelbright / フレデリック / MONGOL800 and more
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受付券種:
[GA 19日券 / GA 20日券 / GA 21日券] 各¥15,000(税込)など
受付方式:抽選
お問い合わせ:キョードーインフォメーション 0570-200-888(土日祝除く 12:00~17:00)
